器用貧乏の底辺冒険者~俺だけ使える『ステータスボード』で最強になる!~

夢・風魔

文字の大きさ
35 / 41

35:ユニークモンスター

しおりを挟む
「なんか……俺のシールドディフェンス……防御力上がってる?」
「俺のバッシュも威力が上がってる気がする……」
「も、もしかすると、窮地に立たされることで潜在能力が目覚めたっていう、アレじゃないですかね? ほら、俺がそうだって、ギルドマスターに言われましたし」

 と先手を打っておく。
 ギルドマスター公認の俺が言うんだから、みんなアッサリと納得してくれた。
 ステータスを弄っていない人たちは、自分だってと奮起している。

 だけどステータスを弄ったからって体力や魔力が回復する訳じゃない。
 四つのグループに分けて、交代で一グループずつ二時間だけ仮眠をとることにした。
 眠っている人には毛布を掛けてやる振りをしてパーティーに入れて、急いでステータスを弄る。

 なんとか四グループ目の仮眠が終わる頃には、全員のレベルアップが終わった。
 スキルレベルはせいぜい二つか三つしか上げていない。
 だけど元々レベルの高かったスキルを中心に弄ったから、たかがレベル2でも効果が絶大だ。
 最初は長くても一分耐えるのがやっとだったのに、今では五分近く持ちこたえることが出来るようになった。

 そして──

「ロイド! 正面奥の曲がり角っ」

 休憩明けの殲滅開始時。除き窓からルナが外の様子を確認すると、ついにその姿が見えた。

「あぁ、見えたよルナ。俺が見たのはあいつだ」
「八階にあんなモンスターはいなかった……間違いない」
「確かにデカいな」

 安全地帯に飛び込んで十時間以上過ぎた。
 よく上の階に行かず、俺たちを追いかけて来てくれたぜ。

「みんな、あいつを倒せばこのモンパレは終わる! かならず全員生きて、地上に出よう!」

 全員を振り返りそう声を掛け……あ……お、俺、仕切っちゃった!

「あ、いや、すみませんすみません」

 慌てて謝罪すると、どっと笑いが起きる。

「いや、君の言う通りだ。奴を倒し、全員一緒に地上へ出よう」
「これ終わったらさぁ、みんなで一緒に飲みましょうよぉ」
「お、いいねぇ」
「でもその前にベッドで眠りたい」
「俺も」
「あぁー、じゃあその後で」

 その言葉に全員が頷いた。

 そう。全員で──地上に出て、そして寝て、それから飲もう。
 あ、でも俺、お酒飲めないんだった。





「"プチ・ロックウォール"!」

 俺の役目は左右の通路を塞ぐこと。
 正面のあいつを倒すために、左右から押し寄せるモンスターが邪魔になる。
 余裕があればプチ・ファイアストームで援護射撃。

 ユニークモンスターは、四種類ほどのモンスターを融合させた姿をしていた。
 猪《ボア》の頭、胴は黒熊《ブラックベア》だけど、背中から蜘蛛の足が八本出ている。そして尾は蛇で、毒液と糸を出す。
 そんなモンスターが相手でも、なかなか順調だった。
 全員のスキルレベルを底上げしたからかもしれない。
 それとも生き残るんだという、強い意思かな?

 勝てる──だけど同時に「この程度?」という不安が過ぎった。

「グルルオォォォォォォォォッ!!」
「気を付けろっ、何か仕掛けて来るぞ!」

 そんな声が聞こえた瞬間。
 目の前にモンスターが一気に湧いた。

「くそっ。"プチ・ファイアストーム"!」

 俺の位置は後衛だ。左右の通路に立てた壁を見ていなきゃいけないから、この位置にいる。
 そこへモンスターが一気に湧いたのだ。
 魔法スキルを撃つ間に怪我人が出た。

「"サークル・ヒール"!」
「聖域をっ」

 僅かな時間でもモンスターを防げればいいっ。
 その間に──

「グルルオォォォォォォォォッ!!」
「くそっ。またかよ!」

 前衛の援護をする余裕がないっ。他の魔法職、それにルナともうひとりの弓手もだ。
 神官たちは治癒で手一杯になって、支援スキルバフが消えても掛け直す暇もない。

 ユニークモンスターって、こんなに強いのか!?
 だってこっちは二十人だぞ。
 けどこの状況はマズい。
 後衛が攻撃出来ないから、前衛はモンスターの進行に耐えるので精いっぱい。
 突然湧くモンスターから守ってくれる前衛がいないから、後衛は傷を負いながらそっちを優先して殲滅しなきゃならない。
 前衛も後衛も傷だらけだから、ヒーラーは回復以外に手が回らない。

