異世界日帰りごはん 料理で王国の胃袋を掴みます!

ちっき

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連載

村の用事は終わったぞー!

「エニアおねえちゃんヤキオニギリ美味しい!」
「本当、美味しいわ。」
 2人は焼きおにぎりを食べながら嬉しそうだ。

「チハル王女殿下がお作りになったのですよ。」
 村長の奥さんドーリンが答える。

「え?王女殿下!?」
「おうじょさま?」
「其方にいらっしゃるお方はエンハルト王子殿下で御座いますよ。」
 笑みを浮かべドーリンが答える。

「し!失礼致しました!!」
「あははは、気にしないで、普通に話して貰って良いよ、っていうか普通に話して。」
「構わないぞ、王城で無ければ俺の事もハルトで構わない。」
「流石にそれは!」
「チハルさま、おうじょさまなの?」
「そだよー、王女様だよー。」
 おにぎりを持って問いかけて来るイヤンを撫でながら話す。

「さて、チハルどうする?」
「ん?病人も居なくなったし今後の対策も出来たし、帰ろうか。」
「ハルトさん他に米作ったりお酒作ってる村とか町無いの?」
 ふと頼子がエンハルトに問いかけると、アリンハンドが答える。

「有りますね。」
「そう言えばあと2つほどの村でも作ってたな。」
「はい、この付近は水源も豊ですので作らせていますね。」
「そこって同じような病気は発生してないの?」
「分かりません、今の所報告は来ていませんね。」
「この村の報告って誰がしたの?」
 頼子が聞くとドーリンが話す。

「村長が若者までが同じ病になった事に危惧し、王都へ連絡しました。」
「確認した方がよくない?」
「そうですね、私が行って来ましょう、ハルト竜騎士団をお借りしても?」
「構わないぞ、俺達は王都に戻ろう。」
「はい、アリン、お薬渡しておくね。」
 千春はアイテムボックスから薬を取り出しアリンハンドに渡す。

「アリンさんそれ私が持つよ。」
「え?ヨリさんも行くんですか?」
「良いよね千春。」
「うん、アリンも居るしビェリーと竜騎士団も行くんでしょ?問題無いっしょ。」
「さんきゅー。」
 頼子はアリンハンドを見るとニコッと笑う。

「ハルト、エニアさんとイヤンも一緒に連れて帰って良いよね。」
「あぁ勿論、今後の事もあるからな、ほおっておくつもりは無いんだろ?」
「その選択肢は無いね。」
『チハル、王都なら送るわよ?』
「良いの?」
『今日も美味しい物一杯貰ったもの♪』
「たすかるー、アリン、竜騎士団とドラゴン全員連れて行って良いよ。」
「・・・いえ、様子を見て必要であれば治療するだけですから。」
「まぁまぁ、備えあって憂いなしって言うじゃん。」
「言いませんが意味は分かります、そうですねヨリさんも居ますし護衛は多い方が良いでしょうね。」
 アリンハンドはそう言うと頷く、帰る雰囲気を察したドーリンはアエネ達に声を掛け何か準備を始めた、そしてアエネ達は沢山の酒を手に戻って来る。

「チハル、これ持って帰って頂戴な。」
「これは?」
「この村で作った酒だよ。」
「「「おー!!!!」」」
 酒と聞いて喜ぶロイロ達。

「ルプ達もエニアさん達助けてくれたしルプ達の御褒美だねー♪」
「ルプ!ロイロ!わっちの分飲んだら怒るばい!」
「あぁ、戻ってくるまで飲まねえよ。」
「心配するでない、こんな時間からチハルが飲ませてくれるわけなかろう。」
 千春はルプ達の話をクスクスと笑いながら聞きつつお酒をアイテムボックスに入れる。

「それじゃヨリ、そっちヨロシク♪」
「うん、終わったらすぐ帰るよ。」
『ヨリ、終わったら私呼んで良いわよ~♪』
「ありがたー!それじゃアリンさん行こう!ちゃちゃーっと終わらせよ♪」
 皆は表に出ると、ヨリ達はドラゴンに乗り飛び立つ、残った千春とエンハルト、エニアとイヤンは手を振り送る。

