最強ドラゴンを生贄に召喚された俺。死霊使いで無双する!?

夢・風魔

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【帝国ヤバイ。相田は糞。こいつら灰汁だ生贄だぞ】

 数日後、樫田が俺に見せたかった物がやっとわかった。
 写真ではなく、メールだったんだ。
 しかも下書き保存された物だったから、余計に見つからなかったという。

 帝国――なんて単語が出てきてるし、これだとは思うんだけど。
 相田が糞ってのはたんなる悪口なのだろうか?
 灰汁って鍋料理なんかで出るアレだろ?
 で灰汁が生贄?
 さっぱりわからない。

 保護した少女らは、ドーラム国王が国に届けてくれると約束してくれた。
 訪ねてきたアリアン王女が少女らに伝えると、彼女たちは大喜び。
 ただ、男性恐怖症は収まっておらず、しばらくはここで養生が必要そうだ。

 メールの内容に関してソディアに尋ねて貰うと、彼女たちは何かの生贄にされるために連れてこれらたのだと言う。

「なんのための生贄だろうな」
「勇者召喚魔法……ではないと思うわ。あの魔法は生贄にしたモノの能力を、召喚して来た者に吸収させるものだし……」

 その辺の子供を大量に連れて来て生贄にしたところで、召喚された者の能力としてはなんの足しにもならない、と。
 万が一、特別な力を持った子がいれば話は別だが、だったらその子ひとりで十分だ。

 樫田の書いた「灰汁」っていうのは誤変換で、きっと「悪」なんだろう。
 帝国は少女らを生贄にして何かをやろうとしている。たぶん、相田は帝国側について、樫田と対立したとかだろうな。
 それだけわかっても、どうしようもないんだけどなぁ。





 なんだかんだと半月が過ぎ、俺たちは旅立つことにした。
 そうでなければ毎晩のように、アブソディラスの睡眠妨害が始まるからだ。

『はよ! はよ出発するのじゃ!!』
「わかったって。城下町で食料を買い込んだら、直ぐにでも出発するから!」
『本当じゃな! 本当の本当になんじゃな!』

 しつこいな……。
 食料を買い込む前にお城に行って挨拶するんだけどさ。

「ソディア、行こうか」
「えぇ。じゃあみんな、ここの人の言うことを聞いて、いい子にしてるのよ。きっと故郷に送り届けてくれるから」
「お姉ちゃん……」
「行っちゃうの?」

 おぉう。ソディアってばすっかり懐かれてるなぁ。
 このまま俺たちが、この子らを故郷に届けてやるのが一番なんだろうけど。
 ただなぁ……。

 そう考え足元を見る。
 なんとか俺には慣れてくれた少女らだが、こちらの動作を見てビクンと体を震わせた。

「あ、大丈夫。出さないから。な?」

 泣き出しそうになる子を宥めると同時に、今にも影からにょっきしそうな馬鹿を踏みつける。
 魔力を足に込めて。
 こうすると蹴れることがわかった。

『痛いっす。熱いっすっ』
「黙れ」

 短い命令を下ると、足元は途端に静かになった。

 一緒に行ってやりたいが、少女たちのほとんどがアンデッド軍団を恐れる。
 それでなくても俺たちは街道なんて道を歩けない。
 街道でない場所を歩けばモンスターと遭遇しやすいし、盗賊にも出てくる。
 もちろんアンデッド軍団がいれば安全は保障されるけど、代わりに恐怖を味合わせることになるからなぁ。

「そのうち君らの故郷をソディアと尋ねるよ。な?」
「えぇ。きっと会いに行くわ」
「「本当!?」」

 小さな子たちは喜び、年長の子たちは安心したように笑みを浮かべる。
 みんなに別れを告げた俺たちは屋敷を出て、今度はお城へとやってきた。

 戦争の後処理からアリアン王女の婚礼と、王様は毎日忙しくしている。
 今回のことでニライナとドーラムの中が崩れた訳ではない。だけどお互いが勘違いして出兵までしたんだ、まったく何もないとは言えない。
 以前よりもより深い絆を結ぶ意味も込め、キャスバル王子、アリアン王女二人の結婚はニライナでも承諾された。
 王女はニライナへと嫁ぐことになる。
 ドーラム国王にとって寂しくなるだろうな。

 そんな王の下へやってきた俺たちは、待つこともなく直ぐに謁見の間へと通された。

「よく来てくれた、レイジ殿、ソディア殿」
「王様、ちゃんとお休みになっていますか? 目の下にクマがありますけど」

 俺がそう尋ねると、周囲に控えていた大臣だの貴族だのが深く頷く。
 中には笑う人までいた。

「レイジ様、もっと言ってください」
「ここ数日は、睡眠時間もあまりとっていないのですよ」
「我々が何度言っても、聞かないのですから」

 ――と。
 そう言われて王様はバツが悪そうにみんなから視線を逸らす。

「そんなクマを点けたまま、式に出席するのだけはやめてくださいねお父様」
「ア、アリアンまで……ぬぅ、そんなに酷い顔か?」
「えぇ、酷いですわ」

 登場したばかりのアリアン王女がきっぱり言う。
 その王女、国王の傍に立つと、今度はこちらに目を向け言った。

「行ってしまわれますの? せめて私とキャスバルの式までいらしてくれればいいのに」
「その式って、いつでしたっけ?」
「半年後ですわ」

 とにっこり微笑んで言う。

『ダメじゃぁ~っ』
「っと、上が五月蠅いので」
「もうっ。アブソディラス様の意地悪」

 アリアン王女、すっかり幽霊が見える体質になってしまったな。
 だからなのか、彼女と年齢が近く優秀な女性司祭が傍に就くようになっている。
 悪い霊が近寄った場合、すぐに浄化するためだとか。
 ちなみにキャスバル王子も霊媒体質になってしまったようだ。
 彼からの手紙にそう書かれていたと、王女から聞いた。
 あっちは司祭から直接、浄化の魔法を学んだそうだ。

「レイジ殿、出立前にひとつ話しておかねばならないことがある」
「え?」

 これまでとは打って変わって、神妙な面持ちな国王。
 王は今回のことで、近隣諸国にも文を出したそうな。
 もちろん、帝国が裏で操り、ニライナとドーラム両国で戦争を起こさせるよう仕向けたということをだ。

 いくつかの返信の中に、国内で届け出のある死霊使いが――。

「暗殺された?」
「うむ。実はな、忌み嫌われておる死霊使いではあるが、冒険者として登録がされておる者もおるのだよ。表向きには魔術師としてな」
「死霊使いもそもそもは、魔術師の派生でありますから。たまたま死霊術が使えた――という者もおりますので」

 逆に冒険者ギルドへ報告することで、自分は間違った術の使い方をしない――と公言することにもなり、ある程度、庇護してもらえるのだと。
 そういった登録済みの死霊使いがことごとく暗殺されている、と。

「誰がなんの目的かは知らぬが、レイジ殿も十分に注意されよ」
「はい……情報、ありがとうございます」

 この時ふと思い出した。
 樫田が言っていた、俺を殺す為に帝国の第二王子が暗殺者に依頼していたかもしれない……ということを。
 俺と間違って殺された、ということはないよな。
 冒険者ギルドに登録している時点で、俺じゃないことはわかるだろうし。

 けど、なんでだろう?
 死霊使いに恨みでもある誰かなのか?

「とにかく、気をつけましょう」
「あぁ」
『レイジ様は我らエスクェード騎士団がお守りします』
『俺も俺も』
「はいはい。いちいち出てこなくていいから」

 ま……570人ものアンデッドがついているんだ。
 大丈夫さ、きっと。
 
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