異世界日帰りごはん 料理で王国の胃袋を掴みます!

ちっき

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土地神!

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「あけましておめでとうございます。」
「あけましておめでとう。」
「なんじゃ?」
「年が変わった時の挨拶だよ。」
「初日の出が出て言うってのも有るけどね。」
 そう言って話をしていると千春のスマホから通知オンが連続で鳴り出す。

「うぁぁぁ!」
「なんじゃなんじゃ?」
「あけおメールだよ!」
 スマホを握りスタンプを押しまくる千春。

「忙しいのう。」
「毎年恒例だからね。」
 大樹は年が変わった時の恒例行事を微笑みながら熱燗を呑む。

「千春は初詣行くんだろ?」
「んー、行くつもりー。」
 スマホをポチポチしながら返事をする。

「近くの神社かい?」
「うん。」
 スマホを置き、「はぁ」とため息を吐く。

「明日行くと混むだろ、今から行くかい?」
「そだねー、お父さん酔ってない?」
「大丈夫だよ、神社まで歩くくらい問題無いさ、酔い覚ましに丁度良い。」
「儂もこっちの神に挨拶しとくかの。」
 3人は着替えてから近くの神社へ向かう、小さな神社だが、近所の人たちが集う神社だ。

「またお父さん社務所で呑むの?」
「一応縁起物だからね、でもこの時間なら社殿で町内会の人が飲んでるんじゃ無いかな?」
 テクテクと歩きながら鳥居の前に着くと、ちらほらと近所の人が出入りしていた。

 千春と大樹は鳥居の前でペコリと頭を下げ、中に入る、手水舎で手を洗い神前まで行くと、中で町内会の人が酒盛りをしていた。

「おぉ藤井さん!一杯どうぞ!」
「頂きます。」
 早速大樹は捕まった。

「楽しげじゃのう。」
「毎年だよ、良いのかな中で飲んで。」
「毎年やっとるなら良いじゃろ、ダメなら罰でも食らっとろう。」
「そりゃそうだね。」
 そう言ってお賽銭を入れ二礼、二回手を叩き、今年もお父さんが健康であります様にとお願いする、そして礼をしその場を動く。

「はぁ、何も無かった、良かったー。」
 そう思った時声がした。

『なんだ、何処ぞの巫女かと思えば近所娘じゃ無いか、千春だったか?』
「あぁぁ・・・・居たかー。」
「ほぅ?お主がここの神とやらか?」
『む?お前人間じゃ無いな……な!龍神か!』
「えーっと、ここの神様?」
『神とは畏れ多いな、ただの土地神だ、この地域の厄災を抑えるだけだ。』
 少し人の少ない所に移動し土地神と言う者に声をかける。

「見えないんだけど何処に居るの?」
『姿は消してるからな、見られると恐れられるんだ、そうだな、社務所に入れ今は誰も居ない。』
 社務所には千春も入った事がある、大樹が良く連れて行かれるからだ。

「お邪魔しまーす。」
 スライドの玄関を開け中に入る。

『では姿を出すが驚くなよ。』
 そう言うと目の前に大きな犬が現れる。

「でっかい犬!」
『狼だ!!!!』
「似たようなもんじゃん。」
『違うわ!土地神に対して失礼な奴だな。』
「チハルは儂にもそんな感じじゃなぁ。」
 土地神とロイロは何故か共感しながら呆れた声を出す。

『さて、色々聞きたいんだが、千春は何故巫女でも無いのに依り代の力をもっているんだ?』
「依り代の力?コレは神託スキルだよ。」
『へぇ、何処で覚えたんだ?』
「異世界。」
『・・・意味が分からんな、それで?何故龍神と一緒にいるんだ?』
「ロイロって龍神なの?」
「違うぞ、存在自体は管理者と同じような物だが、ただのドラゴンだ。」
『なっ!管理者だと!神と同じでは無いか!』
「まぁそうらしいよ、土地神様は違うの?」
『あぁ俺は居心地が良かったからココに住んでいたらいつの間にか祀られてた、まぁ行く所も無かったから別に良いんだけどな。』
「ところでなんで私の名前知ってんの?」
『印象深い人間は覚えてるな、毎年来るだろ?』
「ここら辺の人って皆来てんじゃない?」
『あぁ、まぁそうだが、お前が小さな頃必死で俺に願い事をしてたろ、毎日毎日。』
「あっ・・・・そっか・・・・」
『すまん、俺に人の願いを叶える権限は無かった、厄災を押さえる程度の力しか無くてな、お前の願いを叶えれなかった、まぁ神でも1人の人間の願いを叶える事は出来ないが。』
「謝らないで、しょうがないよ、おかぁさんは・・・。」
 泣きそうになるが上を向いて必死で堪える千春。

