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「ノームお願い」
翌日、さっそくイモ菜とサイサイ、それから食用可能な草と香草を掘りだしてきた。
それを持って半地下へ行くと、セリスがさっそく精霊を呼び出した。
土の中から出てきたのはハムスター……いや、モルモット?
ただし二足歩行だ。
「それが土の精霊?」
「えぇ、そうよ。初めて見た?」
「う、うん。俺は魔力が低いし、精霊魔法は使えないからさ」
「テイミングスキルを使えるのに、魔力が低いの?」
う……テイミングスキルも魔法の一種とされていてるから、魔力はあって当たり前という認識だ。
「ま、まぁだからレベル1止まりなんだよ」
「そうなの。ごめんなさい」
「そ、そんなことよりさ、精霊ってもっと半透明な人型なのかと思ってたけど……」
「ふふ。精霊を見たことない人だと、たまにそう言う人いるわね」
てっきりドワーフのミニサイズ版だと思ってたんだけどな。
風の精霊が描かれている絵本を読んだことあるけど、あっちは想像通りの半透明な女性の姿だったし。
もちろん全裸。
「ちなみに風の精霊シルフィーと水の精霊ウンディーネは、半透明な人型よ。火の精霊はこの前見た通り、蜥蜴ね」
「あ、やっぱり風と水は人型なんだ。子供の頃に読んだ、風の精霊が登場する絵本の通りなんだね」
「ディオンの家には本があったの!? 服の素材もいいものだし……屋敷を追い出されたって聞いたからもしかしてとは思ったけど……あなた、貴族なの?」
「今となっては、元貴族みたいなものかな。義父は俺をここに飛ばした時点で、死亡したものと国に届けでているだろうし」
直接手を下さなかったのは、自分の手を血で汚したくないからとか、そんなところだろうし。
「ま、とにかくあとはノームに任せておけばいいわ。ただしノームに出来るのは土の管理だけ。水は私たちでちゃんとしなきゃいけないわよ」
「了解。それだけでいいなら楽なもんだよ」
「食料問題が一気に改善されたわね。これで冬にも備えられるわ」
もっといろんな野菜があれば良かったけど、そこまで贅沢は言えないか。
だけど食料はまだ足りないだろう。
何日、いや何週間ここが雪に覆われるかもわからないし。
明日は一日魚釣りをして、塩漬け作業だな。
「ちょ、ちょっと釣りすぎじゃない?」
「う、うん……持ち帰るのが大変だね」
『ンメェー』
「ゴンがいて助かったよ。それにしてもお前、まだ子供なのに力持ちだなぁ」
と言っても、大きさで言えば普通の山羊の大人と変わらないサイズがある。それにゴンは山羊じゃない。モンスターだ。
見た目は動物そのものでも、潜在能力がまったく違う。
砦から持って来たシーツに包んだ魚十匹は、ゴンに背負って貰って運んだ。
ゴンなら岩場もなんのその。
重い荷物を背負っていても、俺たちより足取りは軽い。
俺が三匹、セリスが二匹持って、計十五匹だ。しかもどれも四〇センチ以上の大物。
これだけあれば半月は持つだろう。
だけど半月だ。
半月で雪が解けるとは思えない。
雪が降れば天然の冷凍庫だ。その直前に大漁を狙って川へ行かなきゃな。
あとはあの森で狩りをして、肉も手に入れておきたい。
「さ、帰ったら魚を捌かなきゃね」
「十五匹かぁ……」
「そ、十五匹分よ」
セリスはルンルン気分で砦に入って行った。
それを見送ってスキルをリカバリーし、料理スキルをセット。レベル20で十分だろう。
中へ入って、まずは一休み。
昨日見つけた草の中に、ほんのり味が染み出る茶葉を見つけた。
煮立てると、うすーい紅茶のような味が出る。薄くても白湯よりは断然ましだ。
「はぁ……紅茶で一休み。なんて贅沢なんでしょう」
「いい草が見つかったよね。これも畑に植えたし、増えてくれるといいなぁ」
「そうね。まぁ雑草がぼうぼうな所もあるし、ゴンの食事が進んだらノームが株を増やしてくれると思うわ」
「そういえばゴンは?」
「それこそ、さっそく地下に行ったようだけど」
今のところ、畑部屋は半分ぐらいが機能している。残り半分はまだ雑草だらけで、ゴンが食べてくれるのと待っているところだ。
ただ新規で植える物がないから、今植えている奴を増やすぐらいしか使い道がないんだよな。
そんなことを考えていると、塔の方からゴンの足音が聞こえてきた。
軽やかな足取りは、何かいいことでもあったのだろうかと思わせる。
厨房へと入って来たゴンは、口に何かを咥えていた。それを床に置き、嬉しそうにお尻を振る。
『ンッメェ~』
「ゴン、ご機嫌だな。何かいいことでもあったのか?」
釣った魚を三枚おろしにしながら声を掛けると、ゴンは床に置いたものを咥え直してやって来た。
楕円形の緑の物体──なんか葉っぱを丸くまとめたような……なんかこれって、キャベツみたいじゃないか?
