9 / 9
9話
しおりを挟む
「アニス……大丈夫?」
「大丈夫じゃないです。大丈夫なわけないです……」
「アニス……」
地下室から救い出されたアニスだった。外傷はなさそうだけれど、それはあくまで服に隠れていない部分を見ての判断だ。見えていない部分は傷だらけの可能性だってある。色々されたと言っているし……。
「メリス、どうするんだ? このままにはしておかないのだろう?」
「当たり前よ……絶対に許せない」
私は妹を連れてブルー様の部屋に戻った。
「どういうことでしょうか、ブルー様? アニスのこの衰弱具合……何をしたのですか?」
「えっ、いやそれは……だからだな……」
「……」
アニスを目の前にして護衛に拘束されているブルー様は戸惑っていた。王子殿下であるユアンも目の前にいる。絶対に言い逃れなんて出来ない。
「アニスに何をしたのかをハッキリと言ってください。絶対に嘘なんか吐かないでください」
「メリス……私は決してアニスの処女を奪ってはいないぞ……?」
「それはもう聞きました。ですので、それ以外の何をしたのかを聞いているんです」
「そ、それは……」
ユアンの方を見ているブルー様。自らの罪の告白は出来れば避けたいところだろう。しかし、王子殿下が目の前にいる……決して言い逃れなんて出来ないことを彼は悟ったようだ。
「女性の価値が下がると思い、通常のプレイは避けて来ました……ですので、口やら尻やらを……その……ほら、分かるでしょう? ユアン様、あなたも男なんですから」
「お前のような単なる獣と一緒にされたくはないな……! いや、獣の方がまだ節度を守っているか?」
ユアンは相当に怒っているようで、軽蔑の眼差しをブルー様に送っていた。自分からしてみれば大切な妹を汚されたわけだから当然か。
「すまなかった……俺が最初から付いていればこんなことには……」
「……もういいです。もうどうでもいいんです……」
妹のアニスは生きる気力が感じられなかった。ブルー様に何度も責められる中、いつしか抵抗を忘れてしまったのだろうか? 本当に許せない……ブルー……。
「メリス、お前が決めるんだ」
「えっ、何を……?」
「この男の処罰についてだ。出来る限り、お前の意向に合わせるように父上にも相談してみる」
「ユアン……大丈夫なの?」
「ああ、おそらくは問題ないだろう。私も出来れば、今、ここで処罰を下したいレベルだからな」
その処罰を私に委ねてくれている……ユアンには感謝した。私がブルーに望むこと……それは、アニスに行った全て以上の苦痛。
「途中釈放なしの終身刑を望むわ」
「釈放無しの終身刑か。了解した」
「なっ……! そんなことが……! たかが、女性令嬢を一人、犯した程度で……? 馬鹿な……!」
ここにきてブルーの本性が現れ始めた。あんたはもう終わりなのよ。釈放なしの終身刑で生き地獄を永遠に味わいなさい。
しおりを挟む
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。