 このままじゃいつまで経っても終わらないぞ。
 どうするっ。

「ロイド、行って!」
「ルナ!? でもここを離れれば──」
「壁を三つ立ててっ。あとは私たちが踏ん張るからっ。あんたなら出来るでしょ! ひとりで前衛も、後衛も、そして支援も!」

 前衛も後衛も支援も──
 そうだ。

 俺、究極の器用貧乏じゃないか。
 専門職に比べれば見劣りするかもしれない。だけどそれはステータスボードのおかげで補えるようになった。
 ただの器用貧乏じゃない。
 俺はひとりで前衛も後衛も、そして支援だって出来る!

「"プチ・ブレッシング"! ジンさんっ、俺とスイッチしてくださいっ」
「ス、スイッチ!?」
「"プチ・ロックウォール"──"プチ・ロックウォール"──"プチ・ロックウォール"」

 左側に三枚の壁を張ったあと、すぐに右側にも同じように三枚の壁を張る。

「こっちでヘイトを取って、即湧きモンスターから後衛を守ってくださいっ」
「わ、分かった。注意を引きつければいいんだなっ」

 ジンさんに代わってもらい、後衛の位置に湧くモンスターの注意《ヘイト》をスキルで引き付けて貰う。
 スイッチした直後に、プチ・ファイアストームで後方のモンスターを一掃しておく。
 これで立て直し時間を作る!

 前に出て、プチ・ブレッシングでバフる。

「ちょっと効果は下がりますけどっ」
「十分!」
「"プチ・ファイアストーム"──"プチ・バーストブレイク"!!」
「はっ。魔法と剣、同時に使うか。器用貧乏より、オールラウンダーだろ」

 オールラウンダー。なんでもそつなくこなす、万能職……か。
 今の俺は、そう呼ばれてもいい領域なのかな?

 怪我を負っている前衛には、プチ・ヒールの重ね掛け。
 合間に範囲魔法スキルで雑魚を一掃する。

「アタッカーはユニークだけを狙ってくれ! 周りの雑魚は俺が消し炭にする!」

 プチ・ファイアストームの連続で隙間が出来ると、その隙に後ろに下がって壁を追加する。
 またすぐに前に出て、治癒と攻撃を繰り返す。

 後衛に余裕が出て来たのか、バフと矢による援護が飛んで来た。
 じわじわと俺たちが押し始めた。
 だけどあなり長引かせたくない。
 体力も、魔力も無限じゃないんだから。

 勿体ない気もする。
 だけどポイントはまた頑張ってレベル上げをすればいい。
 人の命と天秤にかける必要はない。

 だから──ステータスボードを開き、急いでスキルポイントを振り分けた。

『プチ・バッシュ レベル上限』
『プチ・ファイアストーム レベル上限』

「"プチ・ファイアストーム"!!」

 唱えながら、マナハルコンの短剣に魔力を流す。

「にゃび! 挟み込むぞっ」
「うにゃー!!」

 プチ・ファイアストームで周囲のモンスターは一層され、阻むもののいなくなった空間に躍り出る。
 俺は右、にゃびは左から、それぞれ奴の首を狙った。

「"プチ・バッシュ"!」
「"爆連"にゃ!」
「くっそ、硬い!!」

 レベルを上限まで上げたのに、切り落とせないのかよっ。

 けど次の瞬間、ヒュンっと音が二つ。

 首の中ほどまで食い込んだ剣のその先に、二本の矢が突き刺さった。
 穴が開いたことで通り道が緩くなる。

 剣を指したままの状態で、俺はもう一発放った。

「"プチ・バッシュ"!!」

しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話

TB
ファンタジー
岩崎理(いわさきおさむ)40歳バツ2派遣社員。とっても巻き込まれ体質な主人公のチーレムストーリーです。

《無限倉庫》×10人の異世界転移者~倉庫x通販xガチャx魔獣x癒しx影支配x武装x召喚x情報x翻訳の力で異世界を支配しろ!

