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女装と復讐 -憧憬編(序章)-
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小林先生は…
【早瀬ヶ池って街は昭和25年頃から、衣裳や洋服やドレスなどをデザインして縫製する、衣服の職人やファッションデザイナーを目指す若い人たちが少しずつ集まるようになって、さらに独創性や個性感のあるたくさんの洋服屋が出店し連なっていって、お店同士で自分たちの技術を切磋琢磨し競い合うようになって…そして早瀬ヶ池は今のような《綺麗で可愛い女の子の服や装飾がたくさん売っているお洒落な街》になった、由緒ある街なの】
…という、今の早瀬ヶ池という街が出来上がった歴史?みたいなことを説明してくれた。
『…まぁ、ね。でも女の子がちょっと流行りのお洒落な子に大変身するためには…多少の大きなお金も必要だけどね…』
小林先生が少し苦笑いして見せた。
『先生…なんでそんなに早瀬ヶ池について詳しいんですか?』
『え?…だって』
ふふふっと笑った先生。
『先月の三者面談の時にも私言ったじゃない。岩塚君のお母さんの美穂と私は、女子大在学当時に《早瀬ヶ池発祥ファッション研究会》ってサークルに入ってたんだ…って』
…あ!確かに。そういえばそんなこと言ってた。そう僕は思い出した。
キーン、コーン、カーン、コーン…午後4時40分の学校の今日最後の鐘が鳴った。
この高校では午後5時15分までには生徒全員、校門を出て下校しなければならなかった。
『また明日の放課後にでも聞きにいらっしゃい。じゃあ、今日は帰りましょう』
『あ…はい』
…次の日の放課後も、僕はまた職員室の小林先生のところへ、早瀬ヶ池のことについて聞きに行っていた。
小林先生は昨日のように、自分の席に座って待っていた。僕は小林先生の勧めに従い、隣の林田先生の椅子を引っ張り出してそれに座った。
『…昨日は《早瀬ヶ池が、お洒落な洋服店が集まる女の子たちの街になった歴史》について教えたから…』
『はい…』
『…じゃ、今日は《早瀬ヶ池にやってくる女の子たち》のことについて"課外授業"を始めます!』
…課外授業。え?授業?
先生がアハハと笑った。そして僕もつられて笑った。
『ねぇ…岩塚くんは、そのことについて本当は一番興味があったんじゃない?』
『…えっ?何について…?』
『だーから。瀬ヶ池に集まる綺麗な子とか可愛い子たちのことよ』
僕は黙って心の中で『違うんだけど…』と思った。
『あら?私当てちゃった?ごめんね』
『……。』
『でもいいのよ。岩塚くんもそんな《お年頃》だもんねー』
僕はつい溜め息をついてしまった…。
『えっ…あれ?違うの!?』
『…岩塚くんはウチのクラスの西森七香さん、凄く可愛いと思わない?』
『えっ、あ…はい』
『だよね。素直で宜しい』
…確かに。西森さんはなんか、他の子よりも凄く可愛いなって、入学当初から思ってた。
『けどね、瀬ヶ池には西森さんと同じくらいか、彼女よりもっと可愛いかったり、凄く綺麗な子たちがたくさん集まるの』
『あの…えぇと、何人くらいですか』
『《何人》なんてもんじゃないわよ。土曜日や日曜日ともなれば、瀬ヶ池に集まる綺麗な子や可愛い子は、一日に《何百人》とか《何千人》とか…』
『えぇっ!そんなに!?』
小林先生は、僕の驚きの反応を見てゲラゲラと笑ってた…。
一瞬僕は…これ僕、先生に遊ばれてるだけなんじゃないか?…なんて思いかけた…。
『そういえば最近…4、5年くらい前だったかな…』
『…?』
『瀬ヶ池から女の子が芸能界デビューしたじゃない。伊藤鈴っていう可愛い女の子』
『………?…?』
…普段からテレビを見ないうえに、芸能界について全く興味のなかった僕は、その伊藤鈴という子を知らなかったし、知らない子の芸能界デビューの話題など、知っているはずもなかった。
【早瀬ヶ池って街は昭和25年頃から、衣裳や洋服やドレスなどをデザインして縫製する、衣服の職人やファッションデザイナーを目指す若い人たちが少しずつ集まるようになって、さらに独創性や個性感のあるたくさんの洋服屋が出店し連なっていって、お店同士で自分たちの技術を切磋琢磨し競い合うようになって…そして早瀬ヶ池は今のような《綺麗で可愛い女の子の服や装飾がたくさん売っているお洒落な街》になった、由緒ある街なの】
…という、今の早瀬ヶ池という街が出来上がった歴史?みたいなことを説明してくれた。
『…まぁ、ね。でも女の子がちょっと流行りのお洒落な子に大変身するためには…多少の大きなお金も必要だけどね…』
小林先生が少し苦笑いして見せた。
『先生…なんでそんなに早瀬ヶ池について詳しいんですか?』
『え?…だって』
ふふふっと笑った先生。
『先月の三者面談の時にも私言ったじゃない。岩塚君のお母さんの美穂と私は、女子大在学当時に《早瀬ヶ池発祥ファッション研究会》ってサークルに入ってたんだ…って』
…あ!確かに。そういえばそんなこと言ってた。そう僕は思い出した。
キーン、コーン、カーン、コーン…午後4時40分の学校の今日最後の鐘が鳴った。
この高校では午後5時15分までには生徒全員、校門を出て下校しなければならなかった。
『また明日の放課後にでも聞きにいらっしゃい。じゃあ、今日は帰りましょう』
『あ…はい』
…次の日の放課後も、僕はまた職員室の小林先生のところへ、早瀬ヶ池のことについて聞きに行っていた。
小林先生は昨日のように、自分の席に座って待っていた。僕は小林先生の勧めに従い、隣の林田先生の椅子を引っ張り出してそれに座った。
『…昨日は《早瀬ヶ池が、お洒落な洋服店が集まる女の子たちの街になった歴史》について教えたから…』
『はい…』
『…じゃ、今日は《早瀬ヶ池にやってくる女の子たち》のことについて"課外授業"を始めます!』
…課外授業。え?授業?
先生がアハハと笑った。そして僕もつられて笑った。
『ねぇ…岩塚くんは、そのことについて本当は一番興味があったんじゃない?』
『…えっ?何について…?』
『だーから。瀬ヶ池に集まる綺麗な子とか可愛い子たちのことよ』
僕は黙って心の中で『違うんだけど…』と思った。
『あら?私当てちゃった?ごめんね』
『……。』
『でもいいのよ。岩塚くんもそんな《お年頃》だもんねー』
僕はつい溜め息をついてしまった…。
『えっ…あれ?違うの!?』
『…岩塚くんはウチのクラスの西森七香さん、凄く可愛いと思わない?』
『えっ、あ…はい』
『だよね。素直で宜しい』
…確かに。西森さんはなんか、他の子よりも凄く可愛いなって、入学当初から思ってた。
『けどね、瀬ヶ池には西森さんと同じくらいか、彼女よりもっと可愛いかったり、凄く綺麗な子たちがたくさん集まるの』
『あの…えぇと、何人くらいですか』
『《何人》なんてもんじゃないわよ。土曜日や日曜日ともなれば、瀬ヶ池に集まる綺麗な子や可愛い子は、一日に《何百人》とか《何千人》とか…』
『えぇっ!そんなに!?』
小林先生は、僕の驚きの反応を見てゲラゲラと笑ってた…。
一瞬僕は…これ僕、先生に遊ばれてるだけなんじゃないか?…なんて思いかけた…。
『そういえば最近…4、5年くらい前だったかな…』
『…?』
『瀬ヶ池から女の子が芸能界デビューしたじゃない。伊藤鈴っていう可愛い女の子』
『………?…?』
…普段からテレビを見ないうえに、芸能界について全く興味のなかった僕は、その伊藤鈴という子を知らなかったし、知らない子の芸能界デビューの話題など、知っているはずもなかった。
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