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第壱章:街中観察
火事
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ーーSーーW--O--R--D--
神歴1789年1月13日17時19分
「ノルニスってなにか収穫あった?」
銃の手入れをしているストフィーが俺に問いかけた。
「え?俺は...何もないけど...お前は何かあったのか?」
今日は近くの老人の持ち物を運んであげる程度のことしかやっていない。
「僕はあったよー」
「あ、マジ?それってどんな感じの?」
「なんか僕と同い年くらいの男の子にカツアゲやってる男の人がいてさ、僕とりあえず止めといたよー」
こんなわんぱくな感じの性格してるこいつにもそんな優しさがあったのかという事実に多少驚きつつ、ふと疑問に思ったことを口に出す。
「止めた?ストフィーお前確か近接戦闘苦手じゃなかったか?それともピストル使ったのか?」
「いやいやまさか、ハンドガンなんて使ったら銃声で周辺大騒ぎだし上からの命令を破ることになっちゃうじゃん。僕は―――」
ストフィーはクリティカルトレースなる技について教えてくれた。
「なるほど...それって覚えてるものならなんでも再現できるのか?」
「僕が再現できるのは比較的単純な動きだけ、基本的な格闘技みたいにそこまで工程が複雑じゃないことまでかな」
「あぁ!!そうだあいつ4日前の僕を襲ったやつと顔が一緒だったよ!!」
ストフィーが突然叫んだ、幸いにもまだ夕方なので近隣に迷惑をかけることはそこまで気にしなくても良いのだが。
「は?それガチな感じのやつか?」
「めっちゃガチ」
「成程、それが本当ならばそいつについてはちと調べる必要がありそうだな。ま、そんなことよりそろそろ飯にでも行こうぜ。」
「さんせー」
このボロ宿には食堂は備わっていない。しかし宿の近くにはいくつか飲食店があるため、そこで食事ができる。俺とストフィーは部屋を出て街に出た。丁度その頃女性陣2人も食事に行くところだったらしく、最終的には4人で洋食料理の店に入った。
「私、クリームフェデリーニ(太さ約1.4mm)パスタで」
「僕はオムライスで!」
「私はミートソースグラタンでお願いします。」
「じゃあ俺はビーフシチューで」
「それでは、ご注文繰り返します。クリームフェデリーニ一つとオムライスが一つ―――」
今更気づいたがこの国のもてなしは日本のものと酷似している。悪く言うつもりはないが、フランスじゃあここまで丁寧にもてなしてくれた店はあまり覚えていない(そもそもフランスだと宅配サービスを使ったりスーパーの惣菜を食べたりして外食はあまりしなかったのだが。)
「キャーーーーーーー!!」
そんなことを考えていると、突然店の外から複数の叫び声と激しい爆発音が聞こえてきた。反射的に店を飛び出すと、向かいの店に車が突き刺さり、そこから出火していた。
「ガソリンでも爆発させたか?」
この世界の車は大抵7:3の割合で実油(石油やバイオエネルギー)と仮油(魔法で生成した燃料)が混ざった燃料で動いていると聞いた。つまりエネルギータンクになんらかの衝撃が加われば発火させるのも可能だと考えることができる。(今回は車を店の壁にぶつけること)でも一体誰が?そんなことを考えたってしょうがない。
「ヘズヴェラ!!水魔法で車と店の消火をしてくれ!!素人に任せてたら時間がかかりすぎる!!俺はその間に車の損傷部位と店内に人がいないか見てくる!!」
「え?あ、うん!!でも、身分証明は?」
「仮想資格証使ってレスキュー隊でも名乗る!!」
「わ、わかった!!」
「それと
俺はそういうと3秒で向かいの店に入って人がいないか確認する。この店は3階建てだ、おそらく1階と2階がホールで3階はバックヤードだと思われる。
最初に車を見たが、その車はボンネットとバンパーがひどく損傷していて、当たり前だが大炎上の真っ最中だった。
「んだよこれ…いったい誰がこんなこと…」
ぼさっと呟くが、そんなこと言ってる暇もないことを再度頭に言い聞かせ、俺は火の渦の中へと足を運んだ。
「熱っ…意識を保って火を避けるだけで精一杯だなこりゃ…」
人は誰も残っていないことを俺は確認し、引き返そうとしたその時だった。
「…!?」
突如として天井の一部が崩れ、俺に降りかかろうとした。俺はなんとか避けようとしたが、このよろしくない反射神経とあまり予想しなかった自体も相まって足が下敷きになってしまった。
「ッ…‼︎」言葉も出ない足を圧迫する痛みは、やがて全神経を通り抜け、気を弱くする。
「フェビル…ラスター…アロウ…アグレッション…アクティベート…ッ」
思うように力が入らず、光矢魔法もまるでおもちゃのようなチープな出来となってしまう、ここはどう切り抜けるべきか…このまま助けを待つ…いや、自分からここに入ると言ったんだ。そんなものでは信頼が下がってしまう。かと言ってこの状況を一人でなんとかできるとは思わない。なんせ天井から降って来たのは総重量40kgはあるであろう大きなレンガの破片なのだから。
俺はポケットに入った巾着袋に手を差し伸ばした。あの剣でなんとかできないものだろうかと考えたのだが、そんな都合の良いことがあり得るのだろうか。
