女装と復讐は街の華

筆鼬

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女装と復讐 -発起編-

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遂に…銀色に眩しく輝く大きなビル《藤浦銀行・天郷本店》に近づいてきた。


『あー。もう終わっちゃうね』

『うん』


僕はもう、他人の目にはすっかり慣れていた。
歩道を行き来する人たち、一人一人の顔をちらりと見るだけの余裕さえあった。


『ねぇ、あと少しなんだからさぁ、最後ぐらいもっと楽しそうに歩こうよ』

『あ…うん』


僕は詩織の方を見た。
詩織は真っ直ぐに前を見ている。


『智恵先生も言ってたでしょ?《明るく楽しそうに歩きましょう》って』


うん。そうだね。そして、先生はもう一つ言ってた。
『《綺麗な女性》の歩き方は《脚で》魅せる。《可愛い女の子》の歩き方は《お尻で》魅せる』んだって。

だって、黒いフリルたっぷりのミニスカートを穿いた詩織のお尻が…ヒヨコが歩くみたいに…こう…一歩一歩の度に…可愛くぴょこぴょこと…左に右にうご……っ。


『あー…終わっちゃったぁ…ね。えっ?信吾、どうしたの?顔、赤いよ…?』

『…ううん。な、なんでもない…よ』

『??』






僕らは揃って藤浦銀行天郷本店の角を左に曲がった。
すぐ先にアンナさんの車が停まっている。

辿り着くと詩織と僕は、ドアを開けてまた後部座席に乗り込んだ。


『はぁー。アンナさん、ただいまー』


『どうだった?』と僕らに訊くアンナさんに、詩織は『やっぱり、もっと歩きたかったよー』と答えた。


『…信吾くんは?』

『あの…僕、今ドキドキしてる…』


僕のその答えに、詩織は笑った。


『そりゃそうだよね。人前を女装姿で歩くの初めてだったし。あ、そうそう!ねぇアンナさん聞いてよー。私たちね、男の人にナンパされちゃったんだよ!信吾は初めての経験でしょ?そりゃドキドキするよねー。きゃははは』


確かに、そういう理由でドキドキしたってのもあるけど…でも本当は、それが一番の理由じゃないんだ…。


『じゃ、そろそろお昼だし、何処か美味しいお店にでも入って、反省会を兼ねてランチでもしましょう』

『はーい』
『はい』






…ちょっと高そうな日本料亭に僕らは入った。
やってきた女性店員さんに注文を済ますと、待ち時間を反省会に。

そこで詩織とアンナさんから出た、今後の僕への課題は…。


《瀬ヶ池デビューの前に、もっと女装してもっと街を歩いて慣れること》《歩き方は合格。次は万が一のために、女の子らしい喋り方や発声を身につける》《女の子らしい仕草も身につける》…などなど。



『…あと、《女装用の専用ぱんつ》も啓介くんにお願いしておかないとね。その度に信吾くんのぱんつチョキチョキってのも悪いわ。5着あれば十分かしら?』























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