異世界日帰りごはん 料理で王国の胃袋を掴みます!

ちっき

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連載

モリアン、飛ぶ!

「ロイロさん!大丈夫ですよね!?」
「儂とルプ、コンの防御結界を重ね掛けしておる、あの壁にぶち当たっても無傷じゃ。」
 モリアンは不安そうに呟くが、ロイロはサムズアップしながらモリアンに答える。

「うきっ!」
 サンジュは一鳴きすると、ゴリラの様に大きくなる、そしてモリアンをヒョイっと持ち上げ、手の上に座らせた。

「だだだだだだいじょうぶですよねええええええ!!??」
 モリアンの声が響く、そしてサンジュは結界の中からモリアンを手に乗せ振りかぶる。

「うほっ!!!」
 ブンッ!と空気を切り裂く音と共に、モリアンは結界の外へ飛ばされる、モリアンは一直線に飛んで行く。

「きゃああああああぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」
 部屋に響くモリアンの声、皆はそれを見届ける、そしてモリアンはスイッチと思われる石を通り過ぎ、大きな音と共に壁にぶち当たった。

「モリー!大丈夫ー!」
 千春が大きな声で問いかけると、砂煙の中から瓦礫をかき分けモリアンが現れる。

「・・・大丈夫ですっ!全然痛くなかったです!」
 モリアンは腰に手を置き、ドヤ顔で答える、だがモリアンの前にあるスイッチの先ではモリアンに向かい魔法陣が現れていた、モリアンはすぐに駆け出しスイッチを触る。

「触りましたー!!!」
 モリアンの声と共に魔法陣が消滅する、そして千春達を囲っていた結界も消滅した。

「おおー!大成功!」
 千春はキャッキャと喜び頼子達とハイタッチする。

「ねぇチハル、これなんだと思う?」
 部屋の壊された入口の横に、瓦礫に埋まったスイッチがあった、それを日葵は指差しながら問いかけた。

「・・・なんだろね。」
 千春は何となく脳裏に浮かぶ答えをスルーする、だが美桜が言葉に出す。

「・・・解除スイッチとか?」
「いやいや、瓦礫に埋まってたけどさ、こんな所にあったら解除して進められるじゃん。」
「・・・でもウチら解除しなかったじゃん」
「・・・」
 美桜と麗奈が話す、そして頼子が頷き答えた。

「あとで魔法師団が調べるっしょ、さ!行こう!モリーちゃんが待ってるよ♪」
「んだんだー、進むベ~♪」
 頼子と千春はそう言うと部屋を歩き始める、皆は千春の後ろを付いて行く。

「チハル、先頭を歩くな、何か有ったらどうするんだ。」
 エンハルトが千春の横に行くと注意する。

「いや、何か有ったらアイトネが声かけて来るから、私が先の方が安全なんだってば。」
「しかし・・・ルプ達の方が何かあればすぐ対応するだろう。」
「ルプが死んだら私も死ぬけどね♪」
「そう言えばそうだったな・・・」
「そ、だからこのダンジョンでヤバいと思ったらアイトネの声が聞こえるから♪」
 気楽に話す千春、納得したのか、千春の横を歩くエンハルト、そしてモリアンと合流すると、奥の扉を見つめる。

「次はあそこかな。」
 千春が言うと、アリンハンドは扉の前に行く、そして魔法を掛けた。

「・・・魔力は流れていません、ルクレツィア様どうですか?」
 アリンハンドの横で扉を調べるルクレツィアが首を振る。

「罠は無いみたいね。」
「それでは開けてみましょう。」
 アリンハンドは扉に付いた棒を握る、そして扉を押すと、音も無く開き始めた。

「これだけ色々罠あったのに扉には無いんだ。」
「千春、なんでそんな残念そうに言うのよ、アリンさんが怪我したらどうすんの。」
 千春の言葉に頼子が呟く、扉を覗き込むルクレツィア、そして頷くとアリンハンドが扉の奥へ消える、千春達も続いて部屋に入る。

