ゴミスキル『空気清浄』で異世界浄化の旅~捨てられたけど、とてもおいしいです(意味深)~

夢・風魔

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3章

第──52

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 ピンポイントで瘴気の発生源を教えて貰えた俺たちは、途中の町に寄った後、真っすぐそこへと向かった。

「"空気操作"──はぁぁ、涼しい」
「本当~」
「どこ歩くのも空がスキル使ってくれればいいのに」
「無茶言うなよ。今スキルレベルが15で、効果時間がやっと2分超えたところなんだからさ」

 スキルレベル9までは一律1分だった効果時間は、レベル10で90秒に。そこからはレベルが上がるたびに10秒ずつ増えるようになった。
 それでもまだ2分。

 歩きながら2分ごとにスキル使うのって、面倒くさいんだよ。
 いや、実際は2分ごとじゃない。
 温度操作できる範囲が15メートル四方だ。変形させて幅3メートルぐらい、奥行きを伸ばしても数十秒で歩ききってしまう。
 そのたびにスキル使うのは面倒だし、何より歩くのが遅くなってしまう。

「我慢できるうちは我慢してくれよ」
「もういっそ効果範囲が何百メートルにもなればいいのに」
「でもそうなると、操作できる範囲を絞るのが面倒くさくなりますね」
「そうなんだよなぁ。何百メートルにもなると、範囲指定する動作が無理ゲーになると思うんだよな」

 数百メートルもある半透明のキューブを、どうやって操作すればいいんだ?
 キューブはなかなか便利だなと思っていたけれど、範囲が伸びてくるとこれがなかなか厄介で。
 そうなると口頭で「範囲いくら」って指定できるほうがいいよなぁ。

「"空気操作。範囲横3メートル、残り奥行き"──ってできないかな」

 いや……出来てる?
 いつものように範囲指定用のキューブは出てきたんだが、普段は正方立方体のキューブが、細長ーっくなっていた。
 横幅は確かに3メートルぐらいで、高さは15メートル。奥行きどうなっているんだ?
 単純に計算して、15メートルを3メートルで割ると5だ。奥行きが5倍になっている?
 75メートルになっているとして、キューブでそれを確認するのは難しい。
 実際に歩いてみればわかる。

「二人とも、ちょっとこのまま真っすぐ歩いてみてくれ。涼しい空間の距離を測りたいんだ」
「スキルの範囲を指定していたようですが、それの確認ですか?」
「そう。75メートルぐらい先まで涼しいはず……なんだ」
「随分距離が伸びたわね。じゃあ真っすぐ歩くわよ」

 リシェルたちが先に進み、彼女らが暑いなと感じたら手を振って貰うようにした。

『きゅ……うぎゅ……きゅうぅ』

 毛玉は砂地に降りて、右に左に跳ねながら『暑い』と『涼しい』の範囲を行ったり来たりしている。
 そのうち飽きて俺の肩によじ登って来た。
 最近俺、こいつを肩に載せて移動しているせいか、筋肉と体力がついてきた気がする。

「そぉーらぁー」
「ここからぁー、暑いですぅー」

 大きな声を出してリシェルたちが手を振る。
 50メートル以上、100メートル以内ってとこだよな。
 やっぱり75メートルぐらいか。

 毛玉を肩車して二人の元まで走っていくと、次は、

「"空気操作。高さと幅3メートル、残り奥行き"──でどうだ?」

 単純計算して、これで高さ3メートル、横幅3メートルの涼しい道が300メートル以上に渡って続くはずだ。
 ただ空気温度は下げられても、足元の砂がすぐに冷めることはなく。

「砂が靴の中に入ると熱いですね」
「こればっかりは俺のスキルでもどうにもできません。あと涼しいからってフードハズする日焼けするぞ」
「はっ、そうだったわ」

 慌ててフードを目深にかぶる二人を見て、思わず笑みがこぼれる。
 
 強い日差しの下、涼しい砂漠を地図を確認しながら歩いて行く。
 ここまで来るのに一週間。
 帰りは一瞬だけど、早く終わらせてゆっくりしたいな。

 そうは思っても砂漠は大きく、半日歩いて到着したのは目的地まで半分の位置だ。

「到着するのは明日の夜になりそうだな」
「はい。でも瘴気の近くには狂暴なモンスターも多いでしょうから、出来れば手前で一泊して、翌日の明るいうちに到着したいですね」
「この辺りの瘴気濃度はどうなのかした?」
「ちょっと待てくれ。確認してみるよ」

