異世界日帰りごはん 料理で王国の胃袋を掴みます!

ちっき

文字の大きさ
837 / 1,167
連載

小学校に行こう!③

しおりを挟む
「ここが今の1年生、ユラちゃん達のお友達になる学年よ。」
 宇迦之御魂に案内された教室を廊下から教える、廊下の窓からは授業風景が見える。

「算数やってるね。」
 千春は教室の後ろになる廊下から黒板を見て呟くと、美桜がユラ達に話しかける。

「ユラちゃんってこっちの数字分かるの?」
「わかるよー?」
「凄いなあ。」
「ウカ様、ここってどっちの教室なんですか?」
 千春は生徒を見ながら問いかける、どうみても普通の人間しか居ない。

「ここは半分が人間、半分は人外よ。」
「え?合同!?」
「ええ、人と変わらない生活を送る者、人が居なければ生活できない者達ね。」
「そんな人外さんがいるんだ。」
 説明を聞き千春はもう一度教室を見る。

「・・・え?ぜんっぜんわかんないよ。」
 千春が言うと、頼子ものぞき込みながら呟く。

「完全に溶け込んでるね、ビェリーわかる?」
 頼子はビェリーに言うと、ビェリーが答える。

『7人人外おるね。』
 ビェリーが言うとルプとコンも答える。

『妖怪もいるが精霊も居るな。』
『みんなおとなしい人ばかりですね~。』
 2人が言うと千春は宇迦之御魂に話しかける。

「この人外さん達も子供なんです?」
「ええ、そうよ。見た目は子供でも、心はそれぞれね。長い時を生きてきた子もいれば、本当にこの年で生まれた子もいるわ。でも、ここではみんな同じ『2年生』として学んでるの。人間の子達と一緒にね。」
 優しく微笑みながら答える宇迦之御魂、千春はさらに問いかける。

「どの子が長く生きてるんだろ。」
『わっち、わかるばーい。』
『僕もわかります。』
 ビェリーとコンが答えると、頼子と美桜が2人に聞く。

「どの子?」
『あの窓際の子は付喪神やね、50年くらいかいな?』
『前から2番目の女の子は妖狐です、100歳くらいですよ、多分。』
 2人が答えると、ルプも話始める。

『そこに見える少女もだな、あれは座敷童だな。』
「え?座敷童の子どの子?」
 ルプの言葉に千春がのぞき込む。

「千春ちゃん、そんなに覗き込んだら授業の邪魔になるわよ?」
 綾音が千春を止める、しかし宇迦之御魂がクスクスと笑いながら答える。

「大丈夫よ、結界を張っているから向こうからは見えないし聞こえないわ。」
「そっか、良かった、それじゃ前から見ても良いですか?」
「良いわよ。」
 千春達は廊下を歩き、教室を前の方から覗き込む、皆黒板を見つめながら先生の話を聞いていた、ユラ、イーレン、イーナ、そしてケンブリット、シュウラスはルプの背に乗り教室の中を見る。

「わぁ~♪」
「えっと、前から二番目のあの子が100年生きてるの?ぜんぜんわかんない。」
「イーナの方が年上なのです!」
「みんな人にしか見えないな。」
「うん、全然わかんないよ。」
 子供達は教室を見ながら話す。

「ウカ様、ユラ達はこのクラスになるんです?」
「ええ、あっちはちょっとクセが強いのよね、ユラ達は異世界とはいえ人間でしょう?こっちの方が馴染むわよ、あの子達も人間が好きだから。」
 微笑み答える宇迦之御魂、千春は頷くと頼子が宇迦之御魂に言う。

「ウカ様、人外クラスって見れるんですか?」
「もちろん、そっちの教室がそうよ。」
 今見ていた教室の二つ先の部屋を指差す。

「この教室は空いてるんですか?」
「ここは物置よ、勉強に必要な道具や・・・色々置いてあるの。」
「へぇー。」
 千春はうす暗い部屋を覗く、中には大きな定規や分度器、積みあがった教科書らしき本、何故か掛け軸や瓶も並んでいた。