AKISIRO
ファンタジー
異世界オルバース 突如としてこの世界に召喚されたのは、地球から来た10人の男女たち──全員が“主人公クラス”の力を与えられた存在だった。 無限に収納可能な《無限倉庫》 現代の商品を取り寄せる《ネット通販》 伝説級の存在を呼び出す《ガチャ召喚》 モンスターを支配する《魔獣統率》 あらゆる病を癒やす《奇跡の治癒》 裏社会を牛耳る《影の支配者》、 武具を奪う《完全武装》 英霊を呼び出す《召喚術》 情報で支配する《情報屋》 神の言葉を操る《翻訳者》 地球の常識と異世界の魔法が交差するこの地で、彼らはそれぞれの目的を胸に覇道を歩み始める。 だがその裏で囁かれる一つの真実。 「この世界で最後まで生き残り、覇王となった者だけが元の世界に帰還できる」 友情か、裏切りか。 戦争か、共闘か。 10人の主人公がそれぞれの国家、仲間、そして信念を賭けてぶつかり合う。 欲望と戦略が渦巻く異世界で、真に“主人公”の座に立つのは誰だ──!? 全スキル・全能力・全ルールを統べる、異世界覇王バトル、ここに開幕!

ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!

さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。 冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。 底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。 そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。  部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。 ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。 『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!

最強の職業は付与魔術師かもしれない

カタナヅキ
ファンタジー
現実世界から異世界に召喚された5人の勇者。彼等は同じ高校のクラスメイト同士であり、彼等を召喚したのはバルトロス帝国の3代目の国王だった。彼の話によると現在こちらの世界では魔王軍と呼ばれる組織が世界各地に出現し、数多くの人々に被害を与えている事を伝える。そんな魔王軍に対抗するために帝国に代々伝わる召喚魔法によって異世界から勇者になれる素質を持つ人間を呼びだしたらしいが、たった一人だけ巻き込まれて召喚された人間がいた。 召喚された勇者の中でも小柄であり、他の4人には存在するはずの「女神の加護」と呼ばれる恩恵が存在しなかった。他の勇者に巻き込まれて召喚された「一般人」と判断された彼は魔王軍に対抗できないと見下され、召喚を実行したはずの帝国の人間から追い出される。彼は普通の魔術師ではなく、攻撃魔法は覚えられない「付与魔術師」の職業だったため、この職業の人間は他者を支援するような魔法しか覚えられず、強力な魔法を扱えないため、最初から戦力外と判断されてしまった。 しかし、彼は付与魔術師の本当の力を見抜き、付与魔法を極めて独自の戦闘方法を見出す。後に「聖天魔導士」と名付けられる「霧崎レナ」の物語が始まる―― ※今月は毎日10時に投稿します。

透明色の魔物使い~色がないので冒険者になれませんでした!?~

壬黎ハルキ
ファンタジー
少年マキトは、目が覚めたら異世界に飛ばされていた。 野生の魔物とすぐさま仲良くなり、魔物使いとしての才能を見せる。 しかし職業鑑定の結果は――【色無し】であった。 適性が【色】で判断されるこの世界で、【色無し】は才能なしと見なされる。 冒険者になれないと言われ、周囲から嘲笑されるマキト。 しかし本人を含めて誰も知らなかった。 マキトの中に秘める、類稀なる【色】の正体を――! ※以下、この作品における注意事項。 この作品は、2017年に連載していた「たった一人の魔物使い」のリメイク版です。 キャラや世界観などの各種設定やストーリー構成は、一部を除いて大幅に異なっています。 (旧作に出ていたいくつかの設定、及びキャラの何人かはカットします) 再構成というよりは、全く別物の新しい作品として見ていただければと思います。 全252話、2021年3月9日に完結しました。 またこの作品は、小説家になろうとカクヨムにも同時投稿しています。

終末世界の解析者~現代ダンジョンに滅ぼされた世界で最強クラフトスキルを駆使して送る、快適楽園スローライフ!~

はむかつ
ファンタジー
目が覚めたら世界が滅んでいた!? 世界中に突如現れた現代ダンジョンにより、世界人口の大半が死滅した。 植物が侵食し都市機能がマヒした世界で、生き延びたわずかな人同士で物資を奪い合うディストピア。 研究施設で目覚めた朝霧ユウトは、そんな終末世界で生き延びるために最適なスキル『解析・修理・復元』が使えるようになっていた。 物資調達に来ていた美人姉妹との出会い。 極悪な集落との決別、新しい拠点づくり。 現代知識を駆使した快適なスローライフ。 次々に増える居住者(ハーレム要素あり) 極悪な元集落へのざまぁ展開。 そしてダンジョンの謎、この世界の行く末は……。 個性豊かなキャラクターとともにサバイバルを生き抜いていく、時にシリアス、時にほのぼのなストーリー、ここに開幕。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

処理中です...