異世界日帰りごはん 料理で王国の胃袋を掴みます!

ちっき

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連載

森の魔法談義!

「ここから5区画です。」
 ハイアは道の脇の森を指差す、冒険者が立てたのだろう、文字の書かれた板が地面に刺さっていた。

「2-5は近いんですか?」
 千春が問いかけると、聖槍騎士団長のペトリスが答えた。

「そう遠くはありませんが、森を歩きます、足元が歩き辛いので気を付けてください。」
 ペトリスの言葉に聖女達は頷く、そして森の中に入ると木々がゆっくり動いて行く。

「レナ、もしかしてラムンディさんいる?」
「この杖から見てるよ。」
「あ、それラムンディさんの杖か。」
 木のドラゴン、ラムンディを救い出した麗奈に渡された杖、ラムンディから生み出した分身の様な杖だ。

「便利だねぇ。」
 美桜は道が広がりながら前に続くのを見ながら呟く、麗奈が杖を前に掲げながら歩いて行く、左右にエーデルとホーキンが護衛に歩く。

「なんだこれ。」
 驚きを通り越し、呆けながら呟くハイア、イシリス、ボルダーもポカンと口を開けたままだ。

「聖女様!これは!?」
 トルレーが問いかけると、千春が答えた。

「木の大精霊ラムンディさんの力だよ、あの杖はラムンディさんから出来てるから。」
「そ、そんな、大精霊の杖なんて・・・そんな国宝級の物を今日の為にお持ちしたのですか!?」
「ん?いや、いつも持ってるよねレナ。」
「うん、壊れないし、壊れたらラムンディさんが修理してくれるんだって。」
 麗奈はなんてことない様に答え、前を歩く、人が5~6人は歩ける広さに木々が動き、道を作って行く、冒険者パーティー、赤き熱風のみんなは動く木を見ながら後ろを歩く、そして。

「聖女様方は凄いお力をお持ちなのですね。」
 同じく聖槍騎士団のフィサニーが横を歩くサフィーナに言う。

「・・・そうですね。」
 歯切れの悪いサフィーナ、それを聞き、フィサニーが首を傾げる、これだけの事を当たり前のように見ているジブラロールの侍女たち、そしてエンハルトとアリンハンドがフィサニーに話しかける。

「これくらいは常識範囲内だからな。」
「そうですね、一度ジブラロールにきたら面白いですよ。」
 2人は笑いながら言う、フィサニーは思わず足を止めてしまう。

「フィサニー。」
 ペトリスが声を掛ける、フィサニーは言葉にならないのかペトリスを見つめる、ペトリスはコクリと頷いた。

「女神様をお呼びになる聖女様方だ、これほどの杖を使うのも日常なのだろう。」
 2人の会話を聞いていたテジーは千春に声を掛けた。

「聖女様?」
「チハルでいいよ?」
 いつものように言う千春にテジーは話を続ける。

「あの杖・・・本当に大精霊の杖なのですか?」
「そうだよ♪レナは精霊魔法が使えるからね。」
「えええええ!!!」
 驚くテジー、それはそうだ、精霊魔法は精霊の使う魔法、妖精族や精霊しか使えないと魔法学校でも習っていた。

「って言うか、レナって全属性使えるんだよね。」
「「「ええええええええええええええ!!!」」」
 千春の言葉に、テジー、トルレー、そしてフィサニーが叫ぶ。

「どうした!」
 前を歩いていたハイアが3人に声を掛ける。

「いや!なんでもないよ!いやいや!ないわけないよ!」
「なんだそれは、どうしたんだ?」
「あの聖女様!魔法全属性使えるの!」
「・・・は?何言ってんだ?」
 ハイアが呟くが、テジーの真剣な眼差し、そして横でトルレーとフィサニーが頷くのを見て麗奈の方を見る。

「嘘だろ?」
「ほんとだよ~♪」
 千春は笑いながら答える。

「まさか、聖女様全員が全属性使えるのですか!?」
 ハイアが問いかけると、千春は首を横に振る。

「使えるのはレナだけだよ。」
「すごい・・・」
 魔法使いであるテジーは尊敬の眼差しで麗奈を見る、それを知らない麗奈はてくてくと先を歩く。

「さっき使っていた『アイテムボックス』も使えるのですか?」
 テジーが言うと、千春はまた首を横に振る。

「んにゃ、アレ使えるのは私とサフィーだよ。」
 千春は横を歩くサフィーナを見る。

「私は使えますか!」
「無理だよ♪」
「なぜ!?」
 テジーの問いかけに即答する千春は視線を落とす。

「でかいもん。」
「は?」
 千春の視線を追う、完全に自分の胸を見ている、そしてテジーは千春とサフィーナを見て『でかいもん』の意味を知る。

「え?」
 意味がわかっていても疑問しか出てこない、使える魔法が身体的な理由なんてありえないからだ。

「4人とも無理だね~。」
 千春は真顔で答えると、赤き熱風のテジー、トルレー、ハミリア、そして聖槍騎士団フィサニーは自分の胸に手を当てる。

「チハル、2に着いたってー。」
 麗奈が声を掛ける、イシリスとボルダーが森を指差しながらエーデルとホーキンに説明をしていた。

「はいよー、それじゃ2-5はもうすぐかな?」
 千春はテジーに言うと、テジーは頷いた。

「はい、今イシリスが指を差している方へ少し歩くと看板があり、その奥になります。」
「やっとかぁ。」
「聖女様。」
 千春が嬉しそうに呟くと、トルレーが千春に問いかける。

「はい?」
「コロルールの種をどうなされるのですか?聖女のお祈りとか、神事に使われたり?」
 物々しい軍団を引き連れ、国宝を越え神具ともいえる杖を使い、女神すら呼び出す聖女達、きっと物凄い事をと思っているトルレーは、真剣な眼差しで千春を見る。

「んーん、種がね、ゼロカロリー甘味料なんだよね♪」
 千春は嬉しそうに言うと、女性4人の言葉がハモった。

「「「「え?」」」」
 4人は聞きなおそうか、聞き間違いか、言葉が出ない、何を言っているのかこの聖女はと言う目で千春を見る。

「千春いくよー♪」
「はいはーい!行こう♪」
 頼子の言葉に千春が頷き、呆けた4人に声を掛ける、4人は頷き足を進めた。






◆◇あとがきてきななにか!◇◆
明日は休載です、再校正が届くので!!!
3回に分けて届きますが、休日挟むので休載は明日だけの予定でーす!

よろぴこ♪




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