女装と復讐は街の華

筆鼬

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女装と復讐 -発起編-

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9月最後の土曜日。今日は久しぶりに昼過ぎまで寝てた。
とりあえず立ち上がって黒ぶち眼鏡をかけ…深緑色のカーテンを開け…眩しっ。西窓と玄関扉を開けて換気。
ヴーンと唸る掃除機を部屋中引き摺り回し、最後に…脱衣室内の洗濯機を動かす。

洗濯物が終わるまでの時間…そうだな。
暇だからYouTubeで動画でも観て時間を潰そうか…そういえば、最近流行り?の《Vtuber》とかいうの、観たことないなぁ。
ちょっとだけ観てみようかな…。

それにしても…開けた窓から入ってくる秋風が心地いい…。






さぁて…っと。やっと洗濯も済んだ。
溜め込んでた洗濯物を西窓の外に干し終え、僕は壁掛け時計を確認する…午後3時43分。
出掛ける予定時間まで、あとだいたい1時間か。長いな…。

アンナさんは「夕方以降にお店まで来て」って言ってた。こんな遅い時間に出掛けるってのは、大学に通い始めてからは初めてだ。コンビニに行くこと以外では。

…って、そりゃそうか。
先週までの普段の土曜日だったら朝から出掛けて、今頃の時間は瀬ヶ池の街中まちなかで声掛けやってたんだから…。

そうだ。まだ1時間あるんだし、今からアンナさんに会うんだからシャワーくらい浴びて行こう。洗濯も済んだあとだから、丁度いい。






僕は到着した新井早瀬駅で電車を降り、一旦改札口を出て、急いで駅構内の地下鉄乗り場のホームへと向かい、無事に乗り換えを済ます。

さっきの電車内でも…この地下鉄の電車内でも…やっぱり僕は女の子らに「うわっ…メダカ!!」って何度も言われながら、クスクスと嘲笑された。
先週と何も変わっていない。平穏な瀬ヶ池のままだ。



…平穏。けど、それもあと数時間のうち。
そして来月には女の子に扮した僕の姿を見て、慌てて歩道の隅っこを小さくなって歩く、今まで僕を馬鹿にしてた女の子らが瀬ヶ池の街中に溢れるんだ…。

僕は地下鉄の扉の窓から、電車のすぐ傍をずっと高速で流れ続けている厚いコンクリート壁を眺めながら、つい我慢できずククッと小さく笑った。






電車は地下鉄《下野目駅》に到着…僕は電車から降りた。地上へ出れば、アンナさんの美容院までは歩いて5分と掛からない。

3番出口を駆け上がると…街はすっかり暗かった。僕は歩道を行き交う人たちの中に紛れ込み、車道を行く車のライトと背の高い明るい街灯…そしてずらりと並ぶビル群のネオン看板の灯りを確かめながら、無言で歩道を歩く。

あ…あれだ。あの目の前の交差点の角にあるコンビニ。あそこを左に曲がれば、アンナさんの美容院はもう見えるんだ。


























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