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24話 疑惑 その2

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「エメリ嬢、ここに居たのか?」

「フラック王子殿下!」


 なんだか久しぶりの再会のような気がしてしまう。傍らにはメイラースさんも居るけれど、原因は彼女にあるような気がするわね。


「使用人から話は聞いている。ラグディ・コーブル公爵が宮殿に正門に居るということだが……」

「左様でございます。私も先ほど、メイラースさんから伺ったのですが、ラグディ様と門番の方々でトラブルになっているとか……」

「うむ、その件なんだがな」

「はい?」

 フラック様は不思議と冷静だった。そんなトラブルが正門で起こっていれば、王家としてはすぐに収束させたいはずなのに。


「トラブルは既に終わったらしい。私もさっき確認してきたが、ラグディ殿は帰っていたな」

「えっ……そうなのですか?」

「ああ。後で兵士に詳しく話は聞くが、とりあえず君の様子を見に来たということだ」

「さ、左様でございましたか……ありがとうございます」


 あれ? もう収束したの……? 私はメイラースさんに視線を合わせる。彼女は明後日の方向に目を向けていた。


「……」

「……」


 なんだか、この人の言動はおかしい気がしてしまう。フラック様がここに来た、ということは相談に行ったのは間違いないのだろうけれど。でも、フラック様が正門に様子を見に行った時には既にラグディ様は帰った後だった。そんな偶然があるのだろうか?

 メイラース様の話では、普通に入り口付近でトラブルが発生していたということだったし。彼女は一体……。

 それに、もう一つ不思議な点として、最初にフラック様に相談には行かず、私のところに来たというのも引っ掛かる。リシア様も彼女のことを見覚えがあると言っているし……。


「エメリ嬢……どうかしたのか? 大丈夫か?」

「いえ、フラック様。お気遣いありがとうございます、大丈夫ですので」

「そうか……なら、いいのだが。まあ、ラグディ殿は帰ったのでとりあえずは安心してくれ。後で兵士からも事情を聞いておくしな。まったく……どういうつもりなのか……」

「すみません、フラック様……」

「気にするな。君の不安を取り除くのも私の仕事ではあるからな」


 私は深々と頭を下げて、フラック様にお辞儀をした。フラック様には色々と助けてもらってばかりだ……こんなお辞儀くらいではとても返せない。聖女の能力を最大限に使って恩返しをしたいと思っている。

 しかし……。


「……」

「……」


 リシア様は明らかに、使用人のメイラースさんを不審そうに見ていた。ただし、王子殿下の手前、何も言わないだけだろう。根拠もなく人を疑うことはしたくないけれど、私もリシア様と同じ考えを持っていたのだと思う。
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