女装と復讐は街の華

筆鼬

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女装と復讐 -完結編-

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詩織が高圧的な言葉と態度で、女の子に向かって話してる…。
今日が最後…だからもう何も怖くない…別にそれで嫌われたって構わない…今まで言いたかったことを全て言う…そんな詩織の想いが伝わってきた気がした。

それもこれも…僕に代わって言ってくれてるんだよね…詩織。


『…実は私も、あなた達と同じように、去年は彼をメダカだと笑ったことだってある…けど今は、あの頃の私自身を、残念な子だったんだなって思って反省してる。だって本当の信吾のことを知れば、そんなんじゃないんだって分かったから…』


冗談なんて微塵もない。本当に真剣に…真っ直ぐに、そう語っている詩織…。


『…救ってくれたのは鮎美ちゃんの夢だけじゃない。私だってそうだし、アンナさんの夢や願いも、秋良くんや啓介くんの仕事にも…彼は《奇跡》を起こしてくれた。そして実は彼の存在そのものが《奇跡》だったんだって、私は今ではそう思ってる…』


急に静まり返ったこの演劇ホール…僕を笑う女の子たちの声も、驚きの声も…今は何も聞こえなくなってた…。


『今からあなた達は、私の言ってたその《奇跡》っていうものを…目の当たりにすることになるから…ちょっと待ってて』




僕の右隣に座って、僕を見守ってくれていた鈴ちゃんが、立ち上がってもう一度詩織の隣へと向かう。


『詩織ちゃん。マイクを貸してくれる?』

『うん。はい』


詩織からマイクを受け取った鈴ちゃん。


『この演劇ホールに来てくれた女の子たちに言い忘れたことがあるから、今言います…』


ホール内に、また騒めく女の子たちの声が小さく響き渡った。


『彼…元、瀬ヶ池のメダカこと岩塚信吾くんも、私の所属する芸能事務所、冴嶋プロダクションに連れて行きます』


女の子たちの驚きの声が、更に大きくホール内に響いた。


『もちろん、うちの事務所の所属タレントとしてです。何故だって思う?解らないでしょう?その答えが…こちらです』






…メイクの済んだ僕…卓上鏡で仕上がりの最終チェックを行う…。

僕は椅子から立ち上がり、詩織に誘われるように、詩織と鈴ちゃんとの真ん中に立った。


「おかえり。金魚」

「え?おかえり…って、なに?」

「きゃははは。ちょっと言ってみたかっただけ♪」


詩織がぎゅっと握った右手を差し出す…そして僕はそれを受け取り、僕の左耳に着けた…赤姫と黒助くん。


『みんなも見たことあるでしょう…もう有名だものね。金魚ちゃん』


演劇ホールが、また急に湧いた、悲鳴にも似た女の子たちの声で埋め尽くされた。

舞台袖から出てきた寺本陽凪さんがマイクを1本持ってきて、それを詩織に手渡した。そしてまた舞台袖へと戻っていく…ありがとう。


『そう…彼こそが、この藤浦市に突然現れた《奇跡》…池川金魚ちゃんの本当の正体。金魚ちゃんはメダカと呼ばれてた、信吾くんのもう一つの姿』


『笑えるの?もう笑えないでしょ?だって金魚が信吾だったんだもん!』


観覧席の女の子たちに向かって、詩織が気持ちよさそうにそう叫んだ。


『そう…この藤浦市に誕生する新しい芸能人…私の後輩というのは、こちらの岡本詩織ちゃんと…池川金魚ちゃんこと、岩塚信吾くんです』

『だって私のパートナーっていったら、やっぱり金魚だもんね』


詩織が僕を見て、にこっと笑う。


『信吾はね、女装して池川金魚となって、誰にも負けない女の子としての可愛さを瀬ヶ池の女の子たちに見せつけて、勝ち誇ってあげようってこの計画が始まったの!どう?…金魚となったメダカを見て、悔しいって思わない?』


詩織が僕に、マイクを差し出した。


『信吾…復讐するんでしょ?あなたも言いたいこと、はっきりと言ってやったら?』

『う、うん…』


僕は詩織からマイクを受け取った。


『えぇと…』























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