異世界日帰りごはん 料理で王国の胃袋を掴みます!

ちっき

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連載

繋がる心!

「ただいま!ハルト!」
 千春はロイロからぴょんと飛び降り、庭でドラゴンの帰りを待っていたハルトに声を掛ける。

「怪我はしてないか?」
「もっちろん♪加護あるからね♪」
 エンハルトは微笑み頷く、怪我の心配は元からしていない、問題は人を殺めるミッションを千春が耐えられるか、その心配をしていた、だが、エンハルトの思いとは裏腹に千春は笑顔で帰って来た。

「その女性たちは。」
「うん、盗賊に捕まってた人。」
「ありがとうチハル。」
 お礼を言うエンハルトに千春はニパッと笑みを返す、ルプから降りて来た女性がエンハルトに頭を下げた。

「エンハルト王子殿下、お目にかかれて光栄でございます、公都で夫と店を営んでおりますイリルと申します、盗賊に囚われ・・・命をあきらめかけていた所でございました。」
 イリルはボロボロになったドレスで礼をする。

「助かったのは3人か、他の者は。」
「御者はその場で・・・護衛の行方はわかりません。」
「そうか、店の方へ連絡を入れよう、一度屋敷で着替えるといい。」
「よろしいのですか?」
 イリルが言うと、エンハルトはチラッと千春の方を見る、千春はニコニコと笑みを浮かべコクコクと頷いていた。

「もちろんだ。」
 エンハルトは微笑みすぐに公爵家の執事へ指示をする、執事は3人を連れ屋敷に入って行った、入れ違いに屋敷からフランシスが飛び出して来た。

「チハルさん!」
「やほ~♪フランちゃん♪」
「やほーじゃありません!お怪我は無いですか!?」
「ないない!大丈夫だよ!」
 両肩をがっしりと掴まれ、体を見渡すフランシス、千春は困り顔で答える。

「チハルおねーちゃーん!」
 ユラがシャテルと一緒に屋敷から出て来る。

「ただいま~♪ユラいい子にしてた~?」
「うん!」
 ニパッと笑い答えるユラ、シャテルも楽しそうだ。

「それじゃ、セベラムさんに報告しないとだ。」
 千春はドラゴンに鷲掴みされたままの盗賊に視線を動かす。

「捕まえて来たのか。」
「うん、生き残り。」
 千春は盗賊を見つめ、手をギュッと握りしめる。

「・・・そうか、フランシス。」
「はい。」
「聖女たちを中に。」
 エンハルトが言うと、フランシスは微笑み頷く、だが、その笑みの奥には隠しきれない安堵と心配が滲んでいた、そして千春、頼子、美桜、麗奈を連れ屋敷に入っていく。

「・・・チハルが連れて来たという事は、聖女の恩情で極刑は出来ない。」
 ドラゴンに掴まれた盗賊たちを見ながら話すエンハルト、そしてオーレン公爵家の騎士を呼ぶ。

「ルワルツ。」
「はっ!」
「連れていけ。」
「はっ!」
 ドラゴンたちは盗賊たちを地面に落とす、諦め顔の盗賊たちはエンハルトを見つめる。

「投降して捕まってくれてよかった、全滅させずに済んで、チハルの心の負担が軽くて助かる。」
 エンハルトはそう呟き、風に言葉を預けるように視線を庭の先へと移した。
 盗賊たちに礼を言っているかのようでもあり、ただの独り言のようにも聞こえた。
 そのまま静かに背を向け、屋敷の方へと歩き出した。


------------------------


「あらあらあら!イリル!」
 オーレン公爵夫人、ベニファは、ボロボロになったイリルを見て思わず駆け寄る。

「ベニファ様!」
「どうしたの!?」
「聖女様方に助けて頂きました。」
「もしかして盗賊に?」
「はい。」
 ベニファはイリルの手を握る。

「いつ捕まったの?」
「二日前・・・王都からの帰りに捕まり・・・」
「リアクルからそんな話はまだ来てないわ・・・まだ知らないのかしら。」
「はい、予定よりも早くオーレン公爵領へ戻ってきておりましたので・・・」
「そう、すぐに連絡を入れるわ、貴女は体を綺麗にしてらっしゃい、貴女たちも一緒に。」
 ベニファはメイドの2人にも声を掛ける、そして侍女たちへ指示をすると、3人と別れ、セベラムの所へ向かう。