「掛け軸とかあるね。」
 歩きながら一緒に覗き込む頼子と美桜。

「ねぇ、あれ動いてない?」
 美桜は壁に飾ってある山の絵が時折揺れているように感じられた。そして、一番奥の暗がりからは、青白い光がチラチラと漂い、何かの気配がする。

「うわっ、何!?物置ってこんな動き回るもの置くの!?」
 千春が驚いて声を上げると、宇迦之御魂がクスクスと笑って答えた。

「ここはね、人外の子達が使う道具も置いてるのよ、ちょっと賑やかでしょう?」
 平然と答える宇迦之御魂、そして人外クラスが見える所まで来ると、千春達は廊下からそっと覗き込む。

「では次の問題を解いてみましょう。」
 女性の先生が黒板に書いた、簡単な足し算の問題を指していた。

「普通の小学生だね。」
「すごいね、みんな化けてるんだろうね。」
「だよね、人外クラスって言ってたし。」
 千春達は目を凝らしながら小学生を見る、ユラ達はルプの背から身を乗り出して見つめる。

「ぜんっぜんわかんないわ、普通の子供にしか見えないんだけど。」
 千春が小声で呟くと、頼子が窓に顔を近づけて言う。

「うん、でもなんか変な感じはするんだよね・・・あ!あの子!首伸びてない?!黒板見てる時ちょっと長くなったよ!?」
 頼子が指差す先には男の子がいた、その子は確かに首が伸びたが、すぐに縮めて何事も無かったようにノートに書き込んでいた。

「ほんとだ、でもすぐ戻っちゃったね。」
 美桜も男の子を見て答える、すると隣でユラがルプの背から指を差しながら言う。

「あの子の手、もえてたよ?」
 ユラの言葉にイーレンも少し興奮気味に答える。

「うん!もえてた!あの男の子だよね!?」
 イーレンが言うと、イーナも頷く、ケンブリット、シュウラスも頷いていた。

「ねえ、ビェリー、どの子が何かわかる?」
『話してみらんとわからんねぇ、あの子はろくろ首やね。』
「コンちゃんはわかる?」
『はい、手が燃えてたのは鬼火ですね。』
 平然と答える2人、千春はルプに問いかける。

「ルプ、どう思う?」
『確かにクセが強いな、人間がいなくて気が楽なのかもしれないが、ユラ達が馴染めるかは分からねぇな。』
「ウカ様、そこんとこどんな感じなんです?」
「そうね、それぞれの個性が強いからユラ達は人のクラスが良いでしょうね。」
「「「ですよね~。」」」
 宇迦之御魂の言葉に頷く千春たちは人外クラスの様子を少し見ると、廊下を戻る。

「でもあの子達楽しそうだったね。」
 千春は人外クラスを後にすると楽し気に言う、頼子も頷く。

「うん、人間がいないとこんな感じなんだね。」
 頼子の言葉にユラがルプの背で頷く、イーレンやイーナも「うんうん」と同意していた。

「ウカ様ここの子達ってほんと個性的なんですね。」
 千春は笑いながら言うと、宇迦之御魂は優しく微笑みながら答える。

「ええ、それぞれが自分らしく生きてるのよ、それがこの学校の良いところね♪」
 そう答えると、千春達はもう一度人外クラスの方を見る、そして人間クラスの方に戻り、算数の授業を少し見学すると、校長室に戻った。




 



しおりを挟む
感想 3,885

あなたにおすすめの小説

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

騎士団長様、クビだけは勘弁してくださいっ!

