女装と復讐は街の華

筆鼬

文字の大きさ
415 / 491
女装と復讐 -完結編-

page.399

しおりを挟む
自らお屋敷に出向き、直接面談して謝罪する…。

実際には有りもしなかった罪を認める…それがどういうことを意味するか。
そんなことは、雄二さんだって冴嶋社長だって解ってる。だけど…。



高須賀あずさのお父様は《愛娘の所属する芸能事務所が、他の芸能事務所と比べて見劣りしていてはならない》と、冴嶋プロダクションに巨額の支援金を投入してくれていた、間違いなく事務所きって一番の《大切な後援者様》である。

もし何かほんの小さなことであっても、それがきっかけとなって、あずさの父の機嫌を害して《今後の支援継続を解消》なんてことにでもなったら…。

…そうなったら、冴嶋プロダクションの今後を左右する大問題となるのは必至。




冴嶋社長は何度も何度も、雄二さんの意思を再確認し、社長も意を決して高須賀邸へと再び電話。

電話に応対したお母さまに『直接撮影に関わったカメラマン《中澤雄二》が、ご自宅に出向いて面会し直接、謝罪を申したいと願い出ているのですが』と伝えたが…。


…お母様はそれを拒否。


けれどその一言だけでは諦めないで、最後まで粘り強く交渉を続けると…『じゃあ1時間だけなら』と、許しを得られた。






冴嶋社長と雄二さんが高須賀邸に到着し、応接室へと案内されると、迎えてくれたのは高須賀あずさのご両親…だけ。

あずさ当人は、やはり部屋に閉じ篭っていらとお母様は言う。

冷静さを装いながらも時折、酷く怒鳴るお父様に対し、冴嶋社長が見守るなか…雄二さんは、とにかく何度も謝罪の言葉を口にし、何度も頭を下げた。




本当は《セクハラ紛いな行為》なんて無かったことを、お母様は知っていたんじゃないだろうか。

撮影現場はここ…高須賀邸。そして撮影のあいだ、お母様はとなりの部屋に居たんだし…。






部屋を出て応接室へと、下りてこない娘のあずさに、お母様は『娘の携帯に直接電話してみます』と提案。

自宅の固定電話の子機を使い、あずさの携帯に電話。


『…今、中澤さんに代わります。だから電話を切らないで、ちょっと待ってなさい』


そう言って、電話の子機を雄二さんに手渡した。




…しばらく続いた雄二さんの『もしもし…もしもし…』だけの言葉。

辛抱強く『もしもし』と語り掛け続けてやっと、それに根負けしたのか…あずさが少しずつ…ぽつりぽつりと小さな声で語りはじめた。


『!!』


あずさの、今の自分の心境を語るその声が、漏れて他の誰にも聞かれないよう、雄二さんは子機の受話部を自分の耳に強く押さえつけた…。













































しおりを挟む
感想 224

あなたにおすすめの小説

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

あべこべな世界

廣瀬純七
ファンタジー
男女の立場が入れ替わったあべこべな世界で想像を越える不思議な日常を体験した健太の話

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

処理中です...