転生領主の辺境開拓~転移魔法で屋敷を追放されましたが、自由にスキルリセット出来る『リカバリー』で案外元気に暮らしています~

夢・風魔

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14:ビタミン

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「ノームお願い」

 翌日、さっそくイモ菜とサイサイ、それから食用可能な草と香草を掘りだしてきた。
 それを持って半地下へ行くと、セリスがさっそく精霊を呼び出した。
 土の中から出てきたのはハムスター……いや、モルモット?
 ただし二足歩行だ。

「それが土の精霊?」
「えぇ、そうよ。初めて見た?」
「う、うん。俺は魔力が低いし、精霊魔法は使えないからさ」
「テイミングスキルを使えるのに、魔力が低いの?」

 う……テイミングスキルも魔法の一種とされていてるから、魔力はあって当たり前という認識だ。
 
「ま、まぁだからレベル1止まりなんだよ」
「そうなの。ごめんなさい」
「そ、そんなことよりさ、精霊ってもっと半透明な人型なのかと思ってたけど……」
「ふふ。精霊を見たことない人だと、たまにそう言う人いるわね」

 てっきりドワーフのミニサイズ版だと思ってたんだけどな。
 風の精霊が描かれている絵本を読んだことあるけど、あっちは想像通りの半透明な女性の姿だったし。
 もちろん全裸。

「ちなみに風の精霊シルフィーと水の精霊ウンディーネは、半透明な人型よ。火の精霊はこの前見た通り、蜥蜴ね」
「あ、やっぱり風と水は人型なんだ。子供の頃に読んだ、風の精霊が登場する絵本の通りなんだね」
「ディオンの家には本があったの!? 服の素材もいいものだし……屋敷を追い出されたって聞いたからもしかしてとは思ったけど……あなた、貴族なの?」
「今となっては、元貴族みたいなものかな。義父は俺をここに飛ばした時点で、死亡したものと国に届けでているだろうし」

 直接手を下さなかったのは、自分の手を血で汚したくないからとか、そんなところだろうし。

「ま、とにかくあとはノームに任せておけばいいわ。ただしノームに出来るのは土の管理だけ。水は私たちでちゃんとしなきゃいけないわよ」
「了解。それだけでいいなら楽なもんだよ」
「食料問題が一気に改善されたわね。これで冬にも備えられるわ」

 もっといろんな野菜があれば良かったけど、そこまで贅沢は言えないか。
 だけど食料はまだ足りないだろう。
 何日、いや何週間ここが雪に覆われるかもわからないし。

 明日は一日魚釣りをして、塩漬け作業だな。





「ちょ、ちょっと釣りすぎじゃない?」
「う、うん……持ち帰るのが大変だね」
『ンメェー』
「ゴンがいて助かったよ。それにしてもお前、まだ子供なのに力持ちだなぁ」

 と言っても、大きさで言えば普通の山羊の大人と変わらないサイズがある。それにゴンは山羊じゃない。モンスターだ。
 見た目は動物そのものでも、潜在能力がまったく違う。
 
 砦から持って来たシーツに包んだ魚十匹は、ゴンに背負って貰って運んだ。
 ゴンなら岩場もなんのその。
 重い荷物を背負っていても、俺たちより足取りは軽い。

 俺が三匹、セリスが二匹持って、計十五匹だ。しかもどれも四〇センチ以上の大物。
 これだけあれば半月は持つだろう。
 だけど半月だ。
 半月で雪が解けるとは思えない。

 雪が降れば天然の冷凍庫だ。その直前に大漁を狙って川へ行かなきゃな。
 あとはあの森で狩りをして、肉も手に入れておきたい。

「さ、帰ったら魚を捌かなきゃね」
「十五匹かぁ……」
「そ、十五匹分よ」

 セリスはルンルン気分で砦に入って行った。
 それを見送ってスキルをリカバリーし、料理スキルをセット。レベル20で十分だろう。

 中へ入って、まずは一休み。
 昨日見つけた草の中に、ほんのり味が染み出る茶葉を見つけた。
 煮立てると、うすーい紅茶のような味が出る。薄くても白湯よりは断然ましだ。

「はぁ……紅茶で一休み。なんて贅沢なんでしょう」
「いい草が見つかったよね。これも畑に植えたし、増えてくれるといいなぁ」
「そうね。まぁ雑草がぼうぼうな所もあるし、ゴンの食事が進んだらノームが株を増やしてくれると思うわ」
「そういえばゴンは?」
「それこそ、さっそく地下に行ったようだけど」

 今のところ、畑部屋は半分ぐらいが機能している。残り半分はまだ雑草だらけで、ゴンが食べてくれるのと待っているところだ。
 ただ新規で植える物がないから、今植えている奴を増やすぐらいしか使い道がないんだよな。

 そんなことを考えていると、塔の方からゴンの足音が聞こえてきた。
 軽やかな足取りは、何かいいことでもあったのだろうかと思わせる。

 厨房へと入って来たゴンは、口に何かを咥えていた。それを床に置き、嬉しそうにお尻を振る。

『ンッメェ~』
「ゴン、ご機嫌だな。何かいいことでもあったのか?」

 釣った魚を三枚おろしにしながら声を掛けると、ゴンは床に置いたものを咥え直してやって来た。
 楕円形の緑の物体──なんか葉っぱを丸くまとめたような……なんかこれって、キャベツみたいじゃないか?

「ゴン、それ……どうしたんだ?」
『ンッメ』

 塔の方を鼻で指し示す。
 もしかして畑で?

「それ、半地下の畑にあったのか?」
『ンメ』
「ちょ、案内してくれ!」
『メェ~』

 こっちだよ、と言っているようなステップで、ゴンが半地下畑へと向かう。
 向かったのは半地下に下りてすぐの雑草畑だ。その隅の方でゴンが尻尾をぷりぷり振ってこちらを見つめた。

『メェ~』
「そこか?」

 既に陽が暮れていて半地下も暗くなっている。燭台を持って来るべきだった。

「もう、暗いんだから灯りを持って行かなきゃダメよ」
「ありがとうセリス、ここ。ここを照らして」

 燭台片手にセリスがやって来ると、俺の足元を照らしてくれる。
 そこにはやや小ぶりのキャベツが、確かに実っていた。 

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