女装と復讐は街の華

筆鼬

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女装と復讐 -完結編-

page.376

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それほど高くもない中層ビルと、10階を超える高層ビルが道沿いに、不規則にずらりと整列して並ぶ《ハイカラ通り》。

8月の夕方4時の、熱く照りつける日差しとビル群の影が、凸凹あるその輪郭を路面へと落とし、鮮明に写し描いている。

そんな街の景色を眺めていると、やっぱり夏だなぁ…なんて、呑気なことを思ったり。




ハイカラ通りを歩きだすと、すぐ…。


「金魚ちゃん」
「金魚ちゃぁーん♪」

『??』


声の聞こえた右側のほうから、こちらへと歩いて近づいてくる女の子2人組。


『お化粧のお仕事、お疲れさまぁ!』

『あ!…うん。ありがとう』


詩織は黙って、僕と女の子たちのやり取りを…じっと静かに見てる…。


『金魚ちゃん、写真ツーショ一緒にいい?』
『詩織ちゃん!…はい』


僕がそれに『いいよ』も『ダメだよ』も、何の一言も答えないうちに、もう1人の女の子が、自分のiPhoneを詩織に手渡す。


『…えっ?』

『ごめんね。カメラお願いします』

『えぇっ!?ちょっ…』







『やだぁ♪写真の金魚ちゃんも…ほんとかーわーゆーいー♪』

『ねぇ!さっちーにもLINEで写真送ってさぁ、自慢しちゃう?』

『おーっ!いいねー。自慢しちゃうー!』


ツーショット撮影…って言っても、3人で撮ったんだけど…それが済むと、もう十分満足したのか…女の子2人は、さっさと歩いて、何処かへと行ってしまった…。


『あの…ごめん。詩織…』

『きゃははは』


詩織は『なーに気にしてんのよぉ』って、笑って許してくれた…。







またしばらく歩くと…。


『金魚ちゃん!』

『!』


そろりそろりと後ろを振り返ると…また別の女の子。


『金魚ちゃんの…サインください!』

『えっ…サイン…!?』


少し前までは、きゃあきゃあと騒がれ、離れた位置から写真を撮られることはあったけど、《一緒にツーショット撮影》とか《サイン》なんて、求められることなんてなかった。

それが少しずつ…ここ最近になったら更に、特に多くなった気がする…。


『…こ、こんな感じで…い、いい?』


…これがサインとか…。

ただ単に、ボールペンで女の子の持ってきたキャンパスノートの裏表紙に、小さく《池川金魚》と書いただけの…サイン?


『うわぁ…やったぁ♪凄く嬉しいです!』

『じ、じゃあ…良かった』


女の子がお礼の会釈をした。


『私、金魚ちゃんの大大大ファンなんです♪』

『ど…どうもありがとう』


今度は握手を求められて、軽く握手を交わした。
この女の子も、それで満足したらしく…僕らに手を振ってくれながら、また何処かへと歩いていった。

詩織は…ちらっ…。

僕は詩織が『私だけ…』『私の存在って…』って、不貞腐ふてくされてるんじゃないかと心配になったけど…そんなに気にしてない様子だった…良かった。

…ってゆうか、不貞腐れてないどころか…。


『もぅすっかり人気者だね。金魚。きゃははは』


…ほんの少し笑ってくれてた。


『さぁて。また歩こっか。金魚…あ!』


今、僕も詩織も気付いた…。

さっきのサインした女の子が去ったあと…そこに列を成して、なんだか順番待ちをしてる?っぽい様子の…女の子たちの集団…。


『あの…私も金魚ちゃん達と…ツーショ…』

『…。』


















 




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