最強ドラゴンを生贄に召喚された俺。死霊使いで無双する!?

夢・風魔

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 レイジ一行がアリアン王女を乗せた馬車と遭遇する二日前。
 ドーラムの北、湖の畔にある王家の別荘にて――。




「アリアン!」

 愛しいアリアン。
 前回会ったのは半年以上前だっただろうか。
 本来であれば彼女との再会も、まだ先のことであったが。

 我が国ニライナと、アリアンの祖国ドーラムとの親善会議。その使者に、私は是非にと父に願い出た。
 その甲斐あって、私は今、ドーラムの地にいる。
 会議に参加する他の一行より一足先に、アリアンが待つこの別荘地へと。

 毎年この別荘で、ほんのわずかな時間を過ごすだけであったが、今回は二日という長い時間を共に過ごせる。
 その後も、表立って彼女の傍にというわけにはいかないが、それでも――目の届く距離で過ごすことが出来る。

 あぁ、なんと幸せなことだろう。
 出来ることならこのまま……このままドーラム国王に、アリアンとの愛を打ち明けたい。
 だがそれは……。

 それにしても、呼びかけたにも関わらず、アリアンはおろか誰一人姿を現さないとはどういうことだ?

「ミッター。屋敷の住人の姿を見たか?」
「いえ殿下。屋敷の者はおろか、物音ひとついたしません。何やら怪しい雰囲気でございますね」
「殿下。我々の傍からお離れになりませんよう」

 怪しい……。確かに誰の姿も見ない、物音すらしないというのは怪しいが。
 私をここに招いたのはアリアンだぞ。
 
 そうか!

「ふふ。アリアンめ。私を驚かそうと、屋敷の者と一緒に隠れているのだな? だったら――」

 隠れているのであれば、こちらから見つけて驚かせてやろう。

 屋敷の裏手へと周り、部下とともにこっそり忍び込む。
 全ての明かりが消され、屋敷の中は薄暗い。
 さて、アリアンはどこに隠れているだろうか――。

「ぐああぁっ!」
「何事だっ」

 最初の角を曲がった所で、背後の部下から悲鳴が上がる。
 慌てて振り向くと、黒づくめの何者かによって部下が――斬られた!?

「何奴!」
「殿下、お下がりくださいっ」

 剣を引き抜き身構える間に、部下がひとり、また斬り倒される。
 私の護衛として同行する部下たちは、決して弱くはない。
 むしろ我が国でも精鋭と謳われる者たちだ。
 それがこうもあっさりやられるとはっ。

「誰か! 誰かおらぬのかっ」

 声のあらん限りを尽くし叫ぶが、反応は無い。
 まさか……この屋敷の住民は……アリアンはこの者に!?

「貴様ぁ。アリアンをどうした!」
「殿下っ」
「アリアンにもしものことがあれば、私は……私はっ。決して貴様を許さない!」

 剣を握る手に僅かな力を籠める。
 そして小さく呟く呪文。

 自らの身体能力を、一時的に向上させる神の奇跡の魔法を。
 魔法が完成すると同時にいっきに床を蹴り、殺戮者の懐へと飛び込む。
 私の渾身の一撃は、だが相手を死に至らしめるには届かなかった。

「っく」

 胸元を切り裂かれ、痛みに声を漏らす殺戮者。

「ほぉ。剣術の腕が立つ、とは聞きましたが、なかなかどうして……」
「新手か?」
「殿下、お下がりください。ここは我々が食い止めまする!」
「しかしっ」
「アリアン王女が殺されたと確定された訳ではありません! アリアン様をお救いするためにも、ここは生き延びてくださいっ」
「っく」

 そ、そうだ。まだ彼女が死んだとは限らない。
 国境まで戻れば、使者団が待っている。
 連れてきた兵は少ないが、それでも精鋭部隊五十名はいる。
 彼らとともに再び……。

「確かにアリアン姫は生きているとも」
「な、に?」
「ふ。安心するがいい、いずれお二人には再会していただく」
「再会? アリアンと会わせるというのか!?」

 頷いた男が素早く動く。
 私はアリアンに会えるという喜びから、その反応が一瞬遅れた。

「お二人が再会したとき――それは即ち死ぬときだ!」
「なっ――」

 一瞬を隙を付かれ、腹部に激痛が走る。
 思わず痛みに体をくねらせると、次に頭部を……。

「き……さまっ」

 見上げた男の顔に、見覚えがあった。
 この男は――。

 薄れゆく意識の中、胸元のペンダントを握りしめ祈る。

 愛しいアリアンの無事を。

 そして最後に耳にしたのは、部下たちの断末魔とそして……。

「ヴァン様に報告しろ。こちらは全て順調だとな」
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