婚約破棄した相手は私の正体を知らなかったようです

マルローネ

文字の大きさ
11 / 14

11話

しおりを挟む
「さて、ビルデ・フォース侯爵の屋敷の前に来ているわけだが……エンリ、思うところがあるんじゃないか?」

「そうですね、グリアム国王陛下。思うところは色々あります。ビルデ様には酷い扱いを受けたので」


 婚約破棄の一件の全ての元凶と言っても過言ではない。私のところに動物の死体や不幸の手紙が送られたのも、ビルデ様の責任とも言えるのだから。例え実行犯ではなかったにしても、彼が強引な婚約破棄を行わなければこんなことにはならなかった。


 同様に、彼の信者からの嫌がらせを受けることもなかったわけで……私はビルデ様への恨みを募らせていた。考えられる限りの最大の罰を受けてもらいたいという思いがある。ただ、私が罰を与える立場にはなれないのだけれど、裁判でしかるべき罰は受けて欲しいと思っている。


「さて、では行くとしようか」

「はい、グリアム陛下!」


 私達は気を引き締めながら、ビルデ様の屋敷の門をたたいた───。



--------------------------------------


(ビルデ・フォース侯爵視点)


「グリアム国王陛下とエンリの二人が現れたのだな?」

「はい、ビルデ様。応接室にお通ししてもよろしいでしょうか?」

「仕方あるまい……丁重に通すんだ」

「畏まりました」


 護衛兼執事のハモンドは私の言葉を聞いて去って行った。言い付け通り、二人を応接室に通すのだろう。同時に来ているであろう護衛の面子も通すことになるだろうか。くそ……どうしてこのような事態になったのか。


 私は単に自分の趣味を妻になるはずのエンリに押し付けただけだ。それのどこが悪いと言うのだ? 侯爵と言う立場は領民の管理1つをとってもストレスが伴う。伯爵以下の連中と比べて治める範囲が多いからな。それだけに不満も多く出て来るというものなのだ。それらを処理するには多大な労力を有する。

 領民の中から美人を選択して招き、様々な道具を用いて楽しむ……そのくらいのご褒美がなければ、とてもやっていられない仕事なのだ。それで領民達は平和な暮らしが出来るのだから、安いものではないか?

 それを妻になるはずだったエンリに強制して何が悪いと言うのか……ダメだ、あの国王陛下は理解していない。なんとか理解してもらう必要があるだろう。それは私の話術次第だろうか。

 待っていろ……確実に攻め落としてやるからな。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

「お前を愛する事はない」を信じたので

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」 お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。

灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。 曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。 婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。 前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。

あなたが後悔しても、私の愛はもう戻りません

藤原遊
恋愛
婚約者のアルベルトは、優しい人だった。 ただ――いつも、私より優先する存在がいただけで。 「君は分かってくれると思っていた」 その一言で、リーシェは気づいてしまう。 私は、最初から選ばれていなかったのだと。 これは、奪われた恋を取り戻す物語ではない。 後悔する彼と、もう戻らないと決めた私、 そして“私を選ぶ人”に出会うまでの、静かな恋の終わりと始まりの物語。

「その気になれない」と婚約破棄したあなたの、話を聞く必要がありますか?

さんけい
恋愛
国境を守るために結ばれた婚約を、侯爵家の令息は「その気になれない」という身勝手な理由で壊した。しかも婿入りする立場でありながら、愛人を認めろとまで言い出して――。 侮られ、傷つきながらも、伯爵家の跡取り娘エーディアは立ち止まらない。父とともに次の手を打ち、地に足のついた堅実な男ユリウスと出会い、領地と未来を少しずつ立て直していく。 一方、婚約を軽んじた元婚約者は、家にも王都にも見限られ、じわじわと立場を失っていく。 これは、誰かに苦しみを背負わせようとした男が自滅し、自分の足で立つ女が静かに幸福をつかむ、国境領ざまあ婚約破棄譚。 全44話。予約投稿済みです。

お馬鹿な聖女に「だから?」と言ってみた

リオール
恋愛
だから? それは最強の言葉 ~~~~~~~~~ ※全6話。短いです ※ダークです!ダークな終わりしてます! 筆者がたまに書きたくなるダークなお話なんです。 スカッと爽快ハッピーエンドをお求めの方はごめんなさい。 ※勢いで書いたので支離滅裂です。生ぬるい目でスルーして下さい(^-^;

あなたのことなんて、もうどうでもいいです

もるだ
恋愛
舞踏会でレオニーに突きつけられたのは婚約破棄だった。婚約者の相手にぶつかられて派手に転んだせいで、大騒ぎになったのに……。日々の業務を押しつけられ怒鳴りつけられいいように扱われていたレオニーは限界を迎える。そして、気がつくと魔法が使えるようになっていた。 元婚約者にこき使われていたレオニーは復讐を始める。

処理中です...