「また何も無い部屋だぁ!」
 千春は部屋に入るなり叫ぶ、千春の声が部屋を反響する。

「えー、また罠部屋ぁ?」
 青空が部屋を見渡しながら呟く。

「部屋の中央に何か有りますね。」
 アリンハンドが部屋の中央に光る石を指差す、天井は高く、部屋自体がドーム型のようになっていた、皆は光る石の方へ向かって歩く。

「罠は無いっぽい?」
 頼子が呟くと千春は頷き答える。

「あったら声聞こえるっしょ、それにルクさんとロイロ達も魔法で探索してるし。」
 警戒するルクレツィアとペット達、だが千春は気楽に話しながら中央へ向かう、そして光る石の前にアリンハンドが立つ、その瞬間ぽわっと光の文字が現れた。
 それを見て頼子が呟く。

「また古代語かぁ、古代の人が作ったのかな。」
「そうかもしれません・・・」
「で、何て書いてあるの?」
 頼子が問いかけると、千春が横から呟く。

「えーっと・・・『試練を受けよ。されば汝が望むもの、必ずやここに在り』・・・『されど、ただ与えられるものにあらず。力なき者に宝は渡さぬ』・・・どういう事?」
「そう言えば千春古代語読めるんだっけ。」
「ウィステルの記憶あるから読めるよん♪でも意味はわかりまへん、アリンさん、試練って何?」
 千春が言うと、アリンハンドが真顔で答える。

「わかりません!」
「わからんのかーい!」
 千春が突っ込むが、アリンハンドはもう一度文字の方を見る。

「力なき者には宝は渡さぬ・・・何か力を示すのでしょうか。」
 呟くアリンハンド、そして光る石を見つめる。

「その石ってやっぱりスイッチ的な感じなのかな。」
 頼子が石の前で問いかけると、アリンハンドが頷く。

「ええ、間違いなく、その石を触れば試練が始まるかと。」
「魔力的な事ならアリンさんいるし、魔力量なら千春も凄いし、なんなら精霊の涙もあるし・・・」
 頼子はブツブツと呟く、美桜たちも頷く。

「ま、触ったらわかるっしょ。」
 千春は石の前に手を出す、そして・・・

「アイトネ、大丈夫だよね?見てるよね?何も言ってこないけど!?」
((大丈夫よ~♪あなた達なら・・・あ、ネタばれになっちゃう~♪))
 気楽に答えるアイトネ、その声を聞き千春はクスッと笑い、光る石を触った。

 石は千春が触れるとボロボロと砕け散る、砕けた石は粉になり宙に浮きあがり、魔法陣を描き始め光り輝くと、真紅の炎が噴き上がりドーム型の部屋が熱い風で包まれる、そしてそこには炎のように赤く輝く髪、溶岩のような瞳、隆々とした体の男が現れた。

「我は万の炎を司るクテトラなり!命が惜しければ今すぐ踵を返して帰るがよい!ここに立つというなら、灰になる覚悟を決めろ!さあ、誰だ!誰が我に挑むというのだぁぁぁ!!」
「あ、クテトラさん出てきたわ、レナ、バトンタッチ。」
「ういー、こんにちはークテトラさん。」
 気安く話しかける麗奈、クテトラはキョトンとした顔で麗奈たちを見おろす。

「ん?何故レナがいる?」
「クテトラさんこそ、なんで召喚されてるの?」
「俺は一度だけ召喚を許した魔導師の約束通り呼ばれただけだが・・・」
「それってどれくらい前なんです?」
「・・・2000年くらい前か?」
「もう居ませんってその魔導師さん。」
「そうか、それで、俺に挑むのは?」
「挑みませんよ?」
「・・・せっかく呼ばれたのに?」
 クテトラは不満げに問いかけると、聖女達、そして護衛達までもが頷く。

「・・・そうか。」
 ションボリとするクテトラに千春が話しかける。

「あ、クテトラさん、ここの調査終わったらお疲れ様会しますから、上位精霊さんたちみんなで宴します?」
 千春が問いかけると、ションボリ顔から一瞬で嬉しそうに頷く。

「おう!行くぞ!」
「それじゃ次の部屋に調査行くんで、また後で麗奈に呼んでもらいますね。」
「せっかく呼ばれたんだ、調査を手伝ってやる。」
「良いんです?」
「もちろんだ。」
 炎の上位精霊クテトラはニカッと笑う、そして千春たちはクテトラの指す扉を開けた。







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