異世界日帰りごはん 料理で王国の胃袋を掴みます!

ちっき

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連載

カジックの森ダンジョン!

『村が見えたぞ。』
 ロイロが声を掛けると、千春はゴンドラと化した馬車の窓から顔を出す。
 壮大な森の片隅に広がる大きな村、人は皆千春の方を見ていた。

「おおー、結構大きな村だねー。」
 そう言いながら森を見つめる。

「フィサニーさん、ダンジョンって何処です?」
 一緒の馬車に乗った女騎士フィサニーは答えた。

「この森全てがダンジョンです。」
「・・・全部ぅ!?」
「はい。」
 地平線まですべて森、それを見た千春は申し訳なさそうに問いかけた。

「第5区画ってどこらへんです?」
 千春の問いに、フィサニーが答えた。

「上からではわかりませんが、ダンジョンに入り、4時間ほど歩いた所ですね。」
「・・・4時間。」
「はい、色々な区画を回りながら通らなければ辿り着けませんので。」
「マジか。」
 千春が呟くと、横に座っていた麗奈が同じく問いかける。

「フィサニーさん、方向とかはわかります?」
「ある程度でしたら。」
「直線距離だとどれくらいで行けます?」
「・・・直線ですか?」
「はい♪」
「そうですね、半分・・・いえ、三分の一くらいでしょうか。」
「1時間ちょいかぁ。」
 麗奈が呟く、それを聞いた美桜が首を傾げる。

「直線ってどうやって行くのよ、箒?」
 美桜が言うと、青空が笑いながら話す。

「ドラゴンブレスで道作るとか。」
「それはダメでしょ。」
 突っ込む大愛、麗奈は笑いながら答えた。

「聞いてみないと出来るかわかんないけどね。」
 聖女達が話をしていると、ドラゴンがゆっくりと地面に降りる、馬車の周りには人だかりが出来ていた、そして一人の男が声をかけてくる。

「何事だ!」
 ドラゴンを前に怯まず声を上げる男、するとマリーカリナ聖槍騎士団団長であるペトリスが答えた。

「ハーン殿、こちらは聖女様御一行だ、ダンジョンに用がある!」
「・・・聖女?」
 ハーンは訝し気に馬車から降りて来た聖女達を見る、だが王国の騎士が言うのだ、すぐに怪しむのを止め頭を下げる。

「カジックの森を管理している冒険者ギルドのハーンでございます。」
 ハーンが言うと、エンハルトが答えた。

「ジブラロール王国、エンハルト・アル・ジブラロールだ、騒がして申し訳ない。」
「いえ・・・このドラゴンは?」
「ジブラロール王国竜騎士団と、聖女の護衛のドラゴンだ。」
「聖女の護衛・・・ジブラロール竜騎士団・・・」
 ドラゴンに乗った騎士など聞いたこともないハーンは驚きを隠せない、だが目の前にいるドラゴン、そして甲冑を着てドラゴンに乗る騎士を見てもう一度頭を下げた。

「それで、どの様なご用件で。」
「森のダンジョン、カジックダンジョンだったか、そこに用がある。」
 エンハルトが言うと、ハーンは不思議そうな顔で頷く、すると、ペトリスが紙をハーンに見せた。

「ルムルド国王陛下の許可証だ。」
 ダンジョンに入る事を許可すると書かれた紙を見て、ハーンは頷く。

「どうぞ、入口はこちらです。」
 ハーン自らカジックの森の入り口へ案内する、竜騎士団のドラゴンは地面を蹴り空に浮き上がる、そして千春たちの後ろからはドラゴニュートになったドラゴン達がついて来る。
 聖女達を遠巻きに見る冒険者たち、千春は何でもないようにハーンの後ろを歩く。
 村の外れまで来ると、鎧を着た男達がハーンに声を掛けた。

「ハーン、その人たちは?」
「ジブラロール王国の王族と聖女様だ。」
「は?」
「ダンジョンに入るらしい。」
「・・・」
 ハーンに言われ、鎧の男達は道を開ける、入口と言っても門がある訳でもない、大きなアーチゲートがあるだけだ。

