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7話
しおりを挟む「クラウド様……」
「やあ、エリナじゃないか。久しぶりだな!」
「ええ、そうですね……」
応接室に招いたクラウド様だけれど、以前、婚約破棄をした時の態度とは全く違うわね。一体、何を考えているのかしら……。
「クラウド様、お初にお目にかかります。アランと申します」
「アランか……私は何度か見ていたが、こうして話すのは初めてになるかな?」
「左様でございますね」
「ふむ……しかし、なぜ貴殿がここにいるのだ?」
クラウド様は、私のとなりにアラン様が座っていることに疑問を持っている様子だった。私達が婚約していることを知らないのかしら?
「アラン様は私の新しい婚約者になります。この屋敷にいるのは自然のことですよ」
「なに……婚約者だと?」
「クラウド様……どうやらエリナ様は新しい相手を見つけられたようですね」
クラウド様の護衛である執事が彼に話していた。あの人は確かカイルだったかしら。あの人も私とアラン様のことは知らなかったみたいね。
「しかし、伯爵令嬢になったというのに、伯爵家と婚約したのでは意味がないだろう?」
「えっ? どういうことですか……?」
意味が分からないわね。なにが言いたいのかしら。
「エリナ! お前は私と婚約するべきだ! 私は侯爵令息なのだからな! 伯爵家よりもはるかに有益なはずだ。今からでも遅くはないぞ!」
「えっ……これって……」
「ああ、そういうことか」
私もアラン様も気付いてしまった。クラウドは手のひら返しをしているわけだ。私がは伯爵令嬢になったからでしょうけれど、ここまで行って来るとは……引いてしまうわね。
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