『それじゃ王城で良いわよね?』
「うん、お願い。」
「女神様、エンハルト王子殿下、チハル王女殿下有難うございました。」
「チハル、いつでもこの村に遊びに来て頂戴ね。」
「はい!お煎餅食べに来ますね!」
 お礼を言うドーリンとアエネに手を振る千春、アイトネは笑みを返す。

『それじゃ行くわよー♪』
 いつものように軽く手を振ると景色が一瞬で変わる、サフィーナ達は部屋に入りいつもの様に仕事を始める。

「すごい・・・。」
 初めての転移に驚き戸惑うエニア。

「チハルおねえちゃん!」
「ユラ、ただいまー、煎餅たべる?」
「せんべい?たべるー!」
 良く分からず食べると即答するユラに千春は煎餅を渡す、ユラの後ろからマルグリットが声を掛けて来る。

「チハルお疲れ様、村はどうだった?」
「やっぱり脚気でしたね、食育が必要かもしれません。」
「しょくいく?」
「はい、食の勉強ですね、何を食べたら体に良いとか、必要な栄養素、食べ過ぎたらダメな物とかの勉強ですね。」
「・・・チハルはそれを人に教える事が出来る?」
「はい、日本じゃ普通に本も有りますし、分からなければすぐ調べれますから。」
「チハル1人じゃ大変ね・・・人に教える事が出来る人材を育てる所からかしら。」
 マルグリットは顎に手を当て考え始める。

「メグ様お茶をどうぞ。」
 サフィーナは立ったまま話す2人に声を掛け、ソファーに促す。

「有難うサフィーナ。」
「教える事が出来る人材ですか?」
「えぇ、今回の件は王国に原因が有るわ、チハルのお陰で美味しい食事が王国全土に広がってる、良い事だと思っていたけれど、それが原因で病気が増えるのは許せないわ。」
「そうですね、ハンバーガーやポテトばかり食べてる人が居るって聞きましたし。」
「そうね、でもそれが原因でチハルが悲しむ姿を見たくないのよ。」
「私ですか?」
「えぇ、村に行くときチハルは自分が原因だと言って飛んで行ったでしょう?」
「・・・はい。」
「チハルが原因とは思ってもらいたくないの、だから王国として動かせてもらいたいのよ。」
 マルグリットは横に座り話を聞く千春の頭を撫でる。

「チハルおねえちゃんこの子だぁれ?」
 煎餅を齧りながらユラはイヤンを見る。

「あ!ゴメン2人とも!」
「いえ!大丈夫です!」
 エニアは手をブンブン振りながら答える。

「この子達は?」
 マルグリットに聞かれ千春とエンハルトは事情を話す、そしてマルグリットはクスクス笑う。

「チハルらしいわねぇ、それで?チハルが面倒を見るの?」
「へ?」
「身寄りも何も無いのでしょう?王都は他の所よりも他種族が多いし治安も他に比べれば良いわ、でも流石に2人が生活するには厳しいわよ。」
「あー・・・うー・・・そう言われればそうですね。」
「侍女を増やす?」
「いやぁ、これ以上増やすと・・・ねぇ。」
 千春はサリナを見ると苦笑いしている。

「チハルさんの所でお仕事してもらうのはどうです?」
 モリアンが手を上げて言う。

「私の所?何処?」
「スイーツ屋さんとか温泉旅館です。」
「え?スイーツ屋って私のじゃないよ?」
『チハル、あそこはチハルのお店よ?』
「へ?」
「アイさんの言う通りよ、あそこはチハルのお店としてオープンしたもの。」
「初耳でーす!!!!」
「言ってなかったのかしら?」
「確か王宮で出店と言う話だけ・・・だよね?ハルト。」
「確かに俺もそう聞いた気がするな。」
 千春とエンハルトはウンウンと頷く。

「それじゃ2人はチハル預かりの子として登録しておくわね、住民登録しておくから自由にして良いわよ。」
「良いのですか?」
「構わないわ、チハルそれで良い?」
「はい!」
「アルベル、進めておいて頂戴。」
「はい、了解しました。」
「この子は流石に働けないわね。」
「イヤンもはたらきます!」
「フフッ、そう?がんばってね。」
 エニアとイヤンは顔を合わせると微笑む、王都で新しく始まる生活に不安と期待を持ちながら。





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