391 / 491
女装と復讐 -完結編-
page.375
しおりを挟む
午前9時28分。僕の掛けた『どうぞ』という声に応え、次にメイクするお客さまが席に座った。
見た目は…25歳くらい。まぁ、普通にお洒落なお姉さんって感じ。
『今日はどこかお出掛けですか?』
『いえ。特に予定なんて何もないです』
『えっ?』
笑顔もなく、ただ淡々と答えるお客さま。
『たまたま、ここでコスメをいくつか買ったら、無料でメイクをしますよと言われたんで』
『…はぁ。そうなんですか…』
僕はメイクを始める前に、お客さまである女の子と少し、お喋りをすることにしている。
女の子1人に掛けられる時間は30分。
お喋りの時間なんて無駄じゃない?さっさとメイクを始めれば?と思えがちだけど…。
お客さまと親しく会話を交わしたほうが、その子の性格やこれからの予定などを知ることができ、頭の中にイメージが湧いて、会話無しでメイクを始めるよりも、なぜか迷いも少なく、速く仕上げることができる。
『今はメイクしてますか?』
『軽くメイクしてることぐらい、見て分かるでしょ?早くして』
『はい…すみません。まずメイク落としから始めますね…』
『メイク…終わりました』
『できたの?じゃあ、もう行っていいの?』
『あ…はい。無料ですし…』
『ありがとう』と一言残し、スタスタと早足でお店を出ていくお客さま。
『ありがとうございました』と声を掛けることさえもできなかった…。
こういう、十分な会話ができなかった場合…僕自身が納得できるようなメイクに仕上がっていないことが多い。
逆にお客さま自身が、僕のこのメイクをお気に召してくれたのか…良かったのか悪かったのか、それも何も教えてくれない…何も判らないってことだって多い。
…なんとか午前中の3時間で、お客さま6人のメイクを無事にこなし、お昼のランチはナオさんと近くのレストランへ。
午後は1時から3時までの2時間で、女の子4人にメイク…それでやっと今日のアルバイトは終了。
1日にメイク10人とか…修行とはいえ、さすがにキツい…結構疲れる…はぁ。
そんなアルバイト初日から…数日後。
『金魚ぉ♪』
『あぁ…詩織』
午後3時16分。詩織が明日の金魚の着替えを持って、ナオさんの化粧品店に来店。それを控え室の隅に置かせてもらう。
『今日も1日お疲れさまぁ♪』
『…うん。ありがとう』
メイク道具の後片付けを、詩織も手伝ってくれて…。
『じゃあ、お片付けも済んだし…行こっか』
『うん』
アルバイトが終わると、僕と詩織は必ず《ハイカラ通り》に行っている…毎日。
詩織の言うような《デート》…なんてもんじゃない。実際はただ《彩乃を捜してる》《現れるのを待ってる》《巡回警備》…そんな感じ。
《彩乃を見付けたら、捕まえて色々と問い詰める!!》…そう意気込んでいる詩織。
見た目は…25歳くらい。まぁ、普通にお洒落なお姉さんって感じ。
『今日はどこかお出掛けですか?』
『いえ。特に予定なんて何もないです』
『えっ?』
笑顔もなく、ただ淡々と答えるお客さま。
『たまたま、ここでコスメをいくつか買ったら、無料でメイクをしますよと言われたんで』
『…はぁ。そうなんですか…』
僕はメイクを始める前に、お客さまである女の子と少し、お喋りをすることにしている。
女の子1人に掛けられる時間は30分。
お喋りの時間なんて無駄じゃない?さっさとメイクを始めれば?と思えがちだけど…。
お客さまと親しく会話を交わしたほうが、その子の性格やこれからの予定などを知ることができ、頭の中にイメージが湧いて、会話無しでメイクを始めるよりも、なぜか迷いも少なく、速く仕上げることができる。
『今はメイクしてますか?』
『軽くメイクしてることぐらい、見て分かるでしょ?早くして』
『はい…すみません。まずメイク落としから始めますね…』
『メイク…終わりました』
『できたの?じゃあ、もう行っていいの?』
『あ…はい。無料ですし…』
『ありがとう』と一言残し、スタスタと早足でお店を出ていくお客さま。
『ありがとうございました』と声を掛けることさえもできなかった…。
こういう、十分な会話ができなかった場合…僕自身が納得できるようなメイクに仕上がっていないことが多い。
逆にお客さま自身が、僕のこのメイクをお気に召してくれたのか…良かったのか悪かったのか、それも何も教えてくれない…何も判らないってことだって多い。
…なんとか午前中の3時間で、お客さま6人のメイクを無事にこなし、お昼のランチはナオさんと近くのレストランへ。
午後は1時から3時までの2時間で、女の子4人にメイク…それでやっと今日のアルバイトは終了。
1日にメイク10人とか…修行とはいえ、さすがにキツい…結構疲れる…はぁ。
そんなアルバイト初日から…数日後。
『金魚ぉ♪』
『あぁ…詩織』
午後3時16分。詩織が明日の金魚の着替えを持って、ナオさんの化粧品店に来店。それを控え室の隅に置かせてもらう。
『今日も1日お疲れさまぁ♪』
『…うん。ありがとう』
メイク道具の後片付けを、詩織も手伝ってくれて…。
『じゃあ、お片付けも済んだし…行こっか』
『うん』
アルバイトが終わると、僕と詩織は必ず《ハイカラ通り》に行っている…毎日。
詩織の言うような《デート》…なんてもんじゃない。実際はただ《彩乃を捜してる》《現れるのを待ってる》《巡回警備》…そんな感じ。
《彩乃を見付けたら、捕まえて色々と問い詰める!!》…そう意気込んでいる詩織。
1
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる