15 / 32
15:半地下の畑
しおりを挟む
「見て! これって人参じゃない?」
「こっちは玉葱だぞ! 凄い……百年もの間、ずっと自生していたんだ」
「他にもないかしら?」
キャベツと人参、それから玉葱。他にもないかと奥の畑部屋も確認してみたけど、残念ながら他にはなにもなかった。
「でも野菜らしい野菜が手に入った。これで冬も一安心だ」
「そうね、十分だわ。今はノームに任せて、増やすことを考えた方がいいかもね」
「あぁ、そうしよう」
今はまだ森に行けばキノコや食べられる草も手に入る。それも雪が降り積もれば手に入らなくなる。
ここの野菜を食べるのはそうなってからだ。
セリスが奥の畑部屋に行って暫くすると、モルモットが二足歩行でそこそこやってきてキャベツを囲って踊り出す。
……楽しそうだ。放っておこう。
「じゃあ私たちは魚の続きね」
「そうだね。今日中に終わらせよう」
遅くまでかかって魚を三枚おろしから塩漬けまで終わらせ、夕食後はリカバリーをしたらマットにダイブ。
あぁ、木材があったらベッドを作り直したいなぁ。
でもさすがに薪を使う訳にはいかないし、そもそも短くて利用すら出来ない。
森で木を伐採するにしても、ここまで運ぶのは大変だ。
ほんと、アイテムボックスが欲しいよ。
獲得可能スキルには『収納』はないけれど『収納上手』ならある。
試しにセットしてみたけど、なんというか……棚のどこにどれを置けばスッキル収まるか、そういうのが感覚的に分かる……という微妙なスキルだった。
他にも『荷物持ち』というスキルも、もしかしてと思ったけれど、これもその名の通りな効果。
何かを運ぶときにこのスキルがあれば、重たい物でも運べるようになるっていう効果だった。
元の筋力数値にも影響するようで、それが低いといくら荷物持ちスキルを持っていてもたいしたものは運べないようだ。
やっぱりダンジョン産のアイテムボックス以外は存在しないのかなぁ。
いっそ領主ポイントでダンジョンを設置して、そこでゲットを狙ってみるとか?
いやいや、必要ポイントまで遠すぎるじゃん。
ダンジョン生成に必要なポイント、十万だったんだぞ。
むりむり。
今、ここの領民はセリスと、あとゴンもカウントされててひとりと一匹だ。
週1で好感度と幸運度がポイントに加算されるけど、貰えるポイントが三桁になるのすら難しい状況だ。
これ、両人が増えたらここも増えるのかなぁ?
ま、それすら無理な話だけどね。
さ、寝よう。
明日も明後日も、食料集めに頑張らなきゃならないんだから。
ストーブに薪を追加して、それから蝋燭の火を消してシーツに包まった。
シーツだけじゃかなり冷え込む。ストーブの火を絶やせない。
毛皮が取れる十分なサイズの獲物も仕留められるといい……な……。
『メェッ!』
「うわっ!? ゴ、ゴン、なんだよいきなり。せっかく眠れそうだったのに」
『メェ、メェェッ』
来いと言っているのか、袖を咥えてぐいぐい引っ張ろうとしている。
「ん……どうしたの?」
「セリス。起こしてごめんよ。なんかゴンが……」
『メェーッ』
まだ来いと引っ張ってる。下に何かあるのか?
「下に行けって言ってるみたいなんだけどさ」
「下に? まさか、モンスター!?」
「え?」
モンスターがこの砦に!?
「しっ。音を拾うから、静かにしてて」
そう言うとセリスは少しだけ尖った耳をそばだてた。
息をのみ、俺も必死に聞き耳を立てるが……何も聞こえない。
モンスターなのか?
「大変!? ディオン、誰かが助けを求めてるわ!」
「た、助けを!? え、じゃあ人なのか?」
「人語を話すモンスターでなければねっ」
セリスがコートを手に部屋を出る。
俺も慌てて剣と燭台を手に後を追った。
砦の外は真っ暗で、夜の冷え込みは厳しい。
それに風も意外に強い。
その風に紛れて、男の──いや、男の子の声が聞こえてきた。
「誰か……誰もいないニャか? 誰も……」
弱弱しい声は、そこで途切れてしまった。
「表の方だっ」
建物をぐるっと半周すると、表の門の前で倒れている人影が見えた。
人──というか獣人族だ!
