異世界日帰りごはん 料理で王国の胃袋を掴みます!

ちっき

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サラマンド・オル・ストーノク国王陛下!

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 ストーノク王城、玉座の間に駆け込む兵士がいた、息を切らしながら、手にした伝令書を高く掲げ、謁見の間に座る王へ向かい声をあげる。

「陛下!至急お伝え致します!聖女様ご一行が、我が国へいらっしゃったとのことです!」
「聖女だと?また聖女を名乗る愚か者が現れたか。」
 ストーノク王国国王サラマンド・オル・ストーノクは眉間に皺をよせながら呟く、その横で宰相も同じ事を考えていた。

「最近は、この手の者も居ませんでしたが・・・。」
「ああ、久しぶりだな、聖女を名乗る者の末路を知らぬ諸外国の者だろう。」
 偽物聖女の存在にうんざりしたような会話をする2人に、兵士は声をあげる。

「ただの聖女様ではございませぬ!」
 兵士は声を震わせて続けた。

「その御方は、神女ウィステル様の魂を持つと、そう申しておりました!」
「ウィステル・・・」
 サラマンド王の瞳が細められる。その名は、ストーノク王家にとって特別な意味を持つ名だ。

「その名を使うとは、愚かだな。」
 サラマンド王の表情は怒りに変わっていた、その顔を見た兵士は一瞬ためらったが、意を決して叫んだ。

「そのっ!女神アイトネと言う、異国の神の御名もあがりました!」
「なんだと!?女神アイトネ様だとっ!?」
 玉座が軋むほど勢いよく立ち上がったサラマンド王の声が、王座の間に響き渡る。

「まさか、あの名を聞こうとは……!」
 王の額に刻まれた深いしわが、過去の記憶を呼び覚ます、ウィステルはアイトネを信仰し、数々の奇跡を起こしたと、古文書には記されている、そして、かのウィステルの兄、アークラン・オル・ストーノクこそ、ストーノク王家の第八代国王であった。

「その聖女様は、今どこにおられるのだ!」
「はっ・・・!王城へ向かっているとのことにございます!」
 サラマンド王は大きく頷くと、玉座を降り、悠然とした足取りで前へ進む、その背に、宰相が慌てて声をかける。

「陛下、いずれ謁見の場をご用意いたしましょう、まずは王城にて・・・」
「オーケス、何を言う。」
 サラマンド王はその言葉を鋭く遮った。

「お迎えに行くに決まっておろうが!我が国に奇跡をもたらした魂の御方、その御方を我自らお迎えせずして、何の王であろうか!」
 その瞳には、王の誇りと覚悟が宿っていた。


-------------------------------


「うわぁお!白亜の城!」
 千春は城を見ながら満面の笑みで叫ぶ、昔写真で見たシンデレラ城の様な立派な城の様だ、ウキウキで叫ぶ千春の声に皆も馬車から顔を出し、城を見る。

「うひょー!海外だー!」
「いや、ミオ、異世界だよ。」
「知ってるよ!」
 ボケた美桜に突っ込む麗奈、そしてゆっくりと馬車は城門を通る、城門を守る兵士、そして立派な鎧を着た騎士達が並ぶ。

「・・・歓迎されてるよね?これ。」
 重々しい空気を感じ、千春が呟くと、エンハルトは頷く。

「ああ、最上級だな、早馬が伝令したんだろう。」
 エンハルトはそう答えるが、騎士達の重装備にビビり散らかす美桜はエーデルに問いかける。

「本当に大丈夫かな?」
「大丈夫ですよミオさん、何か有れば必ず守ります。」
「それは有難いけどぉ~・・・。」
 2人の会話を聞き、不安になる千春はアイトネに問いかける。

「アイトネ、大丈夫よね?」
『ええ、勿論♪私が居るからとかではなく、本当に歓迎されているわ♪』
 アイトネはニコッと微笑むと、エンハルトも千春の頭をポンと叩く。

「国も大陸も違うが、騎士の持つ剣は儀式用の剣だ、王はあくまで神女として迎える心づもりだろう、無礼なことをする心配はない、むしろ礼を尽くしてくれるだろうな。」
 千春は緊張気味に小さく息を吸い、コクンと頷いた。

