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20話
しおりを挟むギゼル国王陛下に会いに行くはずだったのに、屋敷に逆戻りなんて……困ってしまうわ。ジストとシンディを応接室に招いたのもなんだか嫌だし。
「何の用ですか、ジスト様、シンディ様」
「まあ、そんなに慌てる必要はないだろう」
「そうよ、ゆっくり行きましょう」
ジストとシンディはこちらの焦りとは裏腹にゆっくりとしているのが嫌だ。なんだかわざとゆっくり話している気がするのがさらに嫌だけど……。というか、国王陛下を待たせるなんて失礼なことさせないでよ!
「ゆっくりなんてできませんよ……国王陛下の謁見があるんですから」
「そのことなんだが……今回の謁見は止めてもらえないか?」
「な、なんですと……?」
ジストからのいきなりの提案……これには驚かされた。国王陛下に会うのを止めろというの……なぜ……?
「お前達が何を考えているのかは、大体、分かっている。アルフとの婚約破棄についてはしっかりと済ませようじゃないか。シンディもそのつもりのようだしな」
「そうよ、テレーズ。しっかりと話し合いましょう」
「な、なんですか……いきなり……」
いきなりの譲歩とでも言えばいいんだろうか? ジストとシンディがおかしなことを言い出した。どうなっているの……?
「婚約破棄の件は済まないということだよ。慰謝料はしっかりと払うので穏便に済ませたいと言っているのだ。悪くないだろう?」
「お父様の言う通りよ、テレーズ。慰謝料の支払いで勘弁してちょうだい」
「勘弁してちょうだいって……」
勘弁して欲しいのはこっちだ。いきなり婚約破棄を進めたいというのも変な話だし、私は慰謝料について怒っているのではない。そもそもアルフとの婚約破棄に納得していないのだ。慰謝料もなにも彼とは婚約破棄をしたいとは思っていない。
その辺りをはっきりさせないとね!
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話の先には仕方のない部分も出て来るかとは思います
ただ、現段階ではそうなりますよね