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あの頃の『ワタシ』と今の私
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「あーもう!なんでこんなに頑張って書いてるのに1回もいい賞が取れないの!」
小説を書き始めて早4年。私は1回も銅賞より上位の賞を取れていない。それ以上にストレスをためる要因は、
「ここに書いてあるじゃん。内容にオリジナリティーがないって。」
私の幼馴染の久戸瀬真都(くどせ まなと)だ。いつも返って来た作品についてる評価に落ち込んでいるとき追い打ちをかけてくる。ちなみに真都の成績はいつもしたら数えたほうが楽になる。私は…言うまでもないよね。まあ兎にも角にも真都はうざい。
「なんでいつも落ち込んでいる時に追い打ちかけてくるの?人なの?」と文句を言うと
「だからお前にもっといい小説を書いてほしんだって」と返される。こいつこういう時だけ頭の回転速いんだよね…
「なぁ安音、お前なんで賞も取れてないのに小説を書いてんだ?」
不意に真都が聞いてきた。
「そんなの決まってるじゃない。私は…」そこで言葉に詰まってしまった。(あれ?なんで私こんなに必死になって小説を書いてるの?…ダメだ思い出せない…)
「やっぱり忘れてたか。」と真都は哀れむような呆れたような顔をして見つめてくる。そのことに気づいたとき私は驚いた。あのテストでどんなに酷い点をとってもどんなに酷いことが起きてもいつもケロッとした表情の能天気さを見せていたのにこんな表情を見せたことに私は意外に感じたからだ。
その後気まずくなり、いつもは真都と一緒に帰っていたのに今日は一人で早く帰っていた。小説を書いてる理由すら言えない自分に強い失望感を憶えながら。
「おーい、安音ー」その時急に名前を呼ばれた。振り返るとそこには友人の加瀬羽美(かせ うみ)が走ってきた。…やたらと重そうなカバンを背負いながら。ちなみに彼女もアイツと同じように成績は下から数えたほうが早い。どうしてそんなに走っていたのかを尋ねると、「もうすぐテストでしょ?…だから勉強を教えて、ってどうしたのその顔!?」彼女に指摘されてその時初めて私は泣いていたことに気づいた。彼女にもなんで賞も取れないのに小説を書いてるのかの理由が思い出せないことを話した。彼女は黙って話を聞いてくれた。
すると彼女は突然立ち上がり私をギュッと抱き締めた。そして泣きそうになりながら
「ちょっとずつ思い出そうね。」
と優しく私に囁きかけてきた。
(記憶喪失じゃないんだから)
と思いつつも彼女の優しさに心が少し楽になった。
あれから暫くして美羽に勉強を教え始めてから1時間が経った頃未だに私は理由が思い出せないことが気になっていた。
「ねえ。聞こえてる?」
「あっごめん。」
私はさっきからこんな具合で勉強に集中出来ていない。すると彼女は
「集中出来ないなら今日はもうお開きにしようか。」と言ってきた。ここで普段の私なら「サボりたいだけでしょ」と言えるのに今日は頷いてしまった。
彼女を見送った後部屋に戻った私は今日の出来事を思い出していた。真都のあの表情と言葉、言葉に詰まってしまった私の事等々を考えていたらまた涙が出てきた。この事を忘れたい思ってまたノートを開いた。ノートの最初のページには破り捨てられた跡が残っていた、恐らくここになんで小説を書き続けているのかの理由が書いてあったのだろうと思ったが、思い出せない。むしろノートの破り捨てられた跡見たらより気持ちがぐちゃぐちゃになってよくわからなくなってきた。
ドウ…シ…テ?
え?
ナンデ…オモ…イダセナイ…ノ?
頭の中で誰かの声が聞こえてきた。私はもっとよく分からなくなってきた。
『思い出せないならやめちゃえばいいじゃん。楽になっちまえよ。』
それだけがはっきり聞こえた私は
小説家になりたいという夢を捨てた
小説を書き始めて早4年。私は1回も銅賞より上位の賞を取れていない。それ以上にストレスをためる要因は、
「ここに書いてあるじゃん。内容にオリジナリティーがないって。」
私の幼馴染の久戸瀬真都(くどせ まなと)だ。いつも返って来た作品についてる評価に落ち込んでいるとき追い打ちをかけてくる。ちなみに真都の成績はいつもしたら数えたほうが楽になる。私は…言うまでもないよね。まあ兎にも角にも真都はうざい。
「なんでいつも落ち込んでいる時に追い打ちかけてくるの?人なの?」と文句を言うと
「だからお前にもっといい小説を書いてほしんだって」と返される。こいつこういう時だけ頭の回転速いんだよね…
「なぁ安音、お前なんで賞も取れてないのに小説を書いてんだ?」
不意に真都が聞いてきた。
「そんなの決まってるじゃない。私は…」そこで言葉に詰まってしまった。(あれ?なんで私こんなに必死になって小説を書いてるの?…ダメだ思い出せない…)
「やっぱり忘れてたか。」と真都は哀れむような呆れたような顔をして見つめてくる。そのことに気づいたとき私は驚いた。あのテストでどんなに酷い点をとってもどんなに酷いことが起きてもいつもケロッとした表情の能天気さを見せていたのにこんな表情を見せたことに私は意外に感じたからだ。
その後気まずくなり、いつもは真都と一緒に帰っていたのに今日は一人で早く帰っていた。小説を書いてる理由すら言えない自分に強い失望感を憶えながら。
「おーい、安音ー」その時急に名前を呼ばれた。振り返るとそこには友人の加瀬羽美(かせ うみ)が走ってきた。…やたらと重そうなカバンを背負いながら。ちなみに彼女もアイツと同じように成績は下から数えたほうが早い。どうしてそんなに走っていたのかを尋ねると、「もうすぐテストでしょ?…だから勉強を教えて、ってどうしたのその顔!?」彼女に指摘されてその時初めて私は泣いていたことに気づいた。彼女にもなんで賞も取れないのに小説を書いてるのかの理由が思い出せないことを話した。彼女は黙って話を聞いてくれた。
すると彼女は突然立ち上がり私をギュッと抱き締めた。そして泣きそうになりながら
「ちょっとずつ思い出そうね。」
と優しく私に囁きかけてきた。
(記憶喪失じゃないんだから)
と思いつつも彼女の優しさに心が少し楽になった。
あれから暫くして美羽に勉強を教え始めてから1時間が経った頃未だに私は理由が思い出せないことが気になっていた。
「ねえ。聞こえてる?」
「あっごめん。」
私はさっきからこんな具合で勉強に集中出来ていない。すると彼女は
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ドウ…シ…テ?
え?
ナンデ…オモ…イダセナイ…ノ?
頭の中で誰かの声が聞こえてきた。私はもっとよく分からなくなってきた。
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