女装と復讐は街の華

筆鼬

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女装と復讐 -発起編-

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僕が《瀬ヶ池のメダカ》と呼ばれ、声掛けをしてた時…女の子らが『だよねー』なんてお喋りしながら歩いてるのをよく見掛けたけど…あれは、僕と詩織みたいな会話をしながら歩いてたんだろうか…。


『ねぇ、もう半分歩いちゃったよ…』


詩織が物足りなさそうに言う。


『でも、もう他人ひとの目には慣れたでしょ?』

『うん。この《チャーム》のおかげで』

『そっかぁ。じゃ良かったぁ』


無邪気な笑顔を見せる詩織。僕は詩織に訊いてみた。


『詩織は…街を歩くのが凄く楽しそうだけど、人の視線は気にならない?』


詩織は僕に《にひひ♪》と笑って見せた。


『全然気にならないよ。むしろ刺激的』

『…刺激的?』


詩織が小さくステップを踏みながら、今度は踊るように回って見せる。


『うん。刺激的。たくさんの人に注目されるとか…その中で目立っちゃうとか…とーっても楽しい!…カ・イ・カ・ン♪きゃははは』


…そっか。さすが詩織だ。


『女の子は…色んな人に見られて、綺麗になるのでぇす』


そう言って、僕の鼻頭に左手の人差し指でちょんと触れた。


『あなたも、すぐに私みたいになれるわ。《人の視線って刺激的♪》って。ね!』


…本当にそうだろうか…。




目の前の交差点の横断歩道用の信号が赤に変わった。僕も詩織も、信号待ちをする混雑する人たちの中で立ち止まる。


『…ねぇ!お2人さん!』

『……?』
『??』


誰かが詩織と僕の肩を叩いた…って誰?
僕らが振り返ると、そこにはスーツ姿の男性が立っていた。見た目は20代半ばくらい…?


『さっきからずっと見てたんだけど…一番目立ってた。君らもの凄く可愛いね!』


『…??』
『………。』


僕と詩織は顔を見合わせる。詩織の表情が僕に教えてくれた。
…え?まさか…ナンパ!?


『今、昼休み前に会社に戻るところなんだ。だから、今すぐは無理なんだけど…あとでお昼、なんでも奢るからさ、一緒にランチしない?』


…詩織の表情が急に曇る。


『だから、LINEでも何でもいいから、連絡先教えてよ』

『あの!』


詩織の一言に、突然だけど驚いた表情の男性。
詩織は抱き締めるかのように、自分の両腕を僕の左腕に深く絡めてきた…?


『私たち!から!…だもん・ねッ♡』


僕の顔にむかって、甘い表情でうっとりと微笑む詩織。
対して僕は…今どうすればいいのか判らず…ただひたすらウンウンと大きく頷いた…。


『君ら…マジで!?俺も好きだなぁ…2人とも可愛いし』

『変態ッ!!』

『!!』


信号が変わり…詩織と僕は、ポカーンと驚いた表情のその男性を置き去りに、横断歩道を渡りはじめた…。






















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