しかも五人!?
だけどほとんど子供だ。
「おい、大丈夫か?」
「こんな小さな子たちが……ディオン、早く中に運びましょう。このままじゃ凍え死んじゃうわ」
セリスと同じく、北の大地からやって来たのだろうか?
こんな小さな子たちが……こんな険しい山道を……。
せっかくここまでたどり着いたんだ、絶対に助けるからな。
「セリスッ、五人をひとまず厨房まで運ぼう。その先は俺が背負ってひとりずつ二階に運ぶから。その間に君はストーブに薪を追加して部屋を暖めてくれ」
「分かったわ」
「あ、それから──畑から玉葱を一つ掘り起こしてオニオンスープを」
「そうね。目が覚めた子から、少しでも栄養を摂って貰わなきゃ」
抱え上げた獣人の子は凄く軽かった。
子供なんて抱えたことはないけど、きっともっと重いはずだ。
頑張れ、頑張れ。
絶対に死ぬな!
「こっちは玉葱だぞ! 凄い……百年もの間、ずっと自生していたんだ」
「他にもないかしら?」
キャベツと人参、それから玉葱。他にもないかと奥の畑部屋も確認してみたけど、残念ながら他にはなにもなかった。
「でも野菜らしい野菜が手に入った。これで冬も一安心だ」
「そうね、十分だわ。今はノームに任せて、増やすことを考えた方がいいかもね」
「あぁ、そうしよう」
今はまだ森に行けばキノコや食べられる草も手に入る。それも雪が降り積もれば手に入らなくなる。
ここの野菜を食べるのはそうなってからだ。
セリスが奥の畑部屋に行って暫くすると、モルモットが二足歩行でそこそこやってきてキャベツを囲って踊り出す。
……楽しそうだ。放っておこう。
「じゃあ私たちは魚の続きね」
「そうだね。今日中に終わらせよう」
遅くまでかかって魚を三枚おろしから塩漬けまで終わらせ、夕食後はリカバリーをしたらマットにダイブ。
あぁ、木材があったらベッドを作り直したいなぁ。
でもさすがに薪を使う訳にはいかないし、そもそも短くて利用すら出来ない。
森で木を伐採するにしても、ここまで運ぶのは大変だ。
ほんと、アイテムボックスが欲しいよ。
獲得可能スキルには『収納』はないけれど『収納上手』ならある。
試しにセットしてみたけど、なんというか……棚のどこにどれを置けばスッキル収まるか、そういうのが感覚的に分かる……という微妙なスキルだった。
他にも『荷物持ち』というスキルも、もしかしてと思ったけれど、これもその名の通りな効果。
何かを運ぶときにこのスキルがあれば、重たい物でも運べるようになるっていう効果だった。
元の筋力数値にも影響するようで、それが低いといくら荷物持ちスキルを持っていてもたいしたものは運べないようだ。
やっぱりダンジョン産のアイテムボックス以外は存在しないのかなぁ。
いっそ領主ポイントでダンジョンを設置して、そこでゲットを狙ってみるとか?
いやいや、必要ポイントまで遠すぎるじゃん。
ダンジョン生成に必要なポイント、十万だったんだぞ。
むりむり。
今、ここの領民はセリスと、あとゴンもカウントされててひとりと一匹だ。
週1で好感度と幸運度がポイントに加算されるけど、貰えるポイントが三桁になるのすら難しい状況だ。
これ、両人が増えたらここも増えるのかなぁ?
ま、それすら無理な話だけどね。
さ、寝よう。
明日も明後日も、食料集めに頑張らなきゃならないんだから。
ストーブに薪を追加して、それから蝋燭の火を消してシーツに包まった。
シーツだけじゃかなり冷え込む。ストーブの火を絶やせない。
毛皮が取れる十分なサイズの獲物も仕留められるといい……な……。
『メェッ!』
「うわっ!? ゴ、ゴン、なんだよいきなり。せっかく眠れそうだったのに」
『メェ、メェェッ』
来いと言っているのか、袖を咥えてぐいぐい引っ張ろうとしている。
「ん……どうしたの?」
「セリス。起こしてごめんよ。なんかゴンが……」
『メェーッ』
まだ来いと引っ張ってる。下に何かあるのか?
