転生領主の辺境開拓~転移魔法で屋敷を追放されましたが、自由にスキルリセット出来る『リカバリー』で案外元気に暮らしています~

夢・風魔

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5:リカバリー

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 セリスが寝静まってから、一階の武器庫に下りて行って剣の見定めをする。
 一番錆の少ない奴を手に取り、蝋燭の灯りの下で砥石を使って研ぎ始めた。

「これから先、必要になる工程だろうし……じーちゃんに貰ったポイントもあるからスキルを取るかな」

 スキルポイントと交換で獲得できるスキルの一覧を開いて、そこから【鍛冶】の詳細を確認。
 鉱石の精錬から鉄製武具の製造、その手入れを行う事の出来る職人スキル──と出てきた。
 武具の手入れは基本作業みたいなもんだろう。
 とりあえずお試しで1だけ取ってみる。

 それから砥石を右手に、左手で剣を握ると突然噴き出しのようなものがポップアップした。
 
「これがスキル効果?」

 噴き出しには【砥石は同じ方向に向かって研ぐ】とあった。

「レベル1だとこんなもんか」

 書かれている通りシュッシュと研ぎ始めると、すぐさまやらかしてしまった。

「いてっ。あぁ、くそ。切ってしまった」

 けど切れ味最悪状態で良かったよ。指を切り落とさずに済んだし。
 こういう時は『リカバリー』だ。
 怪我もリカバリーを使えば元通りだからな。

「"リカバリー"」

 自分自身の胸に手を乗せ、魔力を注ぎ込む。この注ぐ魔力の量で、どのくらいの時間戻すかが決まって来る。
 数分前──ってのは難しいので、今のでだいたい三十分だな。

「さて、今度は慎重に──ん? 吹き出しが出てこないな」

 さっきは暫くしたら吹き出しが消えていたけど、最初の一回目だけなのかな?
 いや、でもそれだと見逃していた場合に困るじゃん。

 もう一度砥石と剣を持ち直してみたけど、何の反応もない。
 ……勿体ないけど、鍛冶スキルを2にしてみるか?

 ステータスボードを開いてスキルを──スキル……え?


*******************************************
 ディオン・ルエンディタール 十五歳 人間
 ジョブ:辺境砦の領主1
【ユニークスキル】リカバリー

 筋力:15  耐久力:14  敏捷:15
 器用:12  魔力:10

 ステータスポイント:0
 スキルポイント:330

【習得スキル】
 剣術:LV10 / 馬術:LV13

【獲得スキル】

【領民好感度】(new)
 ±0

【領主ポイント】(new)
 150P

*******************************************


 スキルを取っていたはずなのに、何もない!?
 ポイントも最初に持っていた330に戻ってる?

 なんで?

 考え中──考え中──もしかして……傷を治すために使ったリカバリーが、ステータスにも反映されたとか?

 習得スキルが戻ることは一度もなかったけど、それもタイミングなのかもしれない。
 リカバリーは最大で八時間。使ったタイミングと何時間戻したかで、その時間内にスキルレベルが上がっていればリセットされたかもしれない。

「とにかく試してみよう」

 また鍛冶スキルをレベル1だけ取る。これで獲得スキル欄に『鍛冶:LV1』と表示され、スキルポイントは残り329だ。
 そして──

「"リカバリー"」

 ほんの少しだけ魔力を流し込む。
 ステータスボードを確認すると、やっぱり獲得スキルから鍛冶が消えて、スキルポイントは330に戻っていた。

 スキルの状態まで戻せるとは知らなかったな。

 ……これ。

 もしかして凄くないか!?

 スキルポイントは、誕生日を迎えるごとに2貰える。それとは別にジョブレベルが上がることでも貰えるが、俺は今までジョブ無しだったからその分がない。
 じーちゃんから貰ったポイントと、誕生日で増えたポイントを合わせて330ある。
 八時間以内ならスキルリセットし放題。

 ふ、ふふふふふ。
 まずは研磨マスターになろうか。

 鍛冶スキルを20まで上げると、次のレベルアップに必要なポイントが2に増えた。
 ふぅん。スキルのポイント交換って、レベルが上がると必要ポイントが増えるのか。

 ここでちょっとだけ不安になって、もう一回リカバリー。
 ほっ。よかった、ちゃんとリセットされてる。

 再び鍛冶を20まで上げて研磨しようとすると、今度は吹き出しと矢印が浮かんだ。
 矢印は『この方向に砥石を動かせ』ってことなんだろうな。
 その通りになるとどんどん錆が取れて、三十分ほどで綺麗に磨けた。

「セリスは槍を魚を突くようだし、こっちも研いでおくか」

 同じように矢印に沿って研磨すると、剣より刃の部分が短い分、直ぐに終わった。

「"リカバリー"。川があるなら釣りも出来るんじゃないかな。釣り竿でもあればなぁ」

 いや、竿がなくとも針と糸さえあればなんとかなる。
 針は……そうだ。スカーフを留めていたこのブローチのピンを使おう。
 釣り針としては少し大きいけど、針が大きいってことは掛かる魚も大きいってことだ。
 あとは糸か。
 丈夫な物じゃないとダメだもんなぁ。

 なんとかして糸を用意できないもんだろうか。
 今ある服とか縫い目をを解いて、糸に……いや、毛糸のマフラーじゃないんだし、そう簡単に解けたりは──スカーフ!
 スカーフならどうだ!?

 機織りで編んだスカーフだ。うまく解けば……。

「うん。難しい! あ、そうだ。裁縫のスキルがあったよあ」

 レベル20もあれば大丈夫か?
 まぁリカバリーすればポイントは戻って来るし、30まで上げるか。
 こちらもレベル21から必要ポイントが2に増えた。

 さて、どうなるのかな?

 ナイフを片手に編み目のスタートラインを見つけようとしたら、フカーフの端に赤い点が見えた。
 ここか?
 ナイフで赤い点の部分を切り、ピョンと飛び出た糸を引っ張ってみる。
 するするするーっと糸がほつれ、三割ほど解いたところで数十メートル分になった。

 これだけだと強度が不安だよな。編み込めばいいのかな?
 何等分かに分けて、こよりを作る感じでよりよりしていく。
 これも裁縫スキルのおかげだろう。前世で作ったことのあるこよりより、めちゃくちゃ綺麗に出来た。

 あとは「し」の字に折り曲げたピンを括りつけて完成っと。

「……これ、明日作ればいつでもリカバリーして、またスカーフに戻せたんじゃ……」

 ブローチがいいとして、スカーフはこの先の寒さ対策にも使える。
 糸は植物の繊維から紡ぐこともできるし……よし。

「"リカバリー"」

 明日の朝、もう一度作ろう!
 
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