「待てよ…?」
その瞬間、俺の脳裏に一つの策が浮かび上がった。
神歴1789年1月13日17時19分
「ノルニスってなにか収穫あった?」
銃の手入れをしているストフィーが俺に問いかけた。
「え?俺は...何もないけど...お前は何かあったのか?」
今日は近くの老人の持ち物を運んであげる程度のことしかやっていない。
「僕はあったよー」
「あ、マジ?それってどんな感じの?」
「なんか僕と同い年くらいの男の子にカツアゲやってる男の人がいてさ、僕とりあえず止めといたよー」
こんなわんぱくな感じの性格してるこいつにもそんな優しさがあったのかという事実に多少驚きつつ、ふと疑問に思ったことを口に出す。
「止めた?ストフィーお前確か近接戦闘苦手じゃなかったか?それともピストル使ったのか?」
「いやいやまさか、ハンドガンなんて使ったら銃声で周辺大騒ぎだし上からの命令を破ることになっちゃうじゃん。僕は―――」
ストフィーはクリティカルトレースなる技について教えてくれた。
「なるほど...それって覚えてるものならなんでも再現できるのか?」
「僕が再現できるのは比較的単純な動きだけ、基本的な格闘技みたいにそこまで工程が複雑じゃないことまでかな」
「あぁ!!そうだあいつ4日前の僕を襲ったやつと顔が一緒だったよ!!」
ストフィーが突然叫んだ、幸いにもまだ夕方なので近隣に迷惑をかけることはそこまで気にしなくても良いのだが。
「は?それガチな感じのやつか?」
「めっちゃガチ」
「成程、それが本当ならばそいつについてはちと調べる必要がありそうだな。ま、そんなことよりそろそろ飯にでも行こうぜ。」
「さんせー」
このボロ宿には食堂は備わっていない。しかし宿の近くにはいくつか飲食店があるため、そこで食事ができる。俺とストフィーは部屋を出て街に出た。丁度その頃女性陣2人も食事に行くところだったらしく、最終的には4人で洋食料理の店に入った。
「私、クリームフェデリーニ(太さ約1.4mm)パスタで」
「僕はオムライスで!」
「私はミートソースグラタンでお願いします。」
「じゃあ俺はビーフシチューで」
「それでは、ご注文繰り返します。クリームフェデリーニ一つとオムライスが一つ―――」
今更気づいたがこの国のもてなしは日本のものと酷似している。悪く言うつもりはないが、フランスじゃあここまで丁寧にもてなしてくれた店はあまり覚えていない(そもそもフランスだと宅配サービスを使ったりスーパーの惣菜を食べたりして外食はあまりしなかったのだが。)
「キャーーーーーーー!!」
そんなことを考えていると、突然店の外から複数の叫び声と激しい爆発音が聞こえてきた。反射的に店を飛び出すと、向かいの店に車が突き刺さり、そこから出火していた。
「ガソリンでも爆発させたか?」
この世界の車は大抵7:3の割合で実油(石油やバイオエネルギー)と仮油(魔法で生成した燃料)が混ざった燃料で動いていると聞いた。つまりエネルギータンクになんらかの衝撃が加われば発火させるのも可能だと考えることができる。(今回は車を店の壁にぶつけること)でも一体誰が?そんなことを考えたってしょうがない。
「ヘズヴェラ!!水魔法で車と店の消火をしてくれ!!素人に任せてたら時間がかかりすぎる!!俺はその間に車の損傷部位と店内に人がいないか見てくる!!」
「え?あ、うん!!でも、身分証明は?」
「仮想資格証使ってレスキュー隊でも名乗る!!」
「わ、わかった!!」
「それと
俺はそういうと3秒で向かいの店に入って人がいないか確認する。この店は3階建てだ、おそらく1階と2階がホールで3階はバックヤードだと思われる。
最初に車を見たが、その車はボンネットとバンパーがひどく損傷していて、当たり前だが大炎上の真っ最中だった。
「んだよこれ…いったい誰がこんなこと…」
ぼさっと呟くが、そんなこと言ってる暇もないことを再度頭に言い聞かせ、俺は火の渦の中へと足を運んだ。
「熱っ…意識を保って火を避けるだけで精一杯だなこりゃ…」
人は誰も残っていないことを俺は確認し、引き返そうとしたその時だった。
「…!?」
突如として天井の一部が崩れ、俺に降りかかろうとした。俺はなんとか避けようとしたが、このよろしくない反射神経とあまり予想しなかった自体も相まって足が下敷きになってしまった。
「ッ…‼︎」言葉も出ない足を圧迫する痛みは、やがて全神経を通り抜け、気を弱くする。
「フェビル…ラスター…アロウ…アグレッション…アクティベート…ッ」
思うように力が入らず、光矢魔法もまるでおもちゃのようなチープな出来となってしまう、ここはどう切り抜けるべきか…このまま助けを待つ…いや、自分からここに入ると言ったんだ。そんなものでは信頼が下がってしまう。かと言ってこの状況を一人でなんとかできるとは思わない。なんせ天井から降って来たのは総重量40kgはあるであろう大きなレンガの破片なのだから。
俺はポケットに入った巾着袋に手を差し伸ばした。あの剣でなんとかできないものだろうかと考えたのだが、そんな都合の良いことがあり得るのだろうか。
「待てよ…?」
その瞬間、俺の脳裏に一つの策が浮かび上がった。
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