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東堂京介

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第1章

第3話 RePurge

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会場が静まり返る中、沢木真帆は少しだけ目を閉じ、深呼吸をした。


彼女の表情はいつもよりも引き締まり、これからの責任を感じさせるものだった。

先程までの司会者の立場を交代し、真帆は東堂の傍に立つ。


「皆様、本日はお忙しい中、大和テレビの記者会見にお集まりいただき、誠にありがとうございます。」

彼女の声は落ち着いており、しかしその一言一言に確かな決意が込められていた。


「私は、Inovex室長として、この場に立たせて頂きます沢木真帆と申します。
以後、宜しくお願い致します。

我々Inovexは、大和テレビが抱える課題を洗い出し、改善策を提案するために設立された組織です。

Inovexの目的は、透明性と信頼を再構築し、皆様にとって本当に価値ある報道を提供することにあります。」


彼女は一瞬、周囲の記者たちを見渡しながら、さらなる言葉を続けた。


「特に、私たちがこれから進める報道番組においては、過去の問題点を乗り越え、確かな証拠に基づいた報道を実現していきます。


告発者A氏、いえ浅沼蒼一氏。

並びに彼の告発の後社内において不遇な立場に置かれてしまった


大崎若菜氏

この両名と共に、私たちは何よりも、視聴者の信頼を最優先に活動していく所存です。」
 

「沢木さんは大和テレビ所属ではないんですか?」


記者の言葉が発せられる。それは問いというより疑問が口から零れ落ちたかのような静かなものだった。


「はい、私はこの職をお引き受けする際に大和テレビの役職と責務を全て辞しています。
また、個人の資産からInovexの株式を僅かながらですが保有させて頂いています。」


「つまり、言いなりにはならないと?」


記者の言葉に沢木真帆は少し笑みを浮かべる。


「Inovexの理念を阻害するのであれば、たとえ大株主であろうと意見は申させていただくと思います。

その際は皆様もご協力よろしくお願いしますね。」


その言葉に、記者たちは目を見開き、東堂は苦笑する。


沢木真帆の論理的で少しシニカルさを含んだ口調は、まさにInovex室長としての姿勢そのもので、会場に集まった人々に強い印象を与えた。


「そして今回の会見において特にご注目いただきたいのは、私たちが新たに開始する報道番組の発表です。」


沢木真帆は少しの間、言葉を区切り、深呼吸をした。そして、会場に向けて堂々と続けた。


「その番組では真実の追求と視聴者にとっての透明性を重視し、これまでの報道の枠を超えた新しい形の情報提供を目指します。」


会場の空気が少しだけ変わり、記者たちの表情が真剣になった。

その後、沢木真帆は浅沼蒼一、元部下である大崎若菜の登場を予告するように一歩前に出た。


会場の空気は一層引き締まり、緊張感が漂っていた。
沢木真帆が再びマイクを手に取ると、彼女の顔には決意と覚悟が色濃く滲む。


「皆様、引き続きご注目いただきありがとうございます。
これからご紹介するのは、大和テレビが進める新しい取り組みの一環として開始される報道番組、


RePurge


のメインキャスターの二人です。」


真帆は一度深呼吸をしてから、堂々と宣言する。


「まずは、当番組RePurgeのメインキャスターを務めます、浅沼蒼一です。」


浅沼蒼一が新たな役職に就くことが発表され、会場内にはフラッシュが焚かれ、カメラが彼を取り囲む。

彼は少し息を呑み、笑顔を作ろうとするが、心の中ではその笑顔に裏打ちされた自信などどこにもない。
 

怖いな、俺は素直にそう思った。


あの日、あの男が家を訪れた時にこうなる定めを受け入れたつもり、だったんだがな。

胸を張れ、笑顔絶やすな、虚勢でいいから絶対に折れるな。
どこの軍隊の教えだとあの頃はそう思っていたのだが、なるほど教えというものは乞うべきものだな。

俺は精一杯の虚勢を張って記者たちをねめつける。


その瞬間、記者たちの質問が突き刺さる。


「RePurgeのキャスターとして、どんな意気込みをお持ちですか?」


「この仕事を私が、やるべきだと。そう確信しましたので東堂社長の要請をお受けいたしました。」

 
そう記者に告げると、俺は自らの左の頬を少し摩った。

 
覚えてろ東堂、さん。



RePurgeは俺のもんだ





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