女装と復讐は街の華

筆鼬

文字の大きさ
171 / 491
女装と復讐 -躍動編-

page.155

しおりを挟む
僕は…その後も続いた彼女の言葉に、強い衝撃を全身に受けた。






本物の女の子たちには、絶対に負けたくない。
だから、誰かの助力は一切求めない。

自信はある。
絶対に文句は言わせない。

毎日毎日…懸命に努力に努力を重ねて得た、この繊細で的確な独学メイクの技術だけは…。



…紛れもないだから……!!!




『つかさ…もうすぐ午前0時だけど…信吾くん、終電の時間とか大丈夫?帰れる?』

『…えっ!?』


えー…帰れるわけない…。

地下鉄の終電時刻は知らないけど、僕の乗る電車の終電は、確か…午前0時3分が最終発車時刻だったはず…。


『あっはははは。じゃあ、こんな狭苦しい俺の部屋でも良ければ…ひと晩泊まってく?』

『えぇと…お、お願いします…』


僕は…うんと頷いた…。






忠彦くんは自作化粧室の真ん中に、和室の押入れから引っ張り出してきた分厚い敷布団を敷き、毛布2枚と羽毛掛け布団を用意して…枕の代用に、うつ伏せ寝姿の大きなリラックマの縫いぐるみを置いた。


『俺はクレンジングして、メイクを落としたら和室で寝るから。トイレは廊下の左。あ、あと浴室と洗面所は右だし。シャワーを浴びたかったら、朝にしてくれる?あと喉が乾いたら…』


あの…いろんな説明ありがとう。
ただ、細かくて長かったけど…。






…あれから1時間くらい経っただろうか…。
和室の忠彦くんはもう、ぐっすり寝てるんだろう。

音もなくシーンと…静まり返っている。

見上げれば、天井から吊り下げられた照明器具…今は常夜灯のLED球が青く光っている。
おかげで部屋中が青く染まり、まるで海の中にいるみたい…落ち着く。

…これいいなぁ。
僕もアパートの部屋の豆球、この青色にしよう。



手作り三面鏡…机の上でキラキラしてる、たくさんの香水のガラス小瓶…中には化粧道具がびっしり入れられて、綺麗に片付けられている小ダンス…。

忠彦くんは、この部屋でどれだけ頑張ってきたんだろう。
相当頑張った…ってのは、忠彦くんの話からも、この部屋の様子からも十分想像できる…。

どれだけ頑張ったら、あんな丁寧で上手いメイクができるようになるんだろうか…。



…それにしても今日は…いや、正しくは《昨日は》ってことになるけど…色々あった…。

朝は秋良さんが、あの白羽毛のシルクハットを持ってきて…それを頭に被って詩織とアンプリエに行ったことで、泉美ちゃんたちと出会い…アンナさんの美容院からの帰りの途中、新井早瀬駅で忠彦くんに捕まり…今夜に至……。






『………んぁ?』

『おー。あはははは…タイミング良く起きたね。トースト焼いたけど食べる?朝食。ミルクココアも温めてあるよ』


























しおりを挟む
感想 224

あなたにおすすめの小説

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

あべこべな世界

廣瀬純七
ファンタジー
男女の立場が入れ替わったあべこべな世界で想像を越える不思議な日常を体験した健太の話

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

処理中です...