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1話
しおりを挟むどうしてこんなことになってしまったのだろうか? 私は伯爵であるガイザ・オリバンダー様に婚約破棄を言われてしまった。当然、その理由を尋ねたのだけれど……。
「理由か……まあ、ユノアよりも好きな人が出来たということだ」
「そんな……そんな理由で婚約破棄なのですか?」
「そういうことだ。非常に残念だがこれは決定事項だ。悪く思わないでくれ」
「ガイザ様……」
ガイザ様は話し合いをするつもりはないようだった。私に目を向けずに私室の窓の方向を見ていたのだから。
「相手は誰なのですか?」
「そんなことを聞いてどうする? 意味のない質問には答える気はない。お前は荷物をまとめて立ち去る準備をすれば良いのだ」
信じられない言葉だ。私と婚約をして3か月ほどだけれど、ここまで酷い人だとは思わなかった。婚約をする前と後で態度が変わったのは心配だったけれど、なんとか生活してきたのに……どうして婚約破棄なんてことに。
「ガイザ様……なんとか考え直していただけませんか? お願いいたします」
「うるさい奴だな……たかが子爵令嬢でしかないお前と一時は婚約してやったのだから、ありがたく思って欲しいくらいだぞ? いいから、さっさと荷物をまとめて出て行け! 私を怒らせるな、このノロマが!」
「ひい……! ガイザ様……!」
こんなに恫喝をしてくるガイザ様は初めてだった。確かに婚約後は身体を求めて来たりなど、私に対する態度が雑になっていたようだけれど……ここまで酷い扱いを受けるなんて夢にも思わなかったわ。とても悲しいけれど、今のガイザ様には何を言っても意味がなさそうね……。
「わかりました……ガイザ様。婚約破棄を受けざるを得ないということですね?」
「そういうことだ。最初からそういう態度を取っていれば良いものを……まったく手間取らせおって、この役立たずが!」
「……ひどい……」
私はガイザ様のあまりの態度の悪さに涙をこぼしてしまった。本当に信じられない……私は夢でも見ているのではないだろうか? そんな気さえしてしまう。
しかし、これは真実なのだった。
「失礼いたします……ガイザ様」
「ああ、ではまたな。また、パーティーなどでは会うかもしれんが、その時はよろしくな。ふはははははははは!」
「……ッ!!」
もう、悲し過ぎてガイザ様の顔を直視できなかった。振られるのはあり得ることだから仕方ない……でも、あそこまで酷い振られ方をしないといけないのだろうか? 子爵令嬢とはそこまで地位の低い存在なの? わからない……いくら、伯爵のガイザ様とはいえ決してしてはいけない態度だったように思える。
私は自問自答しながらいつまでも涙を流していた……。
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