妹を助けたら侯爵に恨まれました。そんな態度取って大丈夫なんですか？

6話

「これはユアン王子殿下……お久しぶりでございますね……！」

「ああ、そうだな、ブルー殿。久しぶりだ」


　訪ねて来た私達。ブルー様はかなり引きつっている様子だった。まあ、当然の事態かもしれない。訪ねて来た理由はとっくに分かっているだろうし、さらにはユアン王子殿下の姿もあったのだから。ブルー様よりも地位の高い存在……これは私にとっても大きなアドバンテージとなっていた。


　同時にアニスを救うためでも必要な事柄だ。ユアンのことを道具扱いしているわけではないけれどね。


「本日はどのような用事でございますか？」

「俺が言わなくても、貴殿ほどの人物なら分かっているだろう？　何のためにメリスと一緒に来たと思っているんだ？」

「……ユアン王子殿下がメリスと知り合いだとは思いませんでした」

「幼馴染だな、彼女とは」

「そういう間柄でしたか……」

　ブルー様はどこか悔しがっている様子だった。私とユアンが幼馴染というところに反応しているのかしら？　まあ、伝えていなかったし、そんなことは調べないと分からないことだろうけれど……別に悔しがる意味が分からない。

「ブルー様、私がここに来た理由は分かっていますよね？」

「うっ……メリナ。理由を聞いてもいいかな？」


　随分、丸くなっている雰囲気だけど、あくまでもシラを切るつもりね……ここはハッキリと言わなければならない。

「アニスは今、どうしているのですか？　それをハッキリさせてください！」

「あ、アニスの件かな……？　そ、それは……」


　明らかにブルー様は取り乱していた。聞かれるのが本当に困るないようなのだろうか。

「アニスは……そのだな、つまりは……」

「ブルー様！！」


　ブルー様の態度に私は我慢の限界を迎えてしまった。これは間違いない……アニスは酷い目に遭っているんだわ。


「アニスに何をしたんですか！？　いくら侯爵様と言えど……もしも、アニスの身に何かあったら許しませんよ！」

「ひいっ、メリス……！？」


　私がこんな態度に出られたのは王子殿下であるユアンのおかげというのは確かにある。でも、許せなかったのだ。私達の質問に戸惑うブルー様の様子……これは明らかにアニスに何かをしたという証拠なのだから。

「ブルー殿……侯爵家とはいえども、してはいけない一線を超えてしまったようだな？　もしも、アニスの処女を奪ったのだというのであれば……私は陛下にお伝えし、お前を処刑するかもしれないぞ？」


「お、お待ちください……ユアン様！　これには深い事情があるのです！」

「処女を奪ったという事実は認めるということか？　ブルー……お前は！」

「ひいっ！」


　ユアンも私と同じように怒ってくれているようだ。ブルー様の驚きようからしても間違いないのかもしれない。

　この男は……妹の処女を奪ったのだ。絶対に許せない……！