「ゴン、それ……どうしたんだ?」
『ンッメ』
塔の方を鼻で指し示す。
もしかして畑で?
「それ、半地下の畑にあったのか?」
『ンメ』
「ちょ、案内してくれ!」
『メェ~』
こっちだよ、と言っているようなステップで、ゴンが半地下畑へと向かう。
向かったのは半地下に下りてすぐの雑草畑だ。その隅の方でゴンが尻尾をぷりぷり振ってこちらを見つめた。
『メェ~』
「そこか?」
既に陽が暮れていて半地下も暗くなっている。燭台を持って来るべきだった。
「もう、暗いんだから灯りを持って行かなきゃダメよ」
「ありがとうセリス、ここ。ここを照らして」
燭台片手にセリスがやって来ると、俺の足元を照らしてくれる。
そこにはやや小ぶりのキャベツが、確かに実っていた。
翌日、さっそくイモ菜とサイサイ、それから食用可能な草と香草を掘りだしてきた。
それを持って半地下へ行くと、セリスがさっそく精霊を呼び出した。
土の中から出てきたのはハムスター……いや、モルモット?
ただし二足歩行だ。
「それが土の精霊?」
「えぇ、そうよ。初めて見た?」
「う、うん。俺は魔力が低いし、精霊魔法は使えないからさ」
「テイミングスキルを使えるのに、魔力が低いの?」
う……テイミングスキルも魔法の一種とされていてるから、魔力はあって当たり前という認識だ。
「ま、まぁだからレベル1止まりなんだよ」
「そうなの。ごめんなさい」
「そ、そんなことよりさ、精霊ってもっと半透明な人型なのかと思ってたけど……」
「ふふ。精霊を見たことない人だと、たまにそう言う人いるわね」
てっきりドワーフのミニサイズ版だと思ってたんだけどな。
風の精霊が描かれている絵本を読んだことあるけど、あっちは想像通りの半透明な女性の姿だったし。
もちろん全裸。
「ちなみに風の精霊シルフィーと水の精霊ウンディーネは、半透明な人型よ。火の精霊はこの前見た通り、蜥蜴ね」
「あ、やっぱり風と水は人型なんだ。子供の頃に読んだ、風の精霊が登場する絵本の通りなんだね」
「ディオンの家には本があったの!? 服の素材もいいものだし……屋敷を追い出されたって聞いたからもしかしてとは思ったけど……あなた、貴族なの?」
「今となっては、元貴族みたいなものかな。義父は俺をここに飛ばした時点で、死亡したものと国に届けでているだろうし」
直接手を下さなかったのは、自分の手を血で汚したくないからとか、そんなところだろうし。
「ま、とにかくあとはノームに任せておけばいいわ。ただしノームに出来るのは土の管理だけ。水は私たちでちゃんとしなきゃいけないわよ」
「了解。それだけでいいなら楽なもんだよ」
「食料問題が一気に改善されたわね。これで冬にも備えられるわ」
もっといろんな野菜があれば良かったけど、そこまで贅沢は言えないか。
だけど食料はまだ足りないだろう。
何日、いや何週間ここが雪に覆われるかもわからないし。
明日は一日魚釣りをして、塩漬け作業だな。
「ちょ、ちょっと釣りすぎじゃない?」
「う、うん……持ち帰るのが大変だね」
『ンメェー』
「ゴンがいて助かったよ。それにしてもお前、まだ子供なのに力持ちだなぁ」
