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9話

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「アニス……大丈夫?」

「大丈夫じゃないです。大丈夫なわけないです……」

「アニス……」


 地下室から救い出されたアニスだった。外傷はなさそうだけれど、それはあくまで服に隠れていない部分を見ての判断だ。見えていない部分は傷だらけの可能性だってある。色々されたと言っているし……。


「メリス、どうするんだ? このままにはしておかないのだろう?」

「当たり前よ……絶対に許せない」


 私は妹を連れてブルー様の部屋に戻った。


「どういうことでしょうか、ブルー様? アニスのこの衰弱具合……何をしたのですか?」

「えっ、いやそれは……だからだな……」

「……」


 アニスを目の前にして護衛に拘束されているブルー様は戸惑っていた。王子殿下であるユアンも目の前にいる。絶対に言い逃れなんて出来ない。


「アニスに何をしたのかをハッキリと言ってください。絶対に嘘なんか吐かないでください」

「メリス……私は決してアニスの処女を奪ってはいないぞ……?」

「それはもう聞きました。ですので、それ以外の何をしたのかを聞いているんです」

「そ、それは……」


 ユアンの方を見ているブルー様。自らの罪の告白は出来れば避けたいところだろう。しかし、王子殿下が目の前にいる……決して言い逃れなんて出来ないことを彼は悟ったようだ。


「女性の価値が下がると思い、通常のプレイは避けて来ました……ですので、口やら尻やらを……その……ほら、分かるでしょう? ユアン様、あなたも男なんですから」

「お前のような単なる獣と一緒にされたくはないな……! いや、獣の方がまだ節度を守っているか?」


 ユアンは相当に怒っているようで、軽蔑の眼差しをブルー様に送っていた。自分からしてみれば大切な妹を汚されたわけだから当然か。


「すまなかった……俺が最初から付いていればこんなことには……」

「……もういいです。もうどうでもいいんです……」


 妹のアニスは生きる気力が感じられなかった。ブルー様に何度も責められる中、いつしか抵抗を忘れてしまったのだろうか? 本当に許せない……ブルー……。


「メリス、お前が決めるんだ」

「えっ、何を……?」

「この男の処罰についてだ。出来る限り、お前の意向に合わせるように父上にも相談してみる」

「ユアン……大丈夫なの?」

「ああ、おそらくは問題ないだろう。私も出来れば、今、ここで処罰を下したいレベルだからな」


 その処罰を私に委ねてくれている……ユアンには感謝した。私がブルーに望むこと……それは、アニスに行った全て以上の苦痛。

「途中釈放なしの終身刑を望むわ」

「釈放無しの終身刑か。了解した」

「なっ……! そんなことが……! たかが、女性令嬢を一人、犯した程度で……? 馬鹿な……!」


 ここにきてブルーの本性が現れ始めた。あんたはもう終わりなのよ。釈放なしの終身刑で生き地獄を永遠に味わいなさい。
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みんなの感想(10件)

太真
2022.10.02 太真
ネタバレ含む
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こめはち
2022.10.01 こめはち
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Vitch
2022.10.01 Vitch
ネタバレ含む
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