「あなた様、今よろしくて?」
 ベニファがセベラムに話しかける、横にはエンハルトとアリンハンドが立っている。

「ああ、わかっている、リアクル商店には今早馬で連絡を入れた。」
「ありがとうございます。」
 ホッとした顔で答えるベニファ、エンハルトはそれを見て問いかけた。

「知り合いでしたか。」
「ええ、リアクル商店は私のドレスを仕立ててもらっていますの。」
 ベニファは微笑み答えると、エンハルトも微笑み返す。

「無事に戻れて良かったです。」
「聖女様にはなんとお礼を言えばよろしいのか・・・」
「一言『ありがとう』で構いませんよ、聖女はそれですべてを受け入れますから。」
「はい、是非にお礼を言わせて頂きますわ、聖女様は今どちらへ?」
「部屋で寛いでいるかと。」
 エンハルトが言うと、ベニファは頭を下げ部屋を出て行った。

「なんと言う幸運か。」
 セベラムは淡々と呟く、だが目元は嬉しそうだ。

「本当に・・・」
「ベニファとイリルは長い付き合いだ、オーレン家に入る前から仲が良い、もしイリルが死んでいたら・・・ベニファは立ち直れなかったかもしれない。」
 呟くセベラムはホッとしたのかソファーに座る。

「これからの事もありますが、まずは今を整理しましょう。」
 エンハルトが言うと、アリンハンドも頷く、そして視線を上げたセベラムは真剣な顔で頷いた。


------------------------


「果物だー!」
「おやつだー!」
「ひゃっほー!」
「うわーい!」
「じゅんばんだよー!」
「ぼくもー!」
 庭に広げられたテーブルに、次々とお菓子を広げる聖女たち。

「ドラゴンさんたちは料理とお酒準備するからねー♪」
 千春はおとなしく妖精達を見ているドラゴンに話しかける。

「あら、たいしたことしてないわよ?」
 ママドラはドラゴニュートの姿で答える、その横には同じくドラゴニュートの姿のパパドラが頷いていた。

「いいのいいの♪受け取ってもらえないと次お願いしにくいじゃん?」
 楽し気に話す千春に2人も笑みで返す、その姿をペットたちは部屋からのんびりと見ていた。

「思ったより元気だな。」
 ルプが呟くと、ロイロも頷き答える。

「ルプたちが捕まった者たちを連れて帰って来たのが大きいのう。」
「やっぱりそうか?」
「そうじゃろ、ただの討伐ではなく、人命救助が出来たのは大きいじゃろ。」
「そうだな、討伐しただけではただの殺戮だからな。」
「ヨリの心も安定しとるばい。」
 頼子と魂で繋がっているビェリーも安心した声で答える、ルプとロイロもそれを聞き頷いていた。

「僕もミオさんと契約したいです。」
「コンは神の御使いだろ。」
「そうばい、宇迦之御魂様が許さんやろ?」
「でも、羨ましいです。」
 千春と魂が繋がるロイロとルプ、頼子と繋がるビェリー、コンは少し寂しそうに呟いた。

「心配するな、コンも十分繋がってるだろ。」
 ルプはニヤっと笑い庭を見る、視線の先にはこちらへ向かって来る美桜と麗奈がいた。

「コンちゃーん!お疲れ様!」
「ミオさん!?」
 子狐姿のコンを抱き締める美桜。

「コンちゃん頑張ったんでしょ~♪」
 美桜はわしわしとコンをなでくりまわす。

「は、はい!がんばりました!」
「おう、ミオ、コン凄かったぞ。」
「一番頑張っとったばい♪」
「えらいねぇ♪」
 美桜はコンをギュッと抱き締める、コンは美桜のぬくもりを感じながら答えた。

「はい!がんばりました!」
 コンと美桜の2人を見つめるペットたち、十分繋がってるじゃねぇかと思わず呟くルプだった。







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