322 / 491
女装と復讐 -街華編-
page.306
しおりを挟む
しばらくお互い黙って視線を交わしていたけど…僕は目を細め、詩織ににやりと笑って見せた。
『はっはーん…どうせ詩織、また《ほんとに奇跡的だよね》とか《ちょっと感動しちゃった》とか言い出すんじゃない?』
最近詩織は僕のメイクを見てて、何度かそう言ってたんだ。
『ぶっぶー。今回は違うもん』
えっ?…違う?
詩織は両腕を軽く組んで、落ち着いてぼーっと眺めるように僕を見てる。
『今ね…私こんなに毎週毎週、信吾のメイクしてる横顔を見てても、なんで全然飽きないんだろう…って思ってたの』
…真っ直ぐに僕を見詰める詩織の無表情な顔が、なぜか普段よりもちょっと綺麗に可愛く見えて…。
僕はどうリアクションしていいのか判らず、目をキョロキョロと泳がせた。
『…たぶん毎日でも、こうやって隣に座って私…飽きずに見てられるんだろうなぁって思う。でも今凄く落ち着いてるはずなのに、なんでこんなにドキドキしちゃってるんだろう…不思議なの…』
詩織ともう一度、ちゃんと視線を交えて見合う…そして僕にまで詩織のドキドキが伝染ってくる…顔がかあっと温かくなるのを感じる…《これはいつものヤバい雰囲気だ!》と感付く…。
『あー!…ほら、あのさ…』
この変な雰囲気をぶち壊して空気を変えられるように、僕は慌ててそっぽを向いて、とりあえず叫んでみた。
『…なぁに?信吾』
『えっと…あの、そろそろ鈴ちゃんに、金魚の秘密…ってか、本当のことを言わないといけないんじゃないかな…』
詩織は小さく頷いて組んでた腕を解き、やっと僕から視線を外して俯いた。
『私…金魚の本当のこと、鈴ちゃんに伝えるの…怖い』
僕だって気持ちは同じ。だけど、いつまでも鈴ちゃんを騙していてはいけない。いつかは言わないといけないことなんだ。
しかも、もう彩乃への復讐を間近に控えてる今となっては…だから早めに。
…できれば、今日にでも。
《おばタク》の業務上での都合により、いつもよりずっと遅くなってしまった午前11時28分…僕と詩織は、ようやく《おばタク》に乗車中。
…ん?
詩織が急に慌てて、ハンドバッグからiPhoneを取り出した…?
『もしもし…えっ?泉美ちゃん!?…うん。なに?急にどうしたの?…あー。だね。バレンタインチョコを一緒に買いに行った以来よねー。超久しぶりー♪…』
あの泉美ちゃんからの電話かぁ。久しぶりだなぁ。
けど、笑顔だった詩織の表情が突然険しくなる…?
『…えっ?ううん、いるよ。金魚…今私の隣に…』
…金魚?
僕は電話中の詩織の横顔を見た。
『…えーっ!?居るの!?…駅のスタバに!?』
居る?…って誰が?
まっ、まさか…金魚の偽物!?
『…うん。わざわざありがとう…だけど今、ちょっと急いでて…時間が無くて…うん。ごめんねー。はーい。連絡ありがとね…』
…詩織が電話を切った。
『はっはーん…どうせ詩織、また《ほんとに奇跡的だよね》とか《ちょっと感動しちゃった》とか言い出すんじゃない?』
最近詩織は僕のメイクを見てて、何度かそう言ってたんだ。
『ぶっぶー。今回は違うもん』
えっ?…違う?
詩織は両腕を軽く組んで、落ち着いてぼーっと眺めるように僕を見てる。
『今ね…私こんなに毎週毎週、信吾のメイクしてる横顔を見てても、なんで全然飽きないんだろう…って思ってたの』
…真っ直ぐに僕を見詰める詩織の無表情な顔が、なぜか普段よりもちょっと綺麗に可愛く見えて…。
僕はどうリアクションしていいのか判らず、目をキョロキョロと泳がせた。
『…たぶん毎日でも、こうやって隣に座って私…飽きずに見てられるんだろうなぁって思う。でも今凄く落ち着いてるはずなのに、なんでこんなにドキドキしちゃってるんだろう…不思議なの…』
詩織ともう一度、ちゃんと視線を交えて見合う…そして僕にまで詩織のドキドキが伝染ってくる…顔がかあっと温かくなるのを感じる…《これはいつものヤバい雰囲気だ!》と感付く…。
『あー!…ほら、あのさ…』
この変な雰囲気をぶち壊して空気を変えられるように、僕は慌ててそっぽを向いて、とりあえず叫んでみた。
『…なぁに?信吾』
『えっと…あの、そろそろ鈴ちゃんに、金魚の秘密…ってか、本当のことを言わないといけないんじゃないかな…』
詩織は小さく頷いて組んでた腕を解き、やっと僕から視線を外して俯いた。
『私…金魚の本当のこと、鈴ちゃんに伝えるの…怖い』
僕だって気持ちは同じ。だけど、いつまでも鈴ちゃんを騙していてはいけない。いつかは言わないといけないことなんだ。
しかも、もう彩乃への復讐を間近に控えてる今となっては…だから早めに。
…できれば、今日にでも。
《おばタク》の業務上での都合により、いつもよりずっと遅くなってしまった午前11時28分…僕と詩織は、ようやく《おばタク》に乗車中。
…ん?
詩織が急に慌てて、ハンドバッグからiPhoneを取り出した…?
『もしもし…えっ?泉美ちゃん!?…うん。なに?急にどうしたの?…あー。だね。バレンタインチョコを一緒に買いに行った以来よねー。超久しぶりー♪…』
あの泉美ちゃんからの電話かぁ。久しぶりだなぁ。
けど、笑顔だった詩織の表情が突然険しくなる…?
『…えっ?ううん、いるよ。金魚…今私の隣に…』
…金魚?
僕は電話中の詩織の横顔を見た。
『…えーっ!?居るの!?…駅のスタバに!?』
居る?…って誰が?
まっ、まさか…金魚の偽物!?
『…うん。わざわざありがとう…だけど今、ちょっと急いでて…時間が無くて…うん。ごめんねー。はーい。連絡ありがとね…』
…詩織が電話を切った。
1
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる