異世界日帰りごはん 料理で王国の胃袋を掴みます!

ちっき

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連載

聖女の一声!

「ハルト~、呼んで良い?」
「そうだな、一度対応した方が良いかもしれないな。」
 千春はスマホを持ちエンハルトに問いかけると、エンハルトが答えた、そして千春はスマホを触り、通話を始めた。

『もっし~♪』
「レナ、今いい?」
『いいよ~ん、どうしたの?フランちゃんの所でしょ?』
「うん、今さ、冒険者さんが盗賊に怪我させられてたの、回復したけど。」
 千春は通話しながら冒険者の3人を見る、3人は何故か千春の横で土下座状態だった。

『あらら、で?なにか用事?』
「うん、今日ホーキンさんと一緒だよね。」
『いっしょだよ~♪ミオとエーデルさんもいるよ♪』
「邪魔して悪いね。」
『いいよ、それで?ホーキンさんに用事?』
「ちょっとドラゴン連れてオーレン公爵領来ない?」
『お!殲滅すんの?』
 千春の言葉に麗奈が楽し気に答えると、千春は返事を返す。

「うん、話聞いたら最近オーレン公爵領の街道に盗賊が多いらしいんだわ。」
『公爵様じゃ対応出来ないっぽい?』
「っぽい。」
『おっけー♪ちょっとまってね。』
 麗奈はそう言うと、ホーキン、エーデル、そして美桜と話す。

「どう?来てくれそう?」
 頼子が言うと、千春は首を傾げるが、エンハルトとアリンハンドは苦笑いで答えた。

「聖女が来てくれと言ってるんだ、ホーキンとエーデルが断るわけ無いだろう。」
「デート中に申し訳ないね、お礼しないとだ♪」
『チハルー。』
「ほいほーい。」
『竜騎士団も連れて行く?』
「流石にそれは多すぎじゃない?暇してるドラゴンだけで良いよ。」
『おっけー、それじゃドラゴンに声かけて向かうわ♪』
「さんくす~♪今日泊りだからご馳走準備するね~♪」
『ひゃっほう♪ミオ~♪』
 スマホの向こうで喜ぶ麗奈、そして通話が切れた。

「すぐ来るって♪」
 千春はエンハルトに言う、そして会話を聞いていた冒険者ギルドのロスロと、サブマスのテルフィ、漆黒の盟約の3人は千春を見つめていた、視線を感じた千春は5人に微笑む。

「それじゃ、まとめて片付けてきますね♪」
 軽く言う千春と、頷く頼子。

「エンハルト王子殿下・・・ドラゴンを・・・呼ぶと聞こえましたが。」
 ロスロがおそるおそる問いかけると、エンハルトが頷く。

「言ったな、騎士団を動かすと色々準備がいる、だがドラゴンはチハルの指示で動かせるからな。」
 王国騎士団を動かす為には、手続きが必要になる、勿論、千春の願いとあれば、国王であるエイダンもすぐに印を押す、だがドラゴンを動かすのに手続きはいらなかった。

「それに、彼らの怪我を見たが、盗賊の方も手練れが多いようだ。」
 エンハルトは漆黒の盟約3人を見る、熟練冒険者に見える彼らが手負いになる、それだけ盗賊も強い、街道ではなく隠れている盗賊を探すのも苦労するだろうと。

「それじゃ一回屋敷にもどりましょー♪」
 千春はフランシスに言う、彼女も頷き立ち上がる、すると冒険者の3人が声を掛けた。

「聖女様!ありがとうございました!」
「お礼はいかほどに。」
「俺たちも盗賊退治を手伝います!」
 3人は千春に言うが、千春は笑いながら答えた。

「怪我治したばっかりですから安静にしてくださいね、お金はいらないですよ♪」
 千春はそう言うと、ヒンターを見る、ヒンターも頷いていた。

「しかし・・・」
 冒険者は申し訳なさそうに呟くと、頼子が言う。

「元気になったら教会にお気持ちでお布施してください♪」
 頼子の言葉に千春も頷く、そして皆はロスロとテルフィに声をかけ、冒険者ギルドを後にした。


------------------------


「オヤジ。」
「どうした。」
「アーリーとホリバーはもうダメだ。」
「ちっ・・・あの冒険者、思った以上だったな。」
 盗賊の頭が呟く、そして部下が走って来ると、2人の死亡と伝える。

「死んだものはしょうがねぇ。」
 淡々と呟く頭、部下は頷く。

「オヤジ、場所を変えた方がいいんじゃないっすか?」
「どこに行くってんだ、ジブラロールに近付けば仕事は出来ない、あの蜂や妖精、ドラゴンまでが飛んできやがる、だから俺たちはここまで来た、これ以上遠くとなれば奪った荷物を捌く事ができねぇ。」
 盗賊の奪った荷物はオーレン公爵領の犯罪ギルドに売っていた、ジブラロールでの取引は出来なくなり、盗賊稼業も出来ない、そして盗賊団はオーレン公爵領に近い街道がターゲットになっていた。

「もう少し南に・・・」
「あっちには別の奴がいる、俺たちのシマはここだけだ。」
 苦虫を噛み潰したような顔で呟く頭、すると街道を見張っていた男が走って来た。

「オヤジ!!!」
「お、客が来たか?」
「違います!!!」
「は?もしかして領都軍か!?」
「いえ!違いますっ!!!」
「ちっ、それじゃあ何だ!!!」
 イラっとした頭が怒鳴る、だが、男は怯まず答えた。

「ドラゴンが!!!」
 男が叫ぶ、その声に盗賊たちは一瞬で恐怖に襲われる。

「オヤジ!!!」
 部下が叫ぶ、頭は目を泳がせながら沈黙する、頭の中で思考が巡る、だが結論は全て『逃げる』だった。

「に・・・にげ。」
 そこまで呟くと、部下を見る、ドラゴンと言ったが、ジブラロールから遠いこのオーレン公爵領に竜騎士団は居ない、野良のドラゴンであれば素通りするだろう。

「そのドラゴンは何処から来た。」
「領都の方からです!」
 男の言葉を聞き、頭は思考を巡らす、領都から来る、だが、たまたま方向が領都だけなのかもしれない、ドラゴンが一匹通るだけだ、そうだ、このまま隠れていれば見つかる事もない、そう考えた頭が答えた。

「ドラゴンがたまたま飛んで来ただけ・・・一匹くらい飛ぶ事も・・・まだ、やりようが・・・」
「いえ!一匹じゃないっす!!!黄金のドラゴンと蒼いドラゴンを先頭に十数のドラゴンがっ!!!」
 男の言葉に頭は思考が真っ白になる、そして1つだけ確実な事がある、黄金のドラゴン、そして蒼いドラゴンはジブラロールの守護ドラゴンだ。

「逃げるぞ!!!」
 頭は近くにあった剣と荷物を担ぎ上げると森の中を走り始めた、そして遠くから聞こえるドラゴンの咆哮、絶望と恐怖を同時に味わいながら・・・







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