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東堂京介

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第4章

第5話 仕事

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「鐵角さん派手にやっているみたいだな。」

東堂は真帆の淹れてくれたコーヒーを口に運びながら浅沼に言う。


「話題に事欠かないから助かりますよ、派手な政治改革ネタはRePurgeにピッタリだ。社長への恩返しですかね。」

どうも、と会釈しながらコーヒーを受け取る浅沼。


「そんなこと考える柄じゃないさあの人も、政治家だからな。」

東堂の言葉を受けて真帆も相槌を打つ。


「そうですよ。鐵角知事、凄くまじめな方でしたよ。嘘つけない感じでした。」

真帆の言葉を聞き東堂がふっと微笑む。


「つけないんじゃない、つかないんだよ。それが一番強いからな。」

ふうん、とわかったようなわからないような顔で東堂の言葉を真帆は流す。

こういう時はわかったような顔をしておけばいい、どうせ聞いても東堂は教えてはくれない。


「政治家と言えばこないだのアキラ君の放送バズってましたね。
飯塚さんあの後党と大喧嘩して離党したらしいですよ、昨日アキラ君のチャンネルで愚痴ってましたよ。可哀そうに。」

浅沼が東堂に話題を振る。


「ふん、飯塚伝治。可哀そうなものか、新しいうねりを作り出そうと確り動いてる。大したもんだよ。」

東堂は飯塚を評して言う。


「うねり?」

その真帆のつぶやきを拾った浅沼が答える。


「アキラ君ですか?でも彼は確かに影響力もある、頭も決して悪くない。でも彼を巻き込んで勝てますかね?」


「無理だろうな。野生の鳶を繋いで飼えるものか、鳶は鷹になるんだよ。なれなきゃ落ちて死ぬだけだ。」

アキラに政治は向いてない、と。

そう解釈した真帆は、そう言えばと、東堂に報告する。


「後ほど正式な文書で技術から届くと思いますが、「SILVER BULLET」いけるとのことです社長。」


「おお、やっとか、やはりなかなか掛かるものだな。それは報告書が待ち遠しいな。」

東堂が珍しく揉み手をしながらほおを緩める。


「お、やっとですか俺の同期の初陣は。」

浅沼も嬉しそうに真帆の方を見た。


「はあ、お二人とも男の子ですねえ。ただの機械じゃないですか、なんでそんな喜ぶのかわからないですね私には。特に浅沼さん、貴方自分の仕事を奪われてるんですよ?」

真帆の指摘に、浅沼は軽く肩をすくめる。


「ご心配どうもです、でもまだまだ難しいですよ。AIってのは結局、データを処理して最適化するもんだ。SILVER BURETTが上手くいけば、ニュースの流れも変わる。でも結局、人間の微妙な感覚が必要な場面もあるからね。」

東堂も頷きながら、興味深そうに言う。


「確かに、完全に任せるわけにはいかないな。だが、AIで完結する部分が増えるのは確かだ。上手く機能すれば、24時間ニュースが最適化されて、視聴者のニーズに最適なものが流れ続ける。」


「へえ、でも私にはやっぱりピンと来ないですね。」

真帆は少し首を傾げる。


「ま、私の仕事は変わらないですけど。」

その時、浅沼が軽く笑いながら言う。


「視聴者の反応がどうなるかは大きなポイントですね。データを分析して、最適な情報をリアルタイムで流していくわけだから、従来のニュース番組とは一線を画すことになる。」


「確かに。」

東堂が軽く腕を組みながら、声を低くして言う。


「その流れが上手くいけば、かなり革新的なものになる。しかしまだ人間の感覚の必要な局面がある。」

真帆が言う。


「まだまだ赤ちゃんみたいなもんなんですかね。」


浅沼がにやりと笑い言う。


「ですね、人間の100万倍計算できるだけの赤ん坊ですよ。24時間365日働かせ放題のね。」


AIにも労働基準法を、とか言い出したらどうするんだろう。

真帆はそんなことを思う。


「それに今更でしょう、大抵の仕事はこれからAIに持ってかれるんですよ焦っても仕方ないです。人間便利なものは手放しませんよ、流れ流れ時代の流れです。」

浅沼は真帆に軽口で返すと少し声のトーンを落とす。


「東堂社長、堀口さんが追ってる件ですが後で彼もここに来ますが良いですか。」


「掴んだのか?」

東堂は涼し気な表情のまま問い返す。


「ええ、俺もまださっき聞いたところですがかなり大きいです。」

緊張した面持ちで浅沼は返答する。


「そうか、なら堀口を待つか。沢木君、今日はもういいよコーヒー御馳走様。」

東堂は沢木に帰るよう促す。


「はい、それではお先に失礼します。」

真帆は東堂と浅沼の残る部屋をお辞儀して退出する。


もういいよ、といわれましてもね。真帆はふうと息を溢しInovexへと戻っていく、私のお仕事はまだまだあるんですよっと。


 AIもっと発達しないかなあ、仕事奪ってくれないかなあ。

真帆は宙を見上げながらそんな益体もないことを思うのだった。







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