楠ノ木雫
恋愛
 朝目が覚めたら、自分の隣に知らない男が寝ていた。  テレシアは、男爵令嬢でありつつも騎士団員の道を選び日々精進していた。 「お前との婚約は破棄だ」  ある日王城で開かれたガーデンパーティーの警備中婚約者に婚約破棄を言い出された。テレシアは承諾したが、それを目撃していた先輩方が見かねて城下町に連れていきお酒を奢った。そのせいでテレシアはべろんべろんに酔っ払い、次の日ベッドに一糸まとわぬ姿の自分と知らない男性が横たわっていた。朝の鍛錬の時間が迫っていたため眠っていた男性を放置して鍛錬場に向かったのだが、ちらりと見えた男性の服の一枚。それ、もしかして超エリート騎士団である近衛騎士団の制服では……!? ※3連休中は一日5話投稿。その後は毎日20時に一話投稿となります。 ※他の投稿サイトにも掲載しています。 ※この作品は短編を新たに作り直しました。設定などが変わっている部分があります。(旧題:無慈悲な悪魔の騎士団長に迫られて困ってます!〜下っ端騎士団員(男爵令嬢)クビの危機!〜)

【完結】モブ令嬢のわたしが、なぜか公爵閣下に目をつけられています

きゅちゃん
ファンタジー
男爵家の三女エリーゼは、前世の記憶を持つ元社畜OL。社交界デビューの夜、壁際でひとりジュースを飲んでいたところを、王国随一の権力者・ヴァルナ公爵カイルにスカウトされる。魔法省の研究員として採用されたエリーゼは、三年間誰も気づかなかった計算の誤りを着任三日で発見。着々と存在感を示していく。一方、公爵の婚約候補と噂されるクロード侯爵令嬢セラフィーヌは、エリーゼを目障りに思い妨害を仕掛けてくるが...

聖女の力は「美味しいご飯」です!~追放されたお人好し令嬢、辺境でイケメン騎士団長ともふもふ達の胃袋掴み(物理)スローライフ始めます~

夏見ナイ
恋愛
侯爵令嬢リリアーナは、王太子に「地味で役立たず」と婚約破棄され、食糧難と魔物に脅かされる最果ての辺境へ追放される。しかし彼女には秘密があった。それは前世日本の記憶と、食べた者を癒し強化する【奇跡の料理】を作る力! 絶望的な状況でもお人好しなリリアーナは、得意の料理で人々を助け始める。温かいスープは病人を癒し、栄養満点のシチューは騎士を強くする。その噂は「氷の辺境伯」兼騎士団長アレクシスの耳にも届き…。 最初は警戒していた彼も、彼女の料理とひたむきな人柄に胃袋も心も掴まれ、不器用ながらも溺愛するように!? さらに、美味しい匂いに誘われたもふもふ聖獣たちも仲間入り! 追放令嬢が料理で辺境を豊かにし、冷徹騎士団長にもふもふ達にも愛され幸せを掴む、異世界クッキング&溺愛スローライフ! 王都への爽快ざまぁも?

追放された悪役令嬢ですが、前世の知識で辺境を最強の農業特区にしてみせます!〜毒で人間不信の王子を美味しい野菜で餌付け中〜

黒崎隼人
恋愛
前世で農学部だった記憶を持つ侯爵令嬢ルシアナ。 彼女は王太子からいわれのない罪で婚約破棄され、辺境の地へと追放されてしまいます。 しかし、ドレスを汚すことを禁じられていた彼女にとって、自由に土いじりができる辺境はまさに夢のような天国でした! 前世の知識を活かして荒れ地を開墾し、美味しい野菜を次々と育てていくルシアナ。 ある日、彼女の自慢の畑の前で、一人の美しい青年が行き倒れていました。 彼の名はアルト。隣国の王子でありながら、政争で毒を盛られたトラウマから食事ができなくなっていたのです。 ルシアナが差し出したもぎたての甘酸っぱいトマトが、彼の凍りついた心を優しく溶かしていき……。 王都の食糧難もなんのその、最強の農業特区を作り上げるルシアナと、彼女を溺愛する王子が織りなす、温かくて美味しいスローライフ・ラブストーリー、ここに開幕です!

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

「わざわざ始まるまでまたないで、今のうちに手を打ったってよくない?」

イチイ アキラ
恋愛
アスター公爵令嬢エステルは、夢をみる。それは先を映す夢。 ある日、夢をみた。 この国の未来を。 それをアルフレッド王太子に相談する。彼女を愛して止まない婚約者に。 彼は言う。 愛する君とぼくの国のためなら、未来を変えるのも仕方なくない?

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。