 空気清浄の範囲は俺を中心に10メートルほどにしている。
 その範囲を更に狭くして、まだ空気清浄の範囲に入っていない場所の成分分析をした。
 瘴気が混ざっていればそれが数値になって表示される。
 瘴気が見えない場所では、当然だけど成分解析表に『瘴気』という項目すらない。
 だけどここでは──

「瘴気は3とある。すこーしだけ漂っているようだな」
「濃いところだとどのくらいなのかしら」
「うぅん。腐王の肉があった頃は、空気清浄範囲の成分分析しかできない状態だったからなぁ」

 俺を中心に、問答無用で広範囲浄化していたから分からない。

『きゅっきゅ』
「ん? 毛玉なら濃いか薄いか分かるのか?」
『きゅー』

 毛玉が胸を張る。分かるってことか。
 ぴょんこぴょんこと跳ねて行って、俺の空気清浄範囲を出ていく。
 すぐに戻って来た毛玉がその場に蹲った。
 まさか瘴気に中てられたんじゃ!?

「お、おい毛玉。大丈夫か?」
『ふぅー』

 やれやれという顔で首を左右に振り、砂の上にお尻をぺたりとつけて座った。
 それから器用によいうか不器用にというか、手で砂を掴んでサラサラと零す。
 さっき自分が跳ねて行った方角を手で差し、もう一度砂を掴む。
 零れ落ちる砂はごくわずかで……

「瘴気が少ないっていうことかしら?」
『きゅ!』

 正解! ──そんな風に毛玉がシェリルを手で差す。

 これはアレか。
 ジェスチャークイズか?





 夜の砂漠は日中と違い冷える──というのが常識だ。
 だがその常識は俺の空気操作によって覆された。

「けどこれ、俺が寝ると空気操作されなくなって、結局寒くなるってことじゃ?」
「そうともいうわね」
「空さん、先にお休みになってください。今ならまだ、地面の砂が温かいですから。気温もそれほど低くはなっていないと思います」
「明け方の方が冷え込むか。じゃあその時間は俺は起きていた方がいいだろう」

 念のため、夜の間に燃やす薪を多めにリュックから出しておく。
 二人が見張りとして起き、俺は先に休ませて貰った。
 空気操作の効果時間が終わると、途端にひんやりする。
 だがテントのシートの下から、じんわりと熱が伝わって床暖房みたいではある。

『きゅう』

 毛玉も冷えるのか、毛布の中に潜り込んで身を寄せてきた。
 こんなことなら毛刈りせず、残しておけばよかったなぁ。そうすればもっと温かっただろうに。
 もぞもぞしていた毛玉の動きが止まると、それにつられて俺も眠るにつく。

 明日は教えて貰った瘴気の場所までは行かず、その手前辺りで依頼の花探しをしよう。
 暑い砂漠でのみ咲く花か。どんな花なんだろうな。



*************************************

アルファでも新作の投稿始めました。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/475542718/408352979

異世界最強の賢者~二度目の転移で辺境の開拓始めました~
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感想 98

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みんなの感想(98件)

デジェル
2024.11.20 デジェル

『空気清浄』スキル、俺も欲しいなぁ。
何気に便利そう‼️

解除
ガウ
2020.03.20 ガウ

いつも楽しく読ませて頂いてます!

新作の紹介のタイトルがURLのwwwの間に入ってる気がします(;´Д`)

2020.03.20 夢・風魔

ありがとうございます!
前にもおなじようなことが・・・・
コピペしているときにはちゃんとURLの後ろになっていたんですけど・・・

解除
黒うさぎ
2020.03.20 黒うさぎ

更新がこない……ろろろって人が原因なのかねぇ?

2020.03.20 夢・風魔

いえ。
書籍化申請が落ちまして。
ちょっと落ち込んでいるところです。

解除

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