異世界日帰りごはん 料理で王国の胃袋を掴みます!

ちっき

文字の大きさ
489 / 1,137
連載

デミオーガ御一行温泉旅館へ!

しおりを挟む
「入ってくれ。」
 エーデルはホーキンの開けた扉を見ながらクラータに声を掛ける、クラータは軽くお辞儀をすると部屋へ入る、男達も後ろから大人しく付いて行く、後ろからついて来ていたルプとロイロも部屋に入る。

「そこに座ってくれ。」
 クラータは無言で指示に従う、大将のセルロはクラータの後ろに立つと、他の男達も後ろに立つ。

「座ってもらって良いのだが。」
「いや、俺達はココで良い。」
 セルロはそう言うと直立で後ろに立つ。

「さて、単刀直入に言うと、デミオーガの気質から行って面倒事が起きると思っている。」
「・・・理由は?」
「まず俺も言ったが、デミオーガと目が合っただけで喧嘩を売られた。」
「・・・。」
「そして王妃殿下も以前、冒険者時代にデミオーガとやり合ったらしい。」
「らしい?」
「あぁ、詳しくは聞いていない、そちらの長は何か言って無かったか?」
 エーデルはそう言うとクラータを見る。

「・・・死ぬ寸前まで痛めつけられたと。」
「原因は?」
「聞いておりません。」
「ふむ。」
 エーデルは話をしながら男達を見るが、興奮することも無く後ろで立っている。

「正直に言えば、そこらの冒険者の方が粗暴の悪さが目に付くくらいには問題無い。」
「ではこの国に滞在しても大丈夫でしょうか?」
「もう一つ聞いて良いか?」
「何でしょう。」
「クラータ殿、最初物凄く怯えていたが、何か問題があったか?」
「いえ、人間の冒険者に痛めつけられた長の話を思い出しただけです。」
 チラリとロイロを見るクラータ、目が合ったロイロはニッコリ笑みを返す。

「分った、俺は今から王宮に報告へ行く、お前達はそれまで指示する宿で待機してもらっていいか?」
「はい。」
「姫!」
「黙りなさい。」
「・・・。」
「なに、悪いようにはしない、お前達も寛げる宿だ安心してくれ。」
 エーデルはそう言うとルプを見る。

「あそこか?」
「あぁ、ルプ殿。」
「あそこで暴れたら命無いからなぁ。」
 ルプの呟きに男達がざわつく。

「お前ら何処に俺達を連れて行くつもりだ!」
「命が無いだと!?俺達をどうするつもりだ!」
「姫!騙されてはいけません!」
「・・・。」
 大将のセルロ以外が反論するが、クラータが手を上げると皆が黙る。

「私達の目的は食事と酒を楽しむ事、噂に聞く酒の為なら我慢しなさい。」
 クラータがそう言うと皆は黙った。

「酒かぁ、ルプよ、儂はちょっと用事を思い出したぞ。」
「俺もだ、任せて良いか?」
「あぁ、こいつらとは仲良くなれそうじゃ。」
 カッカッカと笑いロイロはルプから降りると部屋を出て行った。

「エーデル、俺が案内しよう。」
「ルプ殿、ホーキンと第一騎士団が案内しますので。」
「かまわねぇよ、こいつらくらいならオレ1人で問題ないからな。」
 ニヤっと笑うルプ、クラータはその言葉が嘘ではない事が分かり頷く。

「よし、お前ら付いて来い、最高の飯と酒がある所に行くぞ。」
 ルプはそう言うとエーデルに笑いかけデミオーガ達を引き連れ出て行った。


-------------------


「チハル~♪」
「ロイロおかえり~。」
「酒有るか?」
「あるよ?え?今から飲むの?」
 夕方とは言えまだ日もある時間に酒をねだるロイロに千春が問いかける。

「いや、面白い客が来てのぅ、酒が飲みたいらしいんじゃ。」
「ロイロ!わっちも連れて行かんけん!」
 ビェリーがロイロに声をかける。

「ビェリー、お前も来てたのか。」
 千春の横に居る頼子の頭にのったビェリーがピョンと飛び降りる。

「えーっと、お酒何が良いの?」
「色々欲しいのぅ。」
「んじゃ日本酒と焼酎とウィスキーの定番で良いかな。」
 アイテムボックスから取り出す千春、ビェリーは直ぐにそれを影に入れる。

