女装と復讐は街の華

筆鼬

文字の大きさ
60 / 491
女装と復讐 -発起編-

page.44

しおりを挟む
僕は初めての女装での街歩き…プレデビューからアパートに帰ってきた。
急いで手帳を出し、詩織の《あの可愛い歩き方》を思い出す…ドキドキ。

思い出すって言っても、卑猥な意味で思い出してるわけじゃない。
詩織のあの可愛い歩き方を真似する…身につける。それができれば必ず、街の女の子らへの良い《武器》となるはず。

よし…と。
書き終えて手帳を鞄へ仕舞い、机の上の小さな置き鏡をちらりと覗く…黒ぶち眼鏡のない自分の顔。

詩織は《中性的でいい感じ》だと言ってた。
確かに…眉も細くなり、男子女子…思い方によってはどちらの顔にも見える…ヤバい!

コンタクトレンズ着用のみで大学なんて行ったら、また《ちょっと!あれ!見て!》なんて必ず言われる…。

でも、その黒ぶち眼鏡は使い捨てコンタクトレンズ2週間分と引き換えに、アンナさんに預けてしまった…。
コンタクトレンズを毎日着けてね、って言われたし。

明日は日曜日…仕方ない。
度の入ってない《伊達眼鏡》でも買いに行くか…。






月曜日。
僕はコンタクトレンズを着けた上にブロンズカラーのフレームの細い伊達眼鏡…黒ぶち伊達眼鏡なんて無かった…を掛け、マフラーを首に巻いて代学へと向かう。

ちゃんと《男歩き》を意識しながら、キャンパス内に入ると…。


「うわぁ…ちょっとちょっと!あれ…岩塚見てよ!」

「やだぁ…今度はダサい黒ぶち眼鏡やめて新しい眼鏡に変えたんだ…」

「しかも首にマフラーなんか巻いちゃって…」



…マフラーぐらい巻くだろ!もう寒い季節なんだから!!



「歩き方にあのイメチェン…俺は男だアピールの癖強っ!」

「遂に宮学の《バイオハザード》襲来だよ!これ!!」

「うん!他の女の子たちにも注意を呼び掛けないとね!!」

「うわぁ!こっち見たぁ!」


『……。』


……………おいおい。宮学のバイオハザードってなんだよ…。
僕は謎のウィルスに感染したゾンビか…っての。






そして…11月第2週の土曜日…朝の女装後の美容院《クローシュ・ドレ》にて。


『…本当に僕にできるのかな…』

『大丈夫よ。普段から声が高めな信吾だもん。女の子をイメージして…とりあえず「あ」って言ってみて』


店内のあのロングソファーに座る、女の子姿の僕と詩織。


『……あ』

『おー!信吾!女の子の声、できてるよ!!』


…できた…!
パチパチと手を叩く詩織。


『じゃあ…次は女の子声を意識しながら、なんでもいいから女の子っぽいセリフとか一言、言ってみて』

『ぉ…女の子らしい…セリフ?』

『うん。ほら』


…僕はほとんど女の子と話したことがない…。
女の子ぽいセリフって…何を…お、思い浮かばない…。


『どうしたの?信吾…一言でいいんだから。早く』

『そ、そうは言われましても…!』


そして…悩んだ挙句、僕が不意に口にした言葉は…。



『み……みんな~♪こんにゃにゃニャ~♪元気してたかニャ…』

『待て待て待てーぇ!!』

『えっ?』

『待ちなさーい。信吾!なんでようやく出た一言が、Vtuberか何かの挨拶なのよ!!』


わざわざ振り付けまでつけて、Vtuberの《猫田ぺるしあ》の挨拶を真似たら突然…詩織に《待った!》を入れられたうえに、怒られたんだけど…あぁ。
…なんでもいいから、って詩織が言ったのに…理不尽。


『詩織、信吾くん。行くわよ』


アンナさんから《お出掛け》の合図。


『あ、はぁーい』
『はい』




















しおりを挟む
感想 224

あなたにおすすめの小説

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

あべこべな世界

廣瀬純七
ファンタジー
男女の立場が入れ替わったあべこべな世界で想像を越える不思議な日常を体験した健太の話

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

処理中です...