「それでは、まずは1区画の1-1です、ここは小さな魔物しかおりません。」
 ペトリスが言うと、エンハルトとアリンハンド、エーデル、ホーキンがアーチを抜ける。

「フィサニーさん、小さな魔物って何が居るんです?」
「このエリアは角ウサギや土イタチ、スライムなどですね。」
 フィサニーが答えると、美桜が嬉しそうに言う。

「角ウサギってアレじゃん?ゲームとかで出て来るアルミラージとか!」
「ホーンラビットじゃないの?」
 美桜の言葉に青空が答える、すると大愛がスマホで調べた。

「あ、どっちも同じらしいよ。」
 大愛が言うと、千春が問いかけた。

「それ美味しいです?」
「はい、この村で一番狩られる魔物です、村でも食べられますよ。」
「おおー!ちょっと狩りたいなぁ。」
 千春は楽し気に言うと、麗奈が答えた。

「チハル、道作れるか聞いて来るね。」
「誰に?」
「ラムンディさん、呼べるか試してくるわ。」
「はいよー、ルプ、角ウサギ狩れる?」
 麗奈がホーキンに守られながら森の方へ向かう、千春はルプに問いかけると、ペット軍団がワイワイと盛り上がる。

「まかせろ、兎くらいいくらでも捕まえて来てやる。」
「わっちもー!」
「僕も行きます!」
「うきゃー!」
 狼、白蛇、狐、猿が声を上げる、するとフクロウ娘のミミも手を上げる。

「ウサギならまかせてー!」
 キャッキャと騒ぎながら森に入るペットたち、千春は『がんばれー』とエールを送る、そして森が大きく騒めく、ルプたちが入ったせいではない、森が二つに分かれたのだ。

「チハルー、呼べたよー。」
 割れた森の道に現れたのは森の大精霊であり、木のドラゴンであるラムンディだ。

「チハル、久しぶりだ、元気そうで、なにより。」
「ラムンディさんも元気そうで♪」
 千春が挨拶を交わしていると、麗奈が話す。

「ラムンディさんに説明したら、だいたい場所分かるってさ。」
「おおー!助かる!」
「どうする?飛んで行く?」
 麗奈の問いかけに千春が首を振る。

「色々見たいし、直線で行けるなら歩こう♪」
「おっけー♪」
 千春が答えると、麗奈も頷く、そして皆に声を掛けようと千春が後ろを見ると、冒険者たちが呆然としたまま森を見ていた、そこには冒険者ギルドのハーンと鎧の男たちも立ち尽くしていた。

「・・・え~、行って来ます!」
 千春はニパッと笑い、ハーンに手を振る、ハーンは思わず手を振り返し答えた。

「・・・お気をつけて。」
 ポカンとした顔で答えるハーン、千春はエンハルトと目が合う。

「私は何もしてないよ?レナだよ?」
「まぁそうだな。」
 呆れた声で答えるエンハルト、そしてアリンハンドは苦笑いだ、だが、一緒についてきた魔術師であるアベリーは森の方を見たまま固まっていた。

「アベリーさん、行くよー?」
「ハ・・・ハイ。」
 声がうわずりながら返事を返すアベリー、だが聖女たちは平然と歩き始める、もちろんエーデルやホーキンも気にせず歩く。

「アリンハンド様!?」
「ん?アベリーどうしました?」
「どうしたもなにも・・・コレなんですか?」
「森の大精霊、ラムンディ様が道を作ったんですよ。」
「なぜ大精霊が!?」
「言ってませんでしたか?レナさんは大精霊を召喚出来るんですよ。」
 当たり前のように答えるアリンハンド、だがアベリーは混乱していた、人が精霊をしかも大精霊を呼ぶ、そんな事聞いたことも無かった。

「そんな・・・非常識な。」
 アベリーが呟くと、アリンハンドが笑いながら答えた。

「これが聖女の常識ですよ、さ、行きますよ。」
 アリンハンドはそう言うと歩き始める、アベリーは呆然としながらもアリンハンドの後ろをついて行った。





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