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9話 嵐の原因 その1
しおりを挟む「えっ? 局所的な嵐……? それもゼクセン公爵領だけにですか?」
「うむ、どうやらそういう事態が起こっているらしいのだ。それも公爵領の中でも、ゼクセン家に直接関係のある場所に集中しているらしい」
「それって……」
「ゼクセン家の屋敷や別荘地周辺だけに嵐が起こっているとうことになるな」
「……」
不思議なことも起こるものだ。私はお父様からその話を聞いている。
「ですが、その話が私に何か関係しているのでしょうか?」
嵐のことを私に言われてもどうしようもないと思うけれど。お父様の考えていることが分からない。単に情報として伝えているわけではなさそうだし。
「嵐の原因について興味がないか?」
「まあ、確かに……不思議な現象ですもんね」
「そうなのだ。魔法でもここまで局地的な現象はなかなかあり得ない。何よりも何日も持続しているらしいからな」
嵐がずっと続いているのは大変なことね……他人事ではあるけれど、同情しないわけではない。いくら婚約破棄をされた家とは言っても。
「流石にシード様も作為的なものを感じているようだ。犯人捜しというわけではないが、嵐の原因について調査を開始したらしい」
「そうなんですね……」
嵐の原因……人間がそれを調べたところで、特定なんて出来るのかしら? その時私は一人の人物? の顔が心に浮かんだ。確か怪しい笑みも漏らしていたしね。
「私は心当たりがあるかもしれません……」
「うむ、やはりそうだったか。例の世界樹の森の精霊の件だな」
「クリファのことですね。まあ、確かに彼女なら局地的な嵐も引き起こせそうです」
大地の精霊ということだし、数百年以上生きているらしいしね。私が婚約破棄された時に出かけたのも嵐の準備をしていたのかもしれないし。
「少しクリファに話を聞きに行って来ます」
「うむ、よろしく頼む。私が行っても意味はないだろうしな。それから……放っておくと、シード様が突き止めてしまうかもしれないからな」
うーん、それはそれで怖いわね。クリファとシード様の兵士たちとの戦いになんてなったら困るし……そうだわ、念のためにアスタルにも連絡しておこうかしら。
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