「お客って誰なの?」
「デミオーガって種族だ。」
「オーガ!?デミってなんだっけ。」
 千春が言うと頼子が首を傾げる。

「デミって亜人って意味よ?」
 春恵が後ろから声を掛ける。

「亜人?」
「オーガって魔物だったよね。」
「魔物じゃないオーガって事?」
「そうみたいね、お母さんもこっちの種族に詳しくないから分からないけど。」
「前見たオーガは日本で言う鬼やったけん、デミオーガってのも鬼やろね~。」
 ビェリーが追加で答える。

「鬼かぁ・・・見てみたいなぁ。」
「ん~、結構血の気が多いらしいからのぅ。」
「何処に居るの?」
「今チハルの旅館に向かっておる。」
「温泉旅館かー、おかぁさん温泉旅館あるの知ってる?」
「上から見てたから知ってるわよ。」
「行ってみたくない?」
「大丈夫なの?」
「ロイロとルプ、ビェリーも居るんでしょ?」
「うむ、儂らが相手をする予定じゃな。」
「んじゃ大丈夫じゃん?」
 簡単に言う千春にロイロは苦笑いをする、こう言いだすと千春は止まらない。

「サフィー、デミオーガさん達危ない?」
「危ないですよ。」
「即答!?」
「はい、チハルがデミオーガと会うなんてメグ様が知ったら発狂するレベルです。」
「マ!?」
「マ!?」
 思わず叫ぶ千春と頼子。

「メグ様はデミオーガを嫌っていますから。」
「えー?マジか、それじゃやめとくかぁ、残念だけど。」
「千春、最強の護衛連れて行ったら?」
「・・・ソレダ。」
 千春はさっき頼子と一緒にコンビニで買った生クリームたっぷりロールケーキをテーブルに出す。

「アイトネ~♪」
『はぁ~い♪あなたのアイトネよぉ~♪』
「テンション高いな。」
『暇だから見てたもの。』
「おかぁさんと一緒に温泉旅館行きたいんだけどぉ~、これでお願いしまっす!」
『おっけ~♪』
「で、なんでお母様デミオーガ嫌いなんだろ。」
『聞いてみれば良いじゃない。』
「そだねぇ、別に急いでないし、行くなら報告しないとだし・・・聞いてみよっ♪」
 千春は軽~く言うと立ち上がる。

「儂らは行くからな。」
「ヨリ、いってくるばい!」
「ほーい、いってら~。」
「ビェリー暴れたらダメだからね?」
 千春と頼子が言うとロイロは翼を出し、ビェリーが飛び乗る、そして空へ消えて行った。

「んじゃお母様の所寄って温泉旅館行こー!」
「おー!」
「良いのかしら。」
『良いじゃない、あの宿良いわよ~♪ご飯美味しいし!』
 千春と頼子は手を繋ぎブンブン振りながら廊下を歩く、その後ろから女神2人はのんびり付いて行った。





しおりを挟む
感想 3,742

あなたにおすすめの小説

誰も信じてくれないので、森の獣達と暮らすことにしました。その結果、国が大変なことになっているようですが、私には関係ありません。

木山楽斗
恋愛
エルドー王国の聖女ミレイナは、予知夢で王国が龍に襲われるという事実を知った。 それを国の人々に伝えるものの、誰にも信じられず、それ所か虚言癖と避難されることになってしまう。 誰にも信じてもらえず、罵倒される。 そんな状況に疲弊した彼女は、国から出て行くことを決意した。 実はミレイナはエルドー王国で生まれ育ったという訳ではなかった。 彼女は、精霊の森という森で生まれ育ったのである。 故郷に戻った彼女は、兄弟のような関係の狼シャルピードと再会した。 彼はミレイナを快く受け入れてくれた。 こうして、彼女はシャルピードを含む森の獣達と平和に暮らすようになった。 そんな彼女の元に、ある時知らせが入ってくる。エルドー王国が、予知夢の通りに龍に襲われていると。 しかし、彼女は王国を助けようという気にはならなかった。 むしろ、散々忠告したのに、何も準備をしていなかった王国への失望が、強まるばかりだったのだ。

母は何処? 父はだぁれ?

穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。 産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。 妹も、実妹なのか不明だ。 そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。 父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。 母は、どこへ行ってしまったんだろう! というところからスタートする、 さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。 変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、 家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。 意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。 前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。 もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。 単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。 また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。 「小説家になろう」で連載していたものです。

【完結】私、四女なんですけど…?〜四女ってもう少しお気楽だと思ったのに〜

まりぃべる
恋愛
ルジェナ=カフリークは、上に三人の姉と、弟がいる十六歳の女の子。 ルジェナが小さな頃は、三人の姉に囲まれて好きな事を好きな時に好きなだけ学んでいた。 父ヘルベルト伯爵も母アレンカ伯爵夫人も、そんな好奇心旺盛なルジェナに甘く好きな事を好きなようにさせ、良く言えば自主性を尊重させていた。 それが、成長し、上の姉達が思わぬ結婚などで家から出て行くと、ルジェナはだんだんとこの家の行く末が心配となってくる。 両親は、貴族ではあるが貴族らしくなく領地で育てているブドウの事しか考えていないように見える為、ルジェナはこのカフリーク家の未来をどうにかしなければ、と思い立ち年頃の男女の交流会に出席する事を決める。 そして、そこで皆のルジェナを想う気持ちも相まって、無事に幸せを見つける。 そんなお話。 ☆まりぃべるの世界観です。現実とは似ていても違う世界です。 ☆現実世界と似たような名前、土地などありますが現実世界とは関係ありません。 ☆現実世界でも使うような単語や言葉を使っていますが、現実世界とは違う場合もあります。 楽しんでいただけると幸いです。

婚約破棄された悪役令嬢、手切れ金でもらった不毛の領地を【神の恵み(現代農業知識)】で満たしたら、塩対応だった氷の騎士様が離してくれません

夏見ナイ
恋愛
公爵令嬢アリシアは、王太子から婚約破棄された瞬間、歓喜に打ち震えた。これで退屈な悪役令嬢の役目から解放される! 前世が日本の農学徒だった彼女は、慰謝料として誰もが嫌がる不毛の辺境領地を要求し、念願の農業スローライフをスタートさせる。 土壌改良、品種改良、魔法と知識を融合させた革新的な農法で、荒れ地は次々と黄金の穀倉地帯へ。 当初アリシアを厄介者扱いしていた「氷の騎士」カイ辺境伯も、彼女の作る絶品料理に胃袋を掴まれ、不器用ながらも彼女に惹かれていく。 一方、彼女を追放した王都は深刻な食糧危機に陥り……。 これは、捨てられた令嬢が農業チートで幸せを掴む、甘くて美味しい逆転ざまぁ&領地経営ラブストーリー!

夫が運命の番と出会いました

重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。 だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。 しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?

公爵さま、私が本物です!

水川サキ
恋愛
将来結婚しよう、と約束したナスカ伯爵家の令嬢フローラとアストリウス公爵家の若き当主セオドア。 しかし、父である伯爵は後妻の娘であるマギーを公爵家に嫁がせたいあまり、フローラと入れ替えさせる。 フローラはマギーとなり、呪術師によって自分の本当の名を口にできなくなる。 マギーとなったフローラは使用人の姿で屋根裏部屋に閉じ込められ、フローラになったマギーは美しいドレス姿で公爵家に嫁ぐ。 フローラは胸中で必死に訴える。 「お願い、気づいて! 公爵さま、私が本物のフローラです!」 ※設定ゆるゆるご都合主義

【完結】何故こうなったのでしょう? きれいな姉を押しのけブスな私が王子様の婚約者!!!

りまり
恋愛
きれいなお姉さまが最優先される実家で、ひっそりと別宅で生活していた。 食事も自分で用意しなければならないぐらい私は差別されていたのだ。 だから毎日アルバイトしてお金を稼いだ。 食べるものや着る物を買うために……パン屋さんで働かせてもらった。 パン屋さんは家の事情を知っていて、毎日余ったパンをくれたのでそれは感謝している。 そんな時お姉さまはこの国の第一王子さまに恋をしてしまった。 王子さまに自分を売り込むために、私は王子付きの侍女にされてしまったのだ。 そんなの自分でしろ!!!!!

白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』

鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」 華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。 王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。 そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。 レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。 「お願いだ……戻ってきてくれ……」 王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。 「もう遅いわ」 愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。 裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。 これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。