『んっ、まぁ話は変わるが、異世界って何だ?そこの龍神・・ロイロと言ったか、俺より格が上じゃないか、お前も異世界から来たのか。』
「そうじゃ、チハルの家に異世界の扉が開いておる、そこから出入りしておるんじゃ。」
『何だと?問題じゃねぇか。』
「大丈夫じゃ、儂でもチハルが居なければ通れぬ、厄災とやらは来ぬよ。」
『こっちから行くかもしれんぞ?』
「え?こっちに厄災っての居るの?」
 気を取り直した千春が驚く。

『この付近には居ない、俺が目を光らせてるからな。』
「おー凄いな狼さん。」
「儂もこっちでは魔法を使えぬ、結界も張れぬからのぅ。」
『俺が張る、何か有ったら困るからな。』
「ココから動けるの?」
『あぁ、別にこの神社に縛られてる訳じゃないから問題ねーよ。』
「それじゃお願いしようかな。」
『それじゃ連れて行け。』
「ちょっとまって、皆のお願い事聞かなくて良いの?」
『さっきも言ったろう、俺に願いは叶える権限は無い。』
「マジかー、お父さんの健康お願いしたのになー。」
『意味が無い訳じゃねーぞ、そもそもお前も高校受験の時も来ただろ?』
「合格祈願ね、来たよ、合格しましたありがとうございます。」
『それだよ、お願いしたから受かったんじゃないだろ、お前が頑張ったから受かったんだ、お願いして受かると思う事がおかしいだろう?』
「あ・・・・うん。」
『お願いして頑張るやつは願いが叶う、叶わなかったと言って神様に文句言うやつも居ねえ、結局自分がどれだけ努力したか、その結果は神のおかげじゃねぇ、自分の努力の結晶って奴だ。』
「そっか、うん、お父さんの健康は小言の様に言い続けよう。」
『それがいい、それじゃお前の家に行くぞ。』
「待ってお父さん連れて来るよ。」
 千春は社殿に行き大樹を連れて戻って来る。

「それじゃ帰ろう。」
「そうじゃの、寒いわ。」
「お願い出来た?」
「・・・うん、出来たけど、まぁいいや。」
 3人はまたテクテクと歩きながら家に帰る。

「千春、神様とお話出来た?」
「出来たよ、ついでに今付いてきてるよ。」
「はぁ?!今!?」
「うん、狼君だったよ、付いてきてるー?」
『あぁ居るぞー。』
「うおっ!聞こえた!お父さんにも聞こえるのか!」
『聞こえる様に喋ったからな、千春だけに話す事も出来るけどな。』
 そして家に帰り着き、土地神に門を見せる。

『お~お~、また厄介なもん拵えやがって。』
 そう言うと部屋の四方に印が現れ壁にへばり付く、そしてスッと印は消えた。

「何今の、魔法?」
『いや、呪術だが、まぁ魔法と言われれば魔法だな。』
「魔力は使わぬのだな。」
『あー、それも知ってんのか、地球では無理だ、ただ似たような物が有ってな気って分かるか?』
「いや、分からんな。」
『まぁ魔力の代わりになる物はあんだよ、地脈から湧き出る力ってわかんねーか、まぁ人間には使えねぇが、それを俺達は使えるってわけだ。』
「ほー、面白いのぅ。」
「それで?今のが呪術で結界張ったの?」
『あぁ外からその手の類が気付かない様にした、ついでに入れねぇ様にしたからもう大丈夫だ。』
「おー、ありがとう!安心安全だー。」
『千春、俺もそっちに興味がある、連れて行ってくれるか?』
「いいよ~♪」
 千春はクローゼットを開け狼の首元を触り連れて行く。

