女装と復讐は街の華

筆鼬

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女装と復讐 -街華編-

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『待って!その夢を諦めるの、まだ早いかも!!』


僕は周りを気にすることなく、つい声も大きく無意識に叫んでしまった。

勢いよくテーブルに、グイッと乗り出した僕の上体…僕の顔は歩美さんのすぐ目の前に迫っていた。


『あっ!…うわ、ごめんなさい…』


…慌てて座り直した。

そして周りのお客の女の子たちが全員こっちを見てるのに、ようやく僕は気づいて…は、恥ずかしっ…。


『あっ、そうだ…そうだよ!金魚の言うとおりなの!鮎美ちゃん!!』

『…えっ?夢を諦めるの、早…えっ??』


僕は一瞬足りとも迷うことなく、慌てて自分のスマホを取り出して、電話を掛けはじめた。


『…何?ちょっとどうしたの!?2人とも…?』


慌てふためき、困惑している様子の歩美さん。

長い長い電話の呼び出し音…あぁもう、やっぱり忙しくて電話に出てもらえないのかな…。





…ガチャッ。


「おー、もしもし。信吾か。どうした?」

『あっ!もしもし!秋良さんですか!』

「俺じゃなかったら誰なんだよ…。だから何かあったのか?って」


秋良さんに電話した僕を、詩織はしばらく黙って期待の目で見ていた。


『今ってまだ忙しいんですか?』

「仕事のことか?あぁ。そりゃもう、めっちゃくちゃ忙しいって。俺も啓介も毎日毎日、デザイン考案とサンプル縫製成形作業で、もう2ヶ月ずーっと休みも無ぇし、朝8時から夜は9時まで、事務所に缶詰だって…」






…僕が秋良さんと電話をしている最中に、詩織は…。


『鮎美ちゃん、もうアルバイトなんてしてる場合じゃないの』

『…どういうこと?』

『夢が叶うかもなんだから…アルバイトなんて、やってる場合じゃないんだってばぁ!鮎美ちゃん!』

『えっ、えっ??あの…だから…?』






『…はい。すぐ傍に居ますので、じゃあ今電話代わります…』

「…マジか…」


僕はスマホを歩美さんに差し出した。


『鈴木秋良さんっていう、洋服をデザインする仕事を個人でしていて、今凄く忙しい人なの。だから歩美お姉ちゃん…はい。電話代わって』

『えっ、えっ?…待って!どうなって…!?』

『落ち着いて。大丈夫よ鮎美ちゃん。秋良くんは怪しい人じゃないから、安心して。ねぇほらぁ、早く電話に出てあげて』


歩美さんはウンウンと頷き、恐る恐るゆっくりと手を伸ばし…僕のスマホを受け取った。


『あっ…あ、あの…もし、もしもし…』



『…あ、はい。こちらこそ、はじめまして…。私、筒井歩美と言います…』



『はい…はい。そ、そうなんです…はい。私の小学校の頃からの夢だったんです…』







秋良さんの、電話からの声が聞こえない僕と詩織は、歩美さんの返答の言葉から、その会話の内容を一生懸命に想像してた。
























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