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女装と復讐 -街華編-
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『金魚ちゃん、大丈夫?』
運転中の岡ちゃんが、僕を心配して声を掛けてくれた。
『うん…もうすぐ詩織の誕生日で、そのプレゼントを一人で選んでたからかなぁ…ちょっと疲れたかも。だけど大丈夫…ありがとう岡ちゃん』
『だったら安心だわ。さっき《おばタク》に乗るときも金魚ちゃん、なんだかぼんやりしてて、朦朧としてるみたいだったから…』
『あははは…ごめんなさい』
一瞬遅れて、体がブルブルッと大きく震えた…。
僕の首元に両腕を絡ませ、林檎みたいに頬を紅くした樋口の顔が、ぐっと近づいてきて、樋口に勝手に《初Kiss》を奪われた…ことを今思い出してしまった。
くっ…油断した。悔しいっ…。
しかも…柔らかかった樋口の唇の感触と、僕の口の中の、上唇の裏の…ここ!この部分をペロッてされた感触?…えっ!?まさか…舌!?
舌でペロ…って!?キモっ!
しかも何度も優しく、ぎゅうっと抱きしめられたし…。
それに《ぺたんこ樋口》だと思ってたのに…少し小さいけど、一応ちゃんとはっきりと胸が付いてた。これには超びっくり。
…それが僕のこの腕に柔らかな感触として残ってる…って、今でも思い出すと…ほんっとに気持ち悪い…。
でも、大学ではもの凄い高飛車嬢で、男みたいな喋り方と振る舞いだった樋口も、金魚とデートしてたさっきは…《やっぱり普通に女の子だったなぁ》って、なんか思えてしまった…。
金魚の手を、ぽかぽかに温かくなった手でずっと離さず握ってたし…何度も僕の顔を覗き込んで、ずっと笑顔を絶やさなかったし…。
初めてだったから判らないけど…本物のデートって、あんな感じなんだろうか…?
でも毎週、詩織と2人で歩いてきたけど…樋口と歩いてた時と詩織とは全然違う。
樋口は気持ち悪いんだ…うん。樋口は気持ち悪い…。
そう自分に言い聞かせるように、心の中で繰り返し言えば言うほど…なんで今まで樋口が気持ち悪かったのか…気持ち悪いと思ってたのか…?
よく解らなくなってくる…樋口が見た目だけは可愛いのは仕方ない…本当だから認めるけど。
…でもこれは、ヤバい。本気でヤバい…。
あっ!そういえば…!?
真白い紙袋に入った、僕が元々着てきた衣服は!?
慌てて車内をキョロキョロと見回す…あった!
しっかりと左手で紙袋の手提げを握ってた。よかった…。
樋口に持って行かれた?とか思った…。
『岡ちゃん、ありがとう。帰りの運転、気を付けてね…バイバイ』
『また来週ね。金魚ちゃん』
走り去る《おばタク》を最後まで見送る。
そういや…樋口も、僕に《バイバイ》みたいな事言ってたような気が…。
いや、なにも問題じゃないだろ…たぶん。気にするな金魚。
アンナさんの美容院前…玄関へと続く階段を、コツコツとヒールの音を響かせながら上がりはじめ…あっ!
この格好じゃ駄目だ!これ、詩織への誕生日プレゼントなんだから!
僕はまた階段を急いで駆け下りて、美容院の下の駐車場の隅で、隠れるようにして元の衣服に着替えた。
よし…OK。さて行こう。
再び玄関前への階段を上がる。
『ただいまぁ…』
『あら、金魚。お帰りなさい』
アンナさんは、若いお姉さんお客の長い髪を、ドライヤーと櫛を使って整え仕上げていた。
鏡越しに僕を見た、このお姉さんお客を含む3人のお客さん達。
『きゃ…金魚ちゃんだぁ!』『えっ…ほんと!金魚ちゃんだ!』って、パチパチと拍手して、大人しく暴れない程度に喜んでた。
僕は僕でそれに応え、お客さん達に小さく会釈して手を振り返した。
『ごめん、尚美ちゃん。ちょっと代わってくれる?』
『あ…はい』
従業員のお姉さんとアンナさんは交代し、僕らはあの特別客室へと入る。
そしてドアを閉めるなり、アンナさんはすぐ…。
『遅かったけど…なにしてたの?』
『あ、えぇと…詩織の誕生日プレゼントを選んでて、ちょっと遅く…』
『あら、そうなの?だったらいいんだけど』
僕は左手にぶら下げた白い紙袋から、買ってきた衣服を出して見せ…。
『……。』
『?』
…アンナさん?
紙袋や衣服には目もくれず、じっと僕の顔を見ているアンナさん…??
『誰かと…Kiss、したの…?』
えぇぇーっ!!!?
僕の唇をさっと見ただけで…即バレ!?
さすがはメイクのプロフェッショナル!
アンナさん!凄ーい!
…なんて悠長なこと言ってる場合じゃない…。
運転中の岡ちゃんが、僕を心配して声を掛けてくれた。
『うん…もうすぐ詩織の誕生日で、そのプレゼントを一人で選んでたからかなぁ…ちょっと疲れたかも。だけど大丈夫…ありがとう岡ちゃん』
『だったら安心だわ。さっき《おばタク》に乗るときも金魚ちゃん、なんだかぼんやりしてて、朦朧としてるみたいだったから…』
『あははは…ごめんなさい』
一瞬遅れて、体がブルブルッと大きく震えた…。
僕の首元に両腕を絡ませ、林檎みたいに頬を紅くした樋口の顔が、ぐっと近づいてきて、樋口に勝手に《初Kiss》を奪われた…ことを今思い出してしまった。
くっ…油断した。悔しいっ…。
しかも…柔らかかった樋口の唇の感触と、僕の口の中の、上唇の裏の…ここ!この部分をペロッてされた感触?…えっ!?まさか…舌!?
舌でペロ…って!?キモっ!
しかも何度も優しく、ぎゅうっと抱きしめられたし…。
それに《ぺたんこ樋口》だと思ってたのに…少し小さいけど、一応ちゃんとはっきりと胸が付いてた。これには超びっくり。
…それが僕のこの腕に柔らかな感触として残ってる…って、今でも思い出すと…ほんっとに気持ち悪い…。
でも、大学ではもの凄い高飛車嬢で、男みたいな喋り方と振る舞いだった樋口も、金魚とデートしてたさっきは…《やっぱり普通に女の子だったなぁ》って、なんか思えてしまった…。
金魚の手を、ぽかぽかに温かくなった手でずっと離さず握ってたし…何度も僕の顔を覗き込んで、ずっと笑顔を絶やさなかったし…。
初めてだったから判らないけど…本物のデートって、あんな感じなんだろうか…?
でも毎週、詩織と2人で歩いてきたけど…樋口と歩いてた時と詩織とは全然違う。
樋口は気持ち悪いんだ…うん。樋口は気持ち悪い…。
そう自分に言い聞かせるように、心の中で繰り返し言えば言うほど…なんで今まで樋口が気持ち悪かったのか…気持ち悪いと思ってたのか…?
よく解らなくなってくる…樋口が見た目だけは可愛いのは仕方ない…本当だから認めるけど。
…でもこれは、ヤバい。本気でヤバい…。
あっ!そういえば…!?
真白い紙袋に入った、僕が元々着てきた衣服は!?
慌てて車内をキョロキョロと見回す…あった!
しっかりと左手で紙袋の手提げを握ってた。よかった…。
樋口に持って行かれた?とか思った…。
『岡ちゃん、ありがとう。帰りの運転、気を付けてね…バイバイ』
『また来週ね。金魚ちゃん』
走り去る《おばタク》を最後まで見送る。
そういや…樋口も、僕に《バイバイ》みたいな事言ってたような気が…。
いや、なにも問題じゃないだろ…たぶん。気にするな金魚。
アンナさんの美容院前…玄関へと続く階段を、コツコツとヒールの音を響かせながら上がりはじめ…あっ!
この格好じゃ駄目だ!これ、詩織への誕生日プレゼントなんだから!
僕はまた階段を急いで駆け下りて、美容院の下の駐車場の隅で、隠れるようにして元の衣服に着替えた。
よし…OK。さて行こう。
再び玄関前への階段を上がる。
『ただいまぁ…』
『あら、金魚。お帰りなさい』
アンナさんは、若いお姉さんお客の長い髪を、ドライヤーと櫛を使って整え仕上げていた。
鏡越しに僕を見た、このお姉さんお客を含む3人のお客さん達。
『きゃ…金魚ちゃんだぁ!』『えっ…ほんと!金魚ちゃんだ!』って、パチパチと拍手して、大人しく暴れない程度に喜んでた。
僕は僕でそれに応え、お客さん達に小さく会釈して手を振り返した。
『ごめん、尚美ちゃん。ちょっと代わってくれる?』
『あ…はい』
従業員のお姉さんとアンナさんは交代し、僕らはあの特別客室へと入る。
そしてドアを閉めるなり、アンナさんはすぐ…。
『遅かったけど…なにしてたの?』
『あ、えぇと…詩織の誕生日プレゼントを選んでて、ちょっと遅く…』
『あら、そうなの?だったらいいんだけど』
僕は左手にぶら下げた白い紙袋から、買ってきた衣服を出して見せ…。
『……。』
『?』
…アンナさん?
紙袋や衣服には目もくれず、じっと僕の顔を見ているアンナさん…??
『誰かと…Kiss、したの…?』
えぇぇーっ!!!?
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