女装と復讐は街の華

筆鼬

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女装と復讐 -完結編-

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アンナさんは言ってくれた…『私から取得できるものがあれば、遠慮なく何でも吸収しなさい』って。

だから僕も、アンナさんに…。

『もっともっとアンナさんに、金魚の名前を利用してもらえるよう、頑張りま…』

『こらっ!金魚』


…!!?


『《金魚を》なんて人聞きの悪い言葉、ダメよ!』


えっ!?…あ、怒られた…。
…ごめんなさい。


『でも、そう思ってくれる気持ちは嬉しいわ。ありがとう』


…けど《ありがとう》ってお礼も言われた…。




アンナさんが僕をそっと放したその直後、化粧品店の中から駆け出てきた詩織。僕の左腕に飛びつき、自分の右腕を勢いよく絡ませてきた。


『金魚。ナオさんに挨拶済ませてきたから。じゃあ行こっか』

『あ…うん』


いつもの詩織らしくなく、僕の顔をじーっと見て、珍しくニコッと笑って見せた…?


『ハイカラ通りで金魚とデートぉ♪』

『…はぁ?』

『しゅっぱーつ♪』


右腕を絡ませたまま、ぎゅっと握った左拳を元気に挙げる詩織。

あの…今更デートって…。






まぁ…とにかくハイカラ通りへと向かって歩きはじめた僕ら。


『ねぇ詩織。なんかご機嫌良さそうだけど…何か良いことでもあった…?』

『うん。ちょっとねっ♪…ってゆうか今日の金魚、なんかいつもより可愛く見える…』

『あ…うん。たぶんそう見えるのは、今日のメイクの出来のせいかな…』






…こうして翌日から、約1ヶ月にも渡る僕の夏季アルバイト…《メイク修行》が始まった。



午前7時34分。《岩塚信吾》がナオさんの化粧品店に出勤。


『おはようございます』

『おはよう。信吾くん』


この朝早い時間、出勤しているのはナオさんだけ。
他の従業員のお姉さん達が出勤する前に僕が出勤しないと、《信吾》が《金魚》に変身できない…っていうか、女装ってバレるし。

僕は控え室に置いてある金魚用の女装服…Tシャツとショートパンツに着替え、すぐにメイクを始める。



午前8時10分から20分…従業員のお姉さん達の出勤時間。僕は床のモップ掛けのお手伝い中。


『おはようございまーす』

『あら!金魚ちゃん、出勤早いね!』

『あはは…はい』


開店19分前…午前8時41分。お店の前に現れた1人の若くて可愛らしい女の子。明らかに開店を待っている様子…まさか!?

僕はお店の玄関扉を半分開け、上体を乗り出した。


『あの…今井可奈美さんですか?』

『あ、はい』


…思ったとおり。昨日ナオさんから聞かされていた、今日の《金魚メイク》希望の、一番目のお客さまだ。























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