143 / 491
女装と復讐 -躍動編-
page.127
しおりを挟む
上着の左ポケットに隠した男子は、僕の顔をじっと見ている。
『僕たち…何も撮ってないですから…』
『じゃあ取り敢えず、今隠したスマホ、出して見せて』
その男子は黙ってしまった。
他の中学生らも、黙ったまま。
『撮ってないんでしょ。じゃあ見せて』
僕は男子に右掌を差し出した。
『黙って誰かを撮るのをね、《盗撮》って言うの。立派な犯罪だよ。犯罪。中学生ならもう判るでしょ?ほら…出して。スマホ』
黙っただけじゃなく、遂に目まで逸らす有り様の男子。
『金魚!!…中学生相手にそんな強引なやり方…ダメだってば!!』
僕は、詩織のその言葉が聞こえてても…振り返って応えようとしなかった…けど。
『じゃあ…いいや』
僕は男子に差し出した手を下ろした。
『なにもね…本当に撮ってたからって、無理矢理削除!…ってわけじゃないんだ…』
『…えっ?』
男子は再び僕を見た。
『ただ…どうせなら、可愛く撮ってくれたかなぁ…なんてね、そう思っただけ。ごめんね』
急に、なに言ってんだろう…僕。
なんか笑える…。
僕は振り向いて、二歩三歩と詩織のもとへと戻り掛けた…。
「あっ!」
えっ?
なんの声?…僕はまた振り向いた。
女子の一人が男子の左ポケットに手を突っ込み、青色のスマホを取り出してるところだった。
そして、何やら操作してる様子…?
『あ、あの…黙って4回、撮ってました!…ごめんなさい』
その女子が僕の隣に来て、撮った写真を見せてくれた。
僕もそれを覗き込む…。
『あ…へぇ。ありがと…良かった。可愛く撮ってくれてたんだね。ただ…』
僕は写真のデータのひとつを指差した。
『…この写真だけは…削除してほしいなぁ…』
…それはあの…駐車場で、僕と啓介さんが抱きしめ合ってる…ように見える写真。
ちょっと、これを残しとくのは…。
『あの!』
『…?』
また、別の男子が…?
『とっ…と、撮ったら可愛く写ってた、んじゃなくて…金魚さん自身が、かっ、か…可愛いんだ…と、思います…』
えっ?
なにを突然…顔を真っ赤にして、お増せなことを言い出してるんだろう…この男子くんは。
『金魚さんって…みんな、私のこと知ってるの?』
『はい!知ってます!』
『凄く可愛いって有名人です!』
『《カラフル》ってサイトで!』
『《パレット》ってサイトでも!』
超びっくり。
こんな田舎街の中学生たちでさえ、僕…ってゆうか、金魚のことを知ってくれてるとか…。
『あの!もしよかったら…わっ、私たちと一緒に写真、撮ってもらえませんか!』
『あははは。えー…どうっしよっかなーぁ…?』
全然断る理由はないんだけど、僕は悪戯っぽくそう言ってみた。
『お、お願いします!!』
『本当に本当のお願い!!』
『金魚さん!どうかお願いします!!』
『一生のお願いです!!』
『あはははは』
…あまりに必死になって、中学生たちが一生懸命言うもんだから、僕は今度は本気で笑ってしまった。
『今のは冗談。ごめんね。じゃあみんなで撮ろっか。あと…あのお姉ちゃんも一緒にいいよね?』
『岡本詩織さんですよね!僕たち知ってます!』
『詩織さんも一緒にお願いします!』
『詩織さーん、こっち来てくださーい!』
『詩織さーん早く来てー!』
「えぇぇっ!?私も!?」
…詩織も有名人だった。
そこへ通りがかった、ご年配ご夫婦の旦那さんが…。
『あ、私が撮ってあげましょうか?』
『えっ?いいんですか!?ありがとうございます!お願いします!』
男子が旦那さんにスマホを渡し、詩織も僕らに混ざって…。
中学生グループと拝殿の前で記念撮影。
通りがかりの、優しかったご夫婦さま…ありがとうございました。
