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43:どうか幸せになってね
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「このパーティーで着けて欲しいって、あの時いいましたわよね私!」
「ル、ルシアナ様?」
「聞きましたわ、ロザンヌさんに。本当は私と一緒にお茶をするのも、顔を見るのも嫌なんですってね」
「そ、そんなことっ。言ってません、私。言うはずがないです。だって、ルシアナ様はお友達だもの」
だけどこのことは、既に他の令嬢の耳にも入っている。
もちろんロザンヌの嘘だけど、私がこれを口にすることであの場にいた令嬢たちも信じてしまうだろう。
「そんなこと言って、エリーシャさん。本当はベンジャミン殿下に近づくのが目的で、私を利用なさったんじゃないですの?」
「ど、どういう、ことですか?」
「どうって。私、見ましたのよ。さきほど庭園で、あなたとベンジャミン皇子が密会していたのを」
「み、密会だなんて、違いますっ。私がたまたま庭園で散歩をしていた時に、殿下とお会いしただけでっ」
「偶然出会ったにしては、随分とお二人とも距離が近かったように見えますけど?」
私がそう叫ぶと、周囲がざわついた。
令嬢たちの中にはわざとらしく、小さな悲鳴を上げる人もいる。
ほとんどが興味津々な様子で、私たちに視線を向けていた。
「熱いまなざしを、皇子に向けていたでしょう? ねぇ、エリーシャさん」
「そ、それは……きょ、今日は暑かったので、そう見えただけですルシアナ様」
「そう、暑かったの。そんな暑い中で、どうしてお二人は見つめ合い、抱擁を交わしたのかしら?」
会場にひと際大きなどよめきが起きる。
私は嘘を言ってはいない。いないけど、心が痛む。
それからも私は彼女を罵り続けた。
そして気づくと、私たちを囲む輪のすぐ横に、ベンジャミン皇子が立っていた。
パンッ──と、乾いた音が響く。同時に頬がピリピリと傷んだ。
突然のことにビックリした。
ベンジャミン皇子が、私を引っぱたいた、の?
原作ではそんなこと、起こらなかったのに。
そっと彼に視線を向けると、物凄く怒っているのが分かった。
「君がこのように嫉妬深い女性だとは知らなかったよ」
落ち着いて、私。
落ち着いて……ってか、なんぜ私が引っぱたかれなきゃいけないの?
二人が出会うことは知っていたけど、わざわざお膳立てはしてないわ。
勝手に出会って、勝手にあんたが一目惚れしてんのでしょ?
事実を言ったまでじゃない。まぁちょっと誇張はしたけどさぁ。
悪いのあんたでしょ?
婚約者いるのに、他の女に尻尾降って近づいたあんたが悪いんでしょ!!
「ベンジャミン皇子。私が嫉妬しているとお思いだということは、つまり嫉妬されるようなことをしているという自覚がおありだってことですよね?」
感情を押し殺した声で、皇子に問う。
「そ、それは……」
「後ろめたいことがおありなんですよね? 小さな噴水の脇で二人が抱き合っていたことに、どんな言い訳がございますの?」
「わ、わたしは……」
「ベンジャミン皇子のお噂は耳にしておりましたが、まさか婚約発表のその日に別の女性と恋に落ちるだなんて思いもしませんでしたわ」
皇子が苦虫を嚙み潰したような表情を見せる。
だけどすぐにその表情が変わった。
どこか悲し気にも見える皇子は、青ざめた表情で私の隣に立つエリーシャを見た。
「確かにわたしは君という婚約者がいながら、別の女性に好意を抱いてしまった」
ん? なんかあっさり、認めてる?
「だからわたしは、君との婚約を撤回する。わたしの不義が原因での婚約破棄だ。もちろん君にはそれ相当の償いをするつもりだ」
「皇子から……婚約を破棄にすると?」
「そうだ。だが……出来ればこんな形で君とのことを終わらせたくはなかったよ」
なに言ってやがりますかねこの男?