「うん、わかった・・・でもやっぱり王様と会うのは緊張するぅぅう!」
 そんな千春の肩を優しく叩いて、麗奈が笑顔を向ける。

「チハルはどこの王様にも堂々としてんじゃん。」
「たしかにねー、すぐ打ち解けるからねぇチハルは。」
 麗奈と美桜はクスクス笑いながら言うと、千春は緊張がほぐれたのか微笑む。
 そして直ぐに馬車が止まると、ゆっくりと扉が開く、サリナが扉から降りると、サフィーナ達も降り、千春達が続く。
 千春はキョロキョロと周りを見渡す、足元には外なのに立派な絨毯が敷かれ、王城へ向かって続いていた、その絨毯を目で追うと、城の前にはダンディな男性が立っていた、千春の視線に気付いたのか礼をすると、千春の方へ向かって来る、千春は降りて来たエンハルトの腕を掴み話しかける。

「あの人偉い人っぽいけど。」
 千春の言葉にエンハルトは頷き答える。

「・・・国王陛下だ。」
「え?マジで?どうしよう!」
「父上と同じ様に話して良いだろ、なにしろチハルは神女ウィステルの生まれ変わりだぞ?」
「でも国王様はそれ知らないでしょ!?」
「いや、この出迎え、伝令が伝えているな、そうでなければ王が迎える事などありえない。」
エンハルトは周りを冷静に見て、千春へ状況を伝えるそんな会話が交わされている間にも、王の足取りは千春たちの元へと近づいてくる。

 王は威厳を纏いながらも穏やかな表情を湛えていた。
 白髪交じりの無造作な髪と鋭い金色の瞳が、深い洞察と底知れぬ威厳を湛えた印象を与える、サラマンド王のマントが風に揺れ、装飾がきらりと光る。

 王は千春の前まで進むと、その場で片膝をつき、恭しく頭を下げた。その動作は騎士団のそれよりもなお深く、国王としての誇りと信仰心のこもった所作だった。

「よくぞお越しくださいました、神女ウィステル様、私はサラマンド・オル・ストーノクと申します。」
 その声はよく通り、王城前に並ぶ兵士や騎士たちにもはっきり届いた。
 千春は一瞬、呆気に取られたように立ち尽くしたが、慌てて姿勢を正し、王に向かってお辞儀を返した。

「こ、こちらこそ、お招きいただきありがとうございます、サラマンド陛下。」
 その言葉を聞き、王は嬉しそうに微笑み、顔だけを上げた。そして、千春の後ろで柔らかく微笑むアイトネに視線を向けると、その表情はさらに崇高なものへと変わった。

「女神アイトネ様。」
 王の瞳はまるで奇跡を目の当たりにしたかのように、心からの敬意を込めた輝きを放っていた。
 アイトネはにっこりと微笑み、柔らかな声で応じる。

『サラマンド王。あなたの国は、私の愛したウィステルの兄君の血を継ぐ国、こうしてお迎えに来てくださったこと、誇りに思うわ。』
 その言葉を聞いた王の肩が震え、玉座の間で見せた厳格さとは違う、熱いものが瞳に滲む。

「・・・恐れ多きお言葉、身に余る光栄にございます。第八代国王アークラン・オル・ストーノクの名に恥じぬよう、この国を治めて参りました。」
 千春が思わず口を挟む。

「えっと・・・アークランさんって・・・あー!!!ほんとだ!おにいちゃん王様になってるじゃん!」
「なに?今の、ウィステルちゃんの記憶見たの?」
「うん!すっごい国に貢献してお姫様と結婚してた!」
「へー、おにいちゃん婿入りしたんだ、凄いね。」
「え?って事はサラマンド陛下って、おにいちゃんの血筋の人なんですか!?」
 その問いに、王は深く頷き、立ち上がってゆっくりと説明する。

「左様です、アークランはこの国の第八代国王にして、神女ウィステル様の兄上。女神アイトネ様の奇跡を信じ、国を守り抜いたと伝えられております、今こうして神女様と女神様にお目