「下に行けって言ってるみたいなんだけどさ」
「下に? まさか、モンスター!?」
「え?」
モンスターがこの砦に!?
「しっ。音を拾うから、静かにしてて」
そう言うとセリスは少しだけ尖った耳をそばだてた。
息をのみ、俺も必死に聞き耳を立てるが……何も聞こえない。
モンスターなのか?
「大変!? ディオン、誰かが助けを求めてるわ!」
「た、助けを!? え、じゃあ人なのか?」
「人語を話すモンスターでなければねっ」
セリスがコートを手に部屋を出る。
俺も慌てて剣と燭台を手に後を追った。
砦の外は真っ暗で、夜の冷え込みは厳しい。
それに風も意外に強い。
その風に紛れて、男の──いや、男の子の声が聞こえてきた。
「誰か……誰もいないニャか? 誰も……」
弱弱しい声は、そこで途切れてしまった。
「表の方だっ」
建物をぐるっと半周すると、表の門の前で倒れている人影が見えた。
人──というか獣人族だ!
しかも五人!?
だけどほとんど子供だ。
「おい、大丈夫か?」
「こんな小さな子たちが……ディオン、早く中に運びましょう。このままじゃ凍え死んじゃうわ」
セリスと同じく、北の大地からやって来たのだろうか?
こんな小さな子たちが……こんな険しい山道を……。
せっかくここまでたどり着いたんだ、絶対に助けるからな。
「セリスッ、五人をひとまず厨房まで運ぼう。その先は俺が背負ってひとりずつ二階に運ぶから。その間に君はストーブに薪を追加して部屋を暖めてくれ」
「分かったわ」
「あ、それから──畑から玉葱を一つ掘り起こしてオニオンスープを」
「そうね。目が覚めた子から、少しでも栄養を摂って貰わなきゃ」
抱え上げた獣人の子は凄く軽かった。
子供なんて抱えたことはないけど、きっともっと重いはずだ。
頑張れ、頑張れ。
絶対に死ぬな!
11
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
お気に入り・感想、宜しくお願いします。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
無能と追放された俺の【システム解析】スキル、実は神々すら知らない世界のバグを修正できる唯一のチートでした
夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業SEの相馬海斗は、勇者として異世界に召喚された。だが、授かったのは地味な【システム解析】スキル。役立たずと罵られ、無一文でパーティーから追放されてしまう。
死の淵で覚醒したその能力は、世界の法則(システム)の欠陥(バグ)を読み解き、修正(デバッグ)できる唯一無二の神技だった!
呪われたエルフを救い、不遇な獣人剣士の才能を開花させ、心強い仲間と成り上がるカイト。そんな彼の元に、今さら「戻ってこい」と元パーティーが現れるが――。
「もう手遅れだ」
これは、理不尽に追放された男が、神の領域の力で全てを覆す、痛快無双の逆転譚!
アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~
eggy
ファンタジー
もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。
村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。
ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。
しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。
まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。
幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。
「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
冒険者パーティから追放された俺、万物創生スキルをもらい、楽園でスローライフを送る
六志麻あさ
ファンタジー
とある出来事をきっかけに仲間から戦力外通告を突きつけられ、パーティを追放された冒険者カイル。
だが、以前に善行を施した神様から『万物創生』のスキルをもらい、人生が一変する。
それは、便利な家具から大規模な土木工事、果てはモンスター退治用のチート武器までなんでも作ることができるスキルだった。
世界から見捨てられた『呪われた村』にたどり着いたカイルは、スキルを使って、美味しい料理や便利な道具、インフラ整備からモンスター撃退などを次々とこなす。
快適な楽園となっていく村で、カイルのスローライフが幕を開ける──。
●表紙画像は、ツギクル様のイラストプレゼント企画で阿倍野ちゃこ先生が描いてくださったヒロインのノエルです。大きな画像は1章4「呪われた村1」の末尾に載せてあります。(c)Tugikuru Corp. ※転載等はご遠慮ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる