女装と復讐は街の華

筆鼬

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女装と復讐 -発起編-

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僕は秋良さんが何を言い出すのか…息を呑んでじーっと見た。


『…お前ときたら、じっくり見てると…男だと頭では判ってるはずなのに…なんだかその記憶のほうが実は間違ってんじゃねーのか?…って錯覚し掛ける…つまり《ゲシュタルト崩壊》しそうになるんだよ』


それを横で聞いてた詩織が、悪戯いたずらっぽく笑い始めた。


『ねぇ、秋良くん。金魚の顔…ちゃんと見たことあるー?きゃはは』


そこに今度はアンナさん。


『金魚、ちょっとこっちにいらっしゃい』


…と言って、僕を秋良さんの隣に座らせた。


『でね、金魚。顔を間近でよーく秋良くんに見せてやって。きゃはは』

『違うわよ詩織。金魚の両手を…こう、秋良くんの太ももの上に揃えて添えさせて…』


詩織とアンナさん、2人のおかしな指導が入る…。

僕は結局、2人の指導のままに両手を秋良さんの太ももに添え、背筋を反らせる猫のようにぐいっと伸ばして顔を近づけ、詩織の指導のとおり…じっと、秋良さんの目を見詰める…。

ってか、これ…めちゃくちゃ恥ずかしいんですけど…。

その様子を見てて、クスクスと笑ってる詩織や他の皆さん…。


『どうかしら?秋良くん。間近でちゃんと確認した金魚の顔は?』


秋良さんがまじまじと、複雑な表情で僕の顔を見る…。


『そ、そうだな…こんなに間近で見てても、やっぱ本物だとしか思えねー…じゃねーよ!』


僕としばらく視線を交わしたら、秋良さんの目が急に慌てて泳ぎ出した。


『つーか…金魚!そんなパッチリとした…あの…そんな目でこっち見んな!』


急にそう言われて、僕は慌てて少し離れた。


『ふー…くそぅ。危うく変な気分にさせられちまうところだったぜ…ヤバかった…』

『あれー?秋良くん、どーしたの?ちょっとお顔が赤くなってませんかぁ?きゃはははははー』


秋良さんが勢いよく立ち上がり、詩織を指差す。


『くそぉ!お前!絶対許さねーからな!詩織!』

『きゃはははははー』






…そんなやり取りがしばらく続いた。


『だけどね…ほんとに知れば知るほど不思議なの。金魚…てゆうより信吾…って』


僕が…不思議…?
急に打って変わったように、詩織が真面目に語り始めた。


『…信吾を美容院クローシュ・ドレで初めて見たあの時は、ほんとに私が知ってたまんまの《瀬ヶ池のメダカ》だったのに…』


そう…僕はダサい田舎者の《瀬ヶ池のメダカ》だった。確かに。


『…だけど、メイクして女装して私の前に現れたとき…今だから正直に言うけど…私、凄いショックだった…。メダカの、女装姿のあまりの予想外の可愛さに…』


皆の誰もが黙って、詩織の語りを聞いていた…。






















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