でも婚約破棄してくれたことは有難いわ。それに償いもするっていうし。
これで侯爵家の爵位が剥奪されることはないはず。
「ベンジャミン皇子。正式な手続きはまた後日にお願いいたします」
「あぁ」
短い返事を聞いた後、会釈をしてその場から歩き出す。
「ル、ルシアナ様、わた、私……」
「友人だと思っていたのは、私ひとりだったようですわね」
「そんな……そんな」
「さようなら、エリーシャさん」
ちょっと苦労するかもしれないけど、どうか幸せになってね。
「ル、ルシアナ様?」
「聞きましたわ、ロザンヌさんに。本当は私と一緒にお茶をするのも、顔を見るのも嫌なんですってね」
「そ、そんなことっ。言ってません、私。言うはずがないです。だって、ルシアナ様はお友達だもの」
だけどこのことは、既に他の令嬢の耳にも入っている。
もちろんロザンヌの嘘だけど、私がこれを口にすることであの場にいた令嬢たちも信じてしまうだろう。
「そんなこと言って、エリーシャさん。本当はベンジャミン殿下に近づくのが目的で、私を利用なさったんじゃないですの?」
「ど、どういう、ことですか?」
「どうって。私、見ましたのよ。さきほど庭園で、あなたとベンジャミン皇子が密会していたのを」
「み、密会だなんて、違いますっ。私がたまたま庭園で散歩をしていた時に、殿下とお会いしただけでっ」
「偶然出会ったにしては、随分とお二人とも距離が近かったように見えますけど?」
私がそう叫ぶと、周囲がざわついた。
令嬢たちの中にはわざとらしく、小さな悲鳴を上げる人もいる。
ほとんどが興味津々な様子で、私たちに視線を向けていた。
「熱いまなざしを、皇子に向けていたでしょう? ねぇ、エリーシャさん」
「そ、それは……きょ、今日は暑かったので、そう見えただけですルシアナ様」
「そう、暑かったの。そんな暑い中で、どうしてお二人は見つめ合い、抱擁を交わしたのかしら?」
会場にひと際大きなどよめきが起きる。
私は嘘を言ってはいない。いないけど、心が痛む。
それからも私は彼女を罵り続けた。
そして気づくと、私たちを囲む輪のすぐ横に、ベンジャミン皇子が立っていた。
パンッ──と、乾いた音が響く。同時に頬がピリピリと傷んだ。
突然のことにビックリした。
ベンジャミン皇子が、私を引っぱたいた、の?
原作ではそんなこと、起こらなかったのに。
そっと彼に視線を向けると、物凄く怒っているのが分かった。
「君がこのように嫉妬深い女性だとは知らなかったよ」
落ち着いて、私。
落ち着いて……ってか、なんぜ私が引っぱたかれなきゃいけないの?
二人が出会うことは知っていたけど、わざわざお膳立てはしてないわ。
勝手に出会って、勝手にあんたが一目惚れしてんのでしょ?
事実を言ったまでじゃない。まぁちょっと誇張はしたけどさぁ。
悪いのあんたでしょ?
婚約者いるのに、他の女に尻尾降って近づいたあんたが悪いんでしょ!!
「ベンジャミン皇子。私が嫉妬しているとお思いだということは、つまり嫉妬されるようなことをしているという自覚がおありだってことですよね?」
感情を押し殺した声で、皇子に問う。
「そ、それは……」
「後ろめたいことがおありなんですよね? 小さな噴水の脇で二人が抱き合っていたことに、どんな言い訳がございますの?」
「わ、わたしは……」
「ベンジャミン皇子のお噂は耳にしておりましたが、まさか婚約発表のその日に別の女性と恋に落ちるだなんて思いもしませんでしたわ」
皇子が苦虫を嚙み潰したような表情を見せる。
だけどすぐにその表情が変わった。
どこか悲し気にも見える皇子は、青ざめた表情で私の隣に立つエリーシャを見た。
「確かにわたしは君という婚約者がいながら、別の女性に好意を抱いてしまった」
ん? なんかあっさり、認めてる?
「だからわたしは、君との婚約を撤回する。わたしの不義が原因での婚約破棄だ。もちろん君にはそれ相当の償いをするつもりだ」
「皇子から……婚約を破棄にすると?」
「そうだ。だが……出来ればこんな形で君とのことを終わらせたくはなかったよ」
なに言ってやがりますかねこの男?
でも婚約破棄してくれたことは有難いわ。それに償いもするっていうし。
これで侯爵家の爵位が剥奪されることはないはず。
「ベンジャミン皇子。正式な手続きはまた後日にお願いいたします」
「あぁ」
短い返事を聞いた後、会釈をしてその場から歩き出す。
「ル、ルシアナ様、わた、私……」
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「そんな……そんな」
「さようなら、エリーシャさん」
ちょっと苦労するかもしれないけど、どうか幸せになってね。
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