と言っても、大きさで言えば普通の山羊の大人と変わらないサイズがある。それにゴンは山羊じゃない。モンスターだ。
見た目は動物そのものでも、潜在能力がまったく違う。
砦から持って来たシーツに包んだ魚十匹は、ゴンに背負って貰って運んだ。
ゴンなら岩場もなんのその。
重い荷物を背負っていても、俺たちより足取りは軽い。
俺が三匹、セリスが二匹持って、計十五匹だ。しかもどれも四〇センチ以上の大物。
これだけあれば半月は持つだろう。
だけど半月だ。
半月で雪が解けるとは思えない。
雪が降れば天然の冷凍庫だ。その直前に大漁を狙って川へ行かなきゃな。
あとはあの森で狩りをして、肉も手に入れておきたい。
「さ、帰ったら魚を捌かなきゃね」
「十五匹かぁ……」
「そ、十五匹分よ」
セリスはルンルン気分で砦に入って行った。
それを見送ってスキルをリカバリーし、料理スキルをセット。レベル20で十分だろう。
中へ入って、まずは一休み。
昨日見つけた草の中に、ほんのり味が染み出る茶葉を見つけた。
煮立てると、うすーい紅茶のような味が出る。薄くても白湯よりは断然ましだ。
「はぁ……紅茶で一休み。なんて贅沢なんでしょう」
「いい草が見つかったよね。これも畑に植えたし、増えてくれるといいなぁ」
「そうね。まぁ雑草がぼうぼうな所もあるし、ゴンの食事が進んだらノームが株を増やしてくれると思うわ」
「そういえばゴンは?」
「それこそ、さっそく地下に行ったようだけど」
今のところ、畑部屋は半分ぐらいが機能している。残り半分はまだ雑草だらけで、ゴンが食べてくれるのと待っているところだ。
ただ新規で植える物がないから、今植えている奴を増やすぐらいしか使い道がないんだよな。
そんなことを考えていると、塔の方からゴンの足音が聞こえてきた。
軽やかな足取りは、何かいいことでもあったのだろうかと思わせる。
厨房へと入って来たゴンは、口に何かを咥えていた。それを床に置き、嬉しそうにお尻を振る。
『ンッメェ~』
「ゴン、ご機嫌だな。何かいいことでもあったのか?」
釣った魚を三枚おろしにしながら声を掛けると、ゴンは床に置いたものを咥え直してやって来た。
楕円形の緑の物体──なんか葉っぱを丸くまとめたような……なんかこれって、キャベツみたいじゃないか?
「ゴン、それ……どうしたんだ?」
『ンッメ』
塔の方を鼻で指し示す。
もしかして畑で?
「それ、半地下の畑にあったのか?」
『ンメ』
「ちょ、案内してくれ!」
『メェ~』
こっちだよ、と言っているようなステップで、ゴンが半地下畑へと向かう。
向かったのは半地下に下りてすぐの雑草畑だ。その隅の方でゴンが尻尾をぷりぷり振ってこちらを見つめた。
『メェ~』
「そこか?」
既に陽が暮れていて半地下も暗くなっている。燭台を持って来るべきだった。
「もう、暗いんだから灯りを持って行かなきゃダメよ」
「ありがとうセリス、ここ。ここを照らして」
燭台片手にセリスがやって来ると、俺の足元を照らしてくれる。
そこにはやや小ぶりのキャベツが、確かに実っていた。
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