『ほぉ~すごいな、気じゃないコレが魔力か~。』
「わかんの?」
『あぁ、使い方を知らないヤツがこっちに来ても大した事は出来ないだろうけどな。』
「狼君は出来るの?」
『何となく分かるな、遠い昔に感じた事は有るな。』
「へぇ、ロイロと同じ転生したのかな?」
『龍神は転生出来るのか、俺は記憶に無いからなぁ。』
「神様に聞いてみる?」
『は?あぁそう言えば千春は交信出来るのか。』
「そそ、ちょっとまってね。」
 軽く手を握り祈る格好で声を掛ける。

(アイトネー起きてるー?)
((あら?どうしたの?・・・・はぁ?!なんでチハルの横にフェンリル居るのよ!!!))
(はぁ?何?フェンリルって。)
 何だ?と思っていると目の前にアイトネが現れる。

『どうしたのチハル!この子どっから連れて・・・地球か!』
『ほー、こっちの神か、俺は向こうで土地神をしていた者だ、千春の家に変なのが来ない様に結界を掛けたついでにちょっと連れて来てもらった。』
『あなた、あっちで生まれる前の記憶は?』
『無いな、ただこの魔力って奴は何となく覚えが有るんだよな~。』
『そう、あなたフェンリルと言って何処かの管理者の眷属だったはずよ、何かしらの事で魂が地球に流れ着いたのね。』
『へぇ、まぁ知らんな。』
 2人の会話を聞いていた千春は取りあえず話しかける。

「何で日本語の狼君とアイトネが話出来んの?」
『チハルの記憶見て覚えたわよ。』
「すご!女神すごっ!・・・・で?フェンリルだとどうなるの?」
『ロイロと同じように聖獣なのよ、ロイロと違って転生に記憶を留めれないタイプの種族みたいだけどね。』
「へぇ、こっちにフェンリル居ないの?」
『人間がフェンリルって言ってる狼は居るわ、狼系の最上位の魔物よ。』
「このフェンリルは?」
『聖獣の方、この世界には居ないわよ、人間が言うフェンリルと格が違うもの。』
「ひぇー、それでどうするの?」
『どうもしないわ、彼の主人が分からない以上彼は自由ですもの。』
「だってさ、どうせ日本で土地神するんでしょ?」
『いや、別に居る必要は無いんだけどな?』
「は?あの神社に神様居なくなるじゃん。」
『あそこな、隣町の土地神が居候してんだ神社合祀(じんじゃごうし)ってやつな、そいつに任せても良いんだよ、喜ぶだろあいつも』
「マジか、アイトネ狼君こっちに来ても良いの?」
『んー・・・・良いんだけど、ちょっと力強すぎるのよねぇ。』
「強いんだ狼君、名前あんの?」
『無いぞ?』
「ふみゅ、狼君じゃ何かアレだなー。」
 千春はスマホで【狼 外国語】で検索する。

「お、ルーマニア語カッコイイな、ルプだってさ、ルプにしよう。」
『ほう?良い名だな。』
『あっ。』
 アイトネが声を掛けると同時に、フワリと2人を光が包む。

「チハルよ、お前学習能力無いのか?」
 門の向こうからロイロが呆れたように声を掛ける。

「はぁ?お願い事聞いてないじゃん!」
「そっちに連れて行ってくれって言うのは願いじゃろう。」
「・・・・あ。」
「・・・・なんだ?コレは。」
『はぁ、契約して魂の共有までしちゃってるじゃない。』
「えー!んじゃ私死んだらルプも死ぬじゃん!」
「な!?そうなのか!?」
「そうらしいよ・・・ごめんルプ。」
「ま、いんじゃねぇか?あの神社でやる事も無く居ただけだからな。」
『しょうがないわねぇ、ルプの魂は死んだら私が預かるわ、その後は私の眷属になりなさい。』
「良いのか?女神さん。」
『アイトネよ、貴方の様な強い魂をほったらかしに出来ないもの、チハルと一緒なら何か有ったら私が分かるし、チハルの言う事ちゃんと聞きなさいよ?』
「わかった、千春よろしく頼む。」
「むふーっ犬飼ってみたかったんだー。」
「犬じゃねえ!」
「おて!」
 つい千春の手に前足を乗せる。

「ルプ、よろしくね!」
「チッ・・・・あー、ヨロシクな・・・」




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