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女装と復讐 -完結編-
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その役割を全うし、真っ直ぐに垂れ下がった僕の両腕。
そんな僕の両肩を詩織は両手で引き寄せて、優しく僕…金魚を抱きしめた。
僕の左肩の上に詩織の小さな顎。
そして左の頬に触れる、詩織の左の頬。
しばらく黙り込み、時折ぐすんと鼻を啜っているのが、僕の左耳の鼓膜に僅かな音量で届く。
…耳が少しくすぐったい。
ってか、前にもこんなシチュエーション…あったような気がする…。
『…私と金魚…ずっとずっと、いつも一緒だったよね。誰よりも、なっ…ぐすん。長く一緒にいたの…金魚だもん』
僕は心がぶわっと波打つように震えて、堪らなくなって詩織の頭を右手で…ゆっくりと優しく撫でた。
『僕が自分自身のことを軽率に、価値がないなんて言って…ごめん。詩織…本当にごめん』
『…うん』
詩織は頷いた。
『だからもう泣かない。いい?』
『うん』
…って、言った傍から…。
『だけど…お願い。私…みんなのことも好きだけど、本当は…一番好きなのは…大好きなのは金魚なの…うわぁぁー…あー…』
肩を震わせながら、詩織の…また鳴き声…。
『だから、もう泣かないって言ったじゃん…』
『私…金魚と離れるの嫌だぁ。私もここに残るー…』
詩織が僕の両肩を更に強く抱きしめた。そして一瞬で泣き止んだ…?
『…ずっと私、信吾に隠してたんだけど…本当は私、知ってるの…ぐすん』
『知ってる?って何のこと…?』
僕は詩織を一旦引き離し、ちゃんと詩織の顔を間近で見た。
詩織も弱々しい目線で僕をじっと見てる…。
『…あ、アンナさんが…』
『アンナさんが…?』
『し…信吾に、お願いしたこと…』
…お願いしたこと…?って、何だっただろう…?
詩織は少し躊躇っているかのように、詩織から次のひと言が出るまでに、少し時間が掛かった。
『…忘れたの?アンナさんがね…信吾に《これからは私の代わりに、詩織のことを守ってあげてほしいの》って…』
…!!!!
『…じゃあ私、金魚とずっとずっと一緒にいられるんだ…って、金魚がいつまでも、私の傍にいてくれるんだ…って、嬉しいなぁって…思ってたのに…』
…なぁんだ。そっかぁ…。
『信吾は、私がどこへ行っても…どこか遠くへ行っても、ずっと守っ…』
僕に自分で選べる《選択肢》なんて、初めから無かったんだ…。
それを思い出したら…不思議と全身の力が緩んで…安心した。
なんだか…自分がこんなことで思い悩んでた、なんて考えたら…自分自身が可笑しく思えてきた。
『…でも、状況が状況だもん。そんなわけにも行かないよね…。信吾には《宮端学院大学の卒業》っていう、もっと大事な目標があるんだし…』
『ごめん。詩織』
『ううん。私も子どもみたいな我儘言って…ごめんね』
僕は首を横に振る…詩織は泣きながら、僕に微笑んで見せた。
『私…頑張って一人で、東京に行くね…』
そんな僕の両肩を詩織は両手で引き寄せて、優しく僕…金魚を抱きしめた。
僕の左肩の上に詩織の小さな顎。
そして左の頬に触れる、詩織の左の頬。
しばらく黙り込み、時折ぐすんと鼻を啜っているのが、僕の左耳の鼓膜に僅かな音量で届く。
…耳が少しくすぐったい。
ってか、前にもこんなシチュエーション…あったような気がする…。
『…私と金魚…ずっとずっと、いつも一緒だったよね。誰よりも、なっ…ぐすん。長く一緒にいたの…金魚だもん』
僕は心がぶわっと波打つように震えて、堪らなくなって詩織の頭を右手で…ゆっくりと優しく撫でた。
『僕が自分自身のことを軽率に、価値がないなんて言って…ごめん。詩織…本当にごめん』
『…うん』
詩織は頷いた。
『だからもう泣かない。いい?』
『うん』
…って、言った傍から…。
『だけど…お願い。私…みんなのことも好きだけど、本当は…一番好きなのは…大好きなのは金魚なの…うわぁぁー…あー…』
肩を震わせながら、詩織の…また鳴き声…。
『だから、もう泣かないって言ったじゃん…』
『私…金魚と離れるの嫌だぁ。私もここに残るー…』
詩織が僕の両肩を更に強く抱きしめた。そして一瞬で泣き止んだ…?
『…ずっと私、信吾に隠してたんだけど…本当は私、知ってるの…ぐすん』
『知ってる?って何のこと…?』
僕は詩織を一旦引き離し、ちゃんと詩織の顔を間近で見た。
詩織も弱々しい目線で僕をじっと見てる…。
『…あ、アンナさんが…』
『アンナさんが…?』
『し…信吾に、お願いしたこと…』
…お願いしたこと…?って、何だっただろう…?
詩織は少し躊躇っているかのように、詩織から次のひと言が出るまでに、少し時間が掛かった。
『…忘れたの?アンナさんがね…信吾に《これからは私の代わりに、詩織のことを守ってあげてほしいの》って…』
…!!!!
『…じゃあ私、金魚とずっとずっと一緒にいられるんだ…って、金魚がいつまでも、私の傍にいてくれるんだ…って、嬉しいなぁって…思ってたのに…』
…なぁんだ。そっかぁ…。
『信吾は、私がどこへ行っても…どこか遠くへ行っても、ずっと守っ…』
僕に自分で選べる《選択肢》なんて、初めから無かったんだ…。
それを思い出したら…不思議と全身の力が緩んで…安心した。
なんだか…自分がこんなことで思い悩んでた、なんて考えたら…自分自身が可笑しく思えてきた。
『…でも、状況が状況だもん。そんなわけにも行かないよね…。信吾には《宮端学院大学の卒業》っていう、もっと大事な目標があるんだし…』
『ごめん。詩織』
『ううん。私も子どもみたいな我儘言って…ごめんね』
僕は首を横に振る…詩織は泣きながら、僕に微笑んで見せた。
『私…頑張って一人で、東京に行くね…』
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