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女装と復讐 -完結編-
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午後3時52分。予定の時刻はとっくに過ぎてるんだけど…冴嶋社長からの電話はまだ無い。
『本当に私、ファミリーのみんなのことが大好きなの』『ずっと、みんなと一緒に居たいの』『ほんとに寂しいの…嫌だ』『離れるの、嫌だよ』『東京で一人ぼっちなんて嫌だ』…って、《みんなが大好き》と《嫌だ》を言い繰り返している詩織。
詩織の気持ちは凄く解る。
アンナファミリーを考案したのも詩織だし…だから、その思い入れの強さも…。
詩織の涙に潤んだ瞳は、僕を捉えたまま動こうとしない。
僕にも詩織のドキドキが伝わってきてる…僕も何とも言えない、この切ない気持ちに…僕の鼓動は更に強く、速くなってる…。
そして僕はひとつ…初めて思った。
詩織って本当は、こんなにも寂しがり屋…なのかな。
…何にしても、僕はさっきのような調子で『芸能界入りをやめるなんて、絶対ダメだ!』なんて、言えなくなってしまった…。
『…誰にでも、気持ちのなかに《大切や大好きの優先順位》ってあるよね…私も、芸能界に入れれば、楽しいことがいっぱいあるって思う。けど…ファミリーのみんなと芸能界とを比べて、それを差し替えてまで…なんて。やっぱり私にとって大切だって優先順位でいったら…』
そもそも、この問題は『信吾?金魚?が…私と一緒に東京に行かないのなら…』ってことから始まってるんだ。
僕が一緒に行かないってだけで、こんなに《詩織のなかの大問題》にまで発展するものなの!?
だって、詩織のなかの僕の存在なんて…。
でも…だったら、この問題を終わらせて、穏便に解決させるためには…。
そのために必要なものは…。
『わかったよ詩織…。だったら僕はやっぱり、詩織と一緒に東京に行くよ』
『…えっ』
真顔の詩織が僕を真っ直ぐに見てる…。
『…って言ったら…詩織はもう悩まずに済むの?』
『なにそれ…』
詩織は泣き止み、少しだけ微笑んで見せてくれた。
『詩織に付き添って行ったところで、僕なんてなんの価値もない奴だよ。それでも、こんな価値のない僕と一緒じゃなきゃ東京に行かない、なんて…』
『やめて…そんな言い方、嫌だ…止めてよぉ。あぁぁ…』
えぇーっ!?
なっ…何が!?なんで!?
どどど、ど、どうしよう…!!
そんなはずじゃなかった…のに、またぼろぼろと…詩織の目から涙が耐えきれず溢れ出し…!!
あわわゎ…。
『なんで…自分は価値がないなんて…そんなこと言っちゃうの…簡単に言っちゃうの…?』
えぇっと…あっ!そうだ!
確か僕のこの、オレンジ色のショートパンツの右のポケットに…あった!!
『信吾…自分のこととか価値とか…全然解ってない。私のことも…』
引っ張っても、どこかに引っ掛かって出てこない!
なんだよ!!…早く出てこいよ!逆らうなよ!このハンカチめ!!
僕はポケットから出したハンカチを、右手を震わせながら持ち、詩織の両頬の涙を慌てて、そのハンカチで拭いはじめた。
そのハンカチで拭う僕の右手を…そして右頬にそっと触れてる僕の左手も…自分の両手でそっと払い除けた詩織…。
『本当に私、ファミリーのみんなのことが大好きなの』『ずっと、みんなと一緒に居たいの』『ほんとに寂しいの…嫌だ』『離れるの、嫌だよ』『東京で一人ぼっちなんて嫌だ』…って、《みんなが大好き》と《嫌だ》を言い繰り返している詩織。
詩織の気持ちは凄く解る。
アンナファミリーを考案したのも詩織だし…だから、その思い入れの強さも…。
詩織の涙に潤んだ瞳は、僕を捉えたまま動こうとしない。
僕にも詩織のドキドキが伝わってきてる…僕も何とも言えない、この切ない気持ちに…僕の鼓動は更に強く、速くなってる…。
そして僕はひとつ…初めて思った。
詩織って本当は、こんなにも寂しがり屋…なのかな。
…何にしても、僕はさっきのような調子で『芸能界入りをやめるなんて、絶対ダメだ!』なんて、言えなくなってしまった…。
『…誰にでも、気持ちのなかに《大切や大好きの優先順位》ってあるよね…私も、芸能界に入れれば、楽しいことがいっぱいあるって思う。けど…ファミリーのみんなと芸能界とを比べて、それを差し替えてまで…なんて。やっぱり私にとって大切だって優先順位でいったら…』
そもそも、この問題は『信吾?金魚?が…私と一緒に東京に行かないのなら…』ってことから始まってるんだ。
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だって、詩織のなかの僕の存在なんて…。
でも…だったら、この問題を終わらせて、穏便に解決させるためには…。
そのために必要なものは…。
『わかったよ詩織…。だったら僕はやっぱり、詩織と一緒に東京に行くよ』
『…えっ』
真顔の詩織が僕を真っ直ぐに見てる…。
『…って言ったら…詩織はもう悩まずに済むの?』
『なにそれ…』
詩織は泣き止み、少しだけ微笑んで見せてくれた。
『詩織に付き添って行ったところで、僕なんてなんの価値もない奴だよ。それでも、こんな価値のない僕と一緒じゃなきゃ東京に行かない、なんて…』
『やめて…そんな言い方、嫌だ…止めてよぉ。あぁぁ…』
えぇーっ!?
なっ…何が!?なんで!?
どどど、ど、どうしよう…!!
そんなはずじゃなかった…のに、またぼろぼろと…詩織の目から涙が耐えきれず溢れ出し…!!
あわわゎ…。
『なんで…自分は価値がないなんて…そんなこと言っちゃうの…簡単に言っちゃうの…?』
えぇっと…あっ!そうだ!
確か僕のこの、オレンジ色のショートパンツの右のポケットに…あった!!
『信吾…自分のこととか価値とか…全然解ってない。私のことも…』
引っ張っても、どこかに引っ掛かって出てこない!
なんだよ!!…早く出てこいよ!逆らうなよ!このハンカチめ!!
僕はポケットから出したハンカチを、右手を震わせながら持ち、詩織の両頬の涙を慌てて、そのハンカチで拭いはじめた。
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