『僕たち…何も撮ってないですから…』
『じゃあ取り敢えず、今隠したスマホ、出して見せて』
その男子は黙ってしまった。
他の中学生らも、黙ったまま。
『撮ってないんでしょ。じゃあ見せて』
僕は男子に右掌を差し出した。
『黙って誰かを撮るのをね、《盗撮》って言うの。立派な犯罪だよ。犯罪。中学生ならもう判るでしょ?ほら…出して。スマホ』
黙っただけじゃなく、遂に目まで逸らす有り様の男子。
『金魚!!…中学生相手にそんな強引なやり方…ダメだってば!!』
僕は、詩織のその言葉が聞こえてても…振り返って応えようとしなかった…けど。
『じゃあ…いいや』
僕は男子に差し出した手を下ろした。
『なにもね…本当に撮ってたからって、無理矢理削除!…ってわけじゃないんだ…』
『…えっ?』
男子は再び僕を見た。
『ただ…どうせなら、可愛く撮ってくれたかなぁ…なんてね、そう思っただけ。ごめんね』
急に、なに言ってんだろう…僕。
なんか笑える…。
僕は振り向いて、二歩三歩と詩織のもとへと戻り掛けた…。
「あっ!」
えっ?
なんの声?…僕はまた振り向いた。
女子の一人が男子の左ポケットに手を突っ込み、青色のスマホを取り出してるところだった。
そして、何やら操作してる様子…?
『あ、あの…黙って4回、撮ってました!…ごめんなさい』
その女子が僕の隣に来て、撮った写真を見せてくれた。
僕もそれを覗き込む…。
『あ…へぇ。ありがと…良かった。可愛く撮ってくれてたんだね。ただ…』
僕は写真のデータのひとつを指差した。
『…この写真だけは…削除してほしいなぁ…』
…それはあの…駐車場で、僕と啓介さんが抱きしめ合ってる…ように見える写真。
ちょっと、これを残しとくのは…。
『あの!』
『…?』
また、別の男子が…?
『とっ…と、撮ったら可愛く写ってた、んじゃなくて…金魚さん自身が、かっ、か…可愛いんだ…と、思います…』
えっ?
なにを突然…顔を真っ赤にして、お増せなことを言い出してるんだろう…この男子くんは。
『金魚さんって…みんな、私のこと知ってるの?』
『はい!知ってます!』
『凄く可愛いって有名人です!』
『《カラフル》ってサイトで!』
『《パレット》ってサイトでも!』
超びっくり。
こんな田舎街の中学生たちでさえ、僕…ってゆうか、金魚のことを知ってくれてるとか…。
『あの!もしよかったら…わっ、私たちと一緒に写真、撮ってもらえませんか!』
『あははは。えー…どうっしよっかなーぁ…?』
全然断る理由はないんだけど、僕は悪戯っぽくそう言ってみた。
『お、お願いします!!』
『本当に本当のお願い!!』
『金魚さん!どうかお願いします!!』
『一生のお願いです!!』
『あはははは』
…あまりに必死になって、中学生たちが一生懸命言うもんだから、僕は今度は本気で笑ってしまった。
『今のは冗談。ごめんね。じゃあみんなで撮ろっか。あと…あのお姉ちゃんも一緒にいいよね?』
『岡本詩織さんですよね!僕たち知ってます!』
『詩織さんも一緒にお願いします!』
『詩織さーん、こっち来てくださーい!』
『詩織さーん早く来てー!』
「えぇぇっ!?私も!?」
…詩織も有名人だった。
そこへ通りがかった、ご年配ご夫婦の旦那さんが…。
『あ、私が撮ってあげましょうか?』
『えっ?いいんですか!?ありがとうございます!お願いします!』
男子が旦那さんにスマホを渡し、詩織も僕らに混ざって…。
中学生グループと拝殿の前で記念撮影。
通りがかりの、優しかったご夫婦さま…ありがとうございました。
1
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる