異世界日帰りごはん 料理で王国の胃袋を掴みます!

ちっき

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連載

森の聖女ランチ!

「消毒!!!」
 千春はエンハルトの持つオリハルコンの剣に浄化魔法を掛けた。

「意味無いだろ、呪われてる訳じゃあるまいし。」
 エンハルトは苦笑いで言うと、千春は『いいの!』と言葉を遮り魔法を掛けた。

「ヨリさん、これ回収してもらえますか?」
 アリンハンドが言うと、頼子はもっのすごく嫌な顔でアリンハンドを見つめる。

「マ?」
「出来れば・・・」
「わっちが回収しとくばーい。」
 帰って来たペットたちが千春の周りに集まる、ビェリーはミミから解放され、にょろにょろとアリンハンドの所に行くと、虫の魔物を影収納して行く。

「ビェリー、食べる物と同じところに入れるのイヤなんだけど。」
「遠くに入れとくけん、わっちも嫌やもん。」
 蛇ではあるが、人間の食べ物が大好きなビェリーも、食材に虫の魔物がつくのは嫌らしい、そしてコンやサンジュは美桜や花音に角ウサギを何羽獲ったと嬉しそうに報告していた。

「チハル、お昼はどうするの?」
 志乃が問いかけると、千春はペトリスに問いかけた。

「休憩できる場所とか有るんですか?」
「ある事はあるのですが・・・」
 ペトリスは一直線に出来た道を見つめる。

「ある程度の区画はわかりますが、今の状態でその場所に行けるかどうか。」
 ペトリスの言葉に、フィサニーも頷いている、そしてロイロが答えた。

「どこでも良いじゃろ、儂らが結界を張れば魔物もこぬわ。」
 ロイロはそう言いながら空から護衛しているドラゴン達を見る。

「・・・そりゃそうか、あと30分くらいでお昼だし、もう少し進んだら休憩しよう!」
 千春はそう言うと歩き始めた。


-------------------------


「結構歩いたよね。」
 頼子が呟くと、千春が頷く。

「痩せたかな。」
「この前一日中歩いても減らなかったじゃん。」
「・・・今日は痩せてるかもしれないじゃん?」
「・・・そうだね。」
 千春はそう言うとスマホを見る、丁度お昼になる所だ。

「ここら辺でお昼にしますかぁ。」
 千春はそう言うと、アイテムボックスから簡易テーブルとシンクを取り出す、横ではサフィーナも椅子やテーブルを出し、戦闘特化侍女たちがそれを並べ始めた。

「これが角ウサギかー。」
 千春はビェリーが取り出したウサギを見る、思った以上にデカい、中型犬くらいはあろうかと言う兎を見て驚く、そして額から飛び出た角を手に取る。

「・・・硬いな!」
「そりゃ硬いばい、これで攻撃するっちゃけん。」
「で、これどうしようか。」
 千春とビェリーの話を聞いていた頼子が問いかけると、エーデル、ホーキン、そしてペトリスとフィサニーが話しかけて来た。

「解体しましょう。」
「自分も出来ますので。」
「私もやりますよ。」
「はい、私も解体は出来ます。」
 それぞれが声を掛ける、そして千春はそれをお願いしていると、竜騎士団もゆっくりと地上へ降りて来た。

「お手伝いいたしましょう。」
 竜騎士団団長、フィークス、そしてリベスやアイリスも手伝う、それをジッと見ているコニットに美桜が声を掛けた。

「コニットさんは解体出来ないの?」
「・・・はい、やったことがありません。」
「冒険者経験ないの?」
「無いです、申し訳ありません。」
「いや、大丈夫、ウチもやったことないし♪」
「コニットちゃんって貴族子女だっけ?」
「はい、子爵家の3女です。」
「おー、良い所のお嬢様なら魔物解体しないよねー。」
 コニット、美桜、麗奈がそう言いながら、解体を見学していると、何故か花音と志乃がナイフを持ち、解体を始めていた。

「皮ひっぱるから、肉と皮の境目にナイフ入れて。」
 花音が言うと、志乃が言われた通りにやる、ナイフを軽く動かすと、皮がはがれていく。

「おお・・・」
 志乃は思わず声を上げる、そして皮を剥ぎ終わると、肉を解体していく、頭を切り落とし、腹を裂く、そして内臓を取り出すと、花音が千春に声を掛けた。

「チハルー、内臓は捨てて良いの?」
「いいよー、餌にするからこのバケツに入れといて―。」
「・・・餌?」
「うん、うちの畑で育ててる魔物ちゃんの餌♪」
 千春の言われた通り、内臓は全てバケツに、そして切れ目を広げると内臓を全て取り出す。

「カノン、解体した事あるんだ。」
「解体というか解剖ね。」
「あー、そういう。」
 志乃は納得しながら指示通り解体を再開する、そして足を切り落とし、胴も解体し終わると、それを並べた。

「出来たー♪」
 志乃が嬉しそうに言うと、それを見ていたアベリーは微笑み話す。

「ものすごく上手でしたよ、何か有ればサポートしようと思いましたが。」
「ありがとう、カノンのおかげです♪」
 次々と解体されて行く角ウサギ、既に十数羽の兎が解体され、まだ続けられていた。

「んじゃ私は料理しようかな♪」
 ある程度肉が溜まった所で千春が言う、頼子もエプロンを付け準備万端だ。

「・・・どうしたの?千春。」
 頼子が角ウサギの肉を手にし、動きが止まる。

「いや・・・これ脂身少ないなーって思ってさ、鑑定。」
 千春はおもむろに角ウサギの肉を鑑定する。

「・・・どう?」
「!!!」
 千春は目を見開く、そして。

「うおぉお!低カロリー!高たんぱく!ダイエットに良い!!!」
 嬉しそうに叫ぶ千春、それを見たサフィーナはクスクス笑う。

「必要ならまた狩りましょう、まずは料理しません?」
「おっと、そうだった。」
 ケラケラ笑いながら言葉を返す千春。

「で、何作るの?」
「これだけ人いるから、大鍋料理と塩焼きかな♪」
 千春は侍女たちに肉を切り分けてもらい、鍋で炒める、そしてアイテムボックスから取り出したのは、ギョースーで買った業務用シチューの素だ。

「サフィー、この鍋にお湯出してもらえる?」
「はーい。」
 大きな寸胴鍋に熱いお湯を魔法で入れるサフィーナ。

「これだけ大きいと沸騰させるのも大変だろうね。」
 頼子はサフィーナの横で呟く、そして次々と食材を入れる千春。

「にんじ~ん、じゃがいも~♪」
 適当に切り分けた野菜を投入しながら歌う千春、そして隣では、サフィーナの出したバーベキューコンロと魔導オーブンで侍女が肉を焼き始めた。

「ん~、いい香りだねぇ。」
 美桜は骨付き肉に調味料を振りかけながら言う、麗奈や青空、大愛、日葵もそれを手伝う、次々と焼かれる肉、香りが森に広がる。
 そして肉が焼き終わる頃にはシチューも出来上がり、侍女たちが皿に盛りつけ配膳する。

「・・・流石は聖女様です。」
 フィサニーは思わず呟く、森のダンジョンのど真ん中、そこでテーブルを広げ食事を始める姿は冒険者から見れば異常だ。
 横で頷くペトリスに、エーデルが笑う。

「これが聖女様の食事ですからな、お気になさらず、一緒に食べましょう。」
「ご一緒にですか?」
「ええ、みんなで食べるのが好きなのですよ、チハル様は。」
 エーデルが言うと、2人は頷き、テーブルにつく、そして侍女たちが料理を運んだ。

「それではいただきます!」
 千春の言葉でみんなも挨拶し、食事を始めた。

「ん~♪美味しいな兎肉♪」
 千春は満足そうに言うと、頼子も頷く。

「思ったより臭味ないね、魔物肉だから?」
「どうだろ、でも魔物肉って美味しいからそうかもね。」
 根拠も何も無いが、2人は納得しながら食事を進める、だが、そうもいかない者が2人いた、ペトリスとフィサニーだ。

「う・・・うまい・・・なんだこれは。」
「美味しすぎます!こんな食事初めてです!」
 驚き戸惑い、思わず目を合わせる2人、そして千春の方を見る、千春はそれに気付き、ニパッと笑う。

「こんな食事・・・王宮でも食べた事が無い。」
「私もです、貴族のお食事会でも出ません!そんな料理がこんな森で!」
 驚きながらも手はシチューと肉に行く。

「千春、この肉何かけたん?塩とハーブ?」
「んにゃ、コレ。」
 千春はアイテムボックスから取り出す。

「肉になんでもあうハーブぅ~♪」
 パッケージにはメーカー名と言葉通りの文字が書かれていた。

「あー、これ美味しいよね。」
「美味いんだわぁ、臭みのある肉でもこれで一発よ♪」
 そう言うと、香辛料の掛かった肉を口に入れ、ニッコリ微笑む。

「ドラゴンさん達も・・・うぉう。」
 ドラゴンの方を見た千春は驚く、皮を剥いだだけの肉に調味料を掛けた物をオーブンで丸焼きにし、それをパクリと頬張っていた。

「・・・美味しそうで何よりだわ・・・肉残るかな。」
「また帰りに獲れば?」
「・・・そだね。」
 数十羽の角ウサギ、サイズも大きかったとはいえ、20頭近くいるドラゴンの前では大した量ではないようだ。

「ま、いっか♪」
 千春はそう言うと、兎シチューを口に入れた。








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