異世界日帰りごはん 料理で王国の胃袋を掴みます!

ちっき

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甘い異世界体験!

「・・・」
「うわぁぁぁ!」
 目の前に広がる色とりどりのスイーツ、甘い香りにアベリーは無言になり、ミミは目をキラキラさせながら声を漏らす。

「はい、一回座ろうか~♪」
 千春は頼子、サフィーナが席に座ると、2人も席に着く。

「ルールを教えておくね。」
 千春はスイーツバイキングのルールを2人に伝えると、2人はウンウンと頷く。

「わっちはプリンたべるば~い♪」
 子供姿のビェリーは隣の席に座る、ちゃっかりとついて来たロイロも席を立ち、迷いなく皿を手に取りバイキングコーナーへ向かった。

「それじゃ行きますかぁ~♪」
「チハル、程々にしておかないと・・・」
 サフィーナが注意すると千春はニパッと笑う。

「それはそれ~これはこれ~♪今日は楽しもう♪」
「チハルが良いなら良いですけれど。」
 サフィーナはそれ以上言わず、自分もバイキングコーナーへ向かう、ミミはビェリーの後を、アベリーは千春の後ろをついて行くと、次々と皿にスイーツを置いて行く。

「アベリーさん、これ美味しいよ!」
「どれも美味しそうです。」
「うん、どれも美味しいけどね♪」
「これだけの甘味を食べ放題ですか。」
「そっ♪」
「お金・・・大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ?あっちの値段で言うと1人銀貨2枚くらいだし。」
「・・・はい?」
 アベリーは値段を聞き思わず聞き返す。

「こっちだと銀貨1枚が1000円くらいだからさ、ここ1人1980円なのよ。」
「・・・はぁ。」
「チハルは割引券持ってるからでしょ?」
 サフィーナが千春に言うと、千春はニパッと笑いアベリーに言う。

「あ、こっちのケーキもホイップが美味しいよ!」
 千春は苺のショートケーキを皿に載せる、真っ白なクリームに真っ赤な苺、甘い香りがアベリーの鼻をくすぐる。

「ありがとうございます。」
「まだ食べられそう?」
「はい、でも・・・もうお皿いっぱいですよ?」
「んじゃ一回食べよう♪」
 千春は自分の皿にも苺ショートを乗せると席に戻った。


-------------------------


「ビェリーこれなに!?」
「それはシュークリームやね、食べるん?」
「食べる!」
 ビェリーはトングでプチシュークリームを乗せる、次々とスイーツを指差し聞いて来るミミにビェリーは答えながら皿に載せる、頼子はそれを見ながら笑う。

「ビェリー、面倒見良いじゃん。」
「ついてくるっちゃもん。」
「ミミちゃん、これも美味しいよ。」
「たべる!」
 頼子はトングでクリームたっぷりのパウンドケーキを掴み、ミミの皿にのせた。

「さ、一回食べようか。」
「そやね。」
「はーい♪」
 ミミは皿を大事に手に持ち、スイーツを見つめながら席に戻った。


-------------------------


「美味しい?」
 バクバクとスイーツを食べるミミに千春が問いかける、ミミはコクコクと頷きながら幸せそうにケーキを口に入れていた。

「本当に美味しい、これが異世界の食事ですか。」
「食事と言うか、お菓子だね。」
「凄いですね、これが異世界。」
 アベリーは不意に外を見つめる、車が走り、バイクが通る、ビルが天高くそびえ立つ。

「ヨリー、帰りにコンビニ寄りたいんだけど。」
「うぃ~、ギョースーは?」
「ギョースーは今度で良いよ、ストックあるし。」
「おっけー。」
 2人の会話を聞きながら外を見るアベリー、サフィーナはそれを見てクスッと笑う。

「アベリーさん。」
「・・・あ、はい、何でしょうかサフィーナ様。」
「みんな次のスイーツ取りに行きましたよ?」
 サフィーナに言われテーブルに視線を戻すと、サフィーナしか居なかった。

「・・・食べるの早いですよ!」
「ここはそういう所ですから。」
 アベリーはキョトンとした顔で自分の皿を見る、千春が置いた苺のショートケーキにフォークを入れ口に入れる。

「・・・美味しい。」
「気に入りました?」
「はい、同じ物を食べても良いのですか?」
「もちろんですよ、食べられるのでしたら、何度でもいくらでも食べて良いですよ。」
 サフィーナが言うと、アベリーは微笑む、そしてパクっとケーキを口に入れ立ち上がる。

「行って来ます!」
 アベリーはそう言うと皿を手に戦場へ向かった、サフィーナは紅茶を口にすると、サフィーナも立ち上がり次のスイーツを取りに行った。


-------------------------


「・・・もうむり。」
 千春は3度目の皿を空にすると呟く。

「最後はやっぱりソフトクリームよね~。」
 頼子はそう言うと立ち上がる。

「ロイロ、それ何皿目?」
 千春が言うと、ロイロは口をモグモグと動かしながら手を広げる。

「5回目!?」
「わっちは4回目~。」
「俺も5回目だな。」
 ルプは人の姿で余裕の表情で答えた。

「次はアレたべる!」
 ミミは皿を空にすると、またスイーツを取りに行く。

「ミミちゃんよく入るねぇ、アベリーさんもまだ食べれそう?」
 千春が言うと、目の前に座るアベリーが顔を赤くする。

「はい、まだ食べられます。」
「何回目です?」
「・・・4回目です。」
 申し訳なさそうに呟くアベリー、千春は笑いながら答えた。

「お腹はちきれるまで食べて良いから♪」
 千春が言うと、テーブルの前に立つ女性が頷く。

『ここに来たら好きなだけ食べるのがマナーよ♪』
 何故かいるアイトネに千春はジト目で問いかけた。

「なんでいるの?」
『チハルについて来たからよ?』
「一緒に来てたの?」
『うん♪』
「なんでそんな、当たり前じゃない・・・みたいな言い方してんのかな?」
『ほら、アベリーちゃん♪アレも美味しいわよ♪』
 アイトネはそう言うと、アベリーを連れスイーツを取りに行く。

「サフィー、気付いてた?」
「ええ、そっちのテーブルで食べてるの見えてましたから。」
「言ってよ。」
「言った所でなにも変わらないでしょ?アイトネ様よ?」
「・・・そりゃそうか。」
「もう食べないの?」
「むり!もうお腹いっぱい!」
「あら、それじゃ私はもう一度行って来ますね。」
「・・・いってら~。」
 お腹をさすりながら言う千春、そしてバイキングコーナーに目をやると、楽し気にスイーツを選ぶミミ、アイトネにおすすめを教えてもらうアベリー、ソフトクリームにチョコやトッピングをかけ嬉しそうな頼子が目に入る。

「・・・またみんな連れて来るかなぁ。」
 お留守番をしている侍女たちや、用事で来れなかったイツメンを思い出しながら呟く、そして日本に戻る時羨ましそうにしていたモリアンの顔を思い出す。

「・・・帰ったらうじうじ言われるだろうなぁ。」
 千春はクスッと笑いながらモリアンにお土産買っていくかぁと思いつつ、少し落ち着いたお腹をさすり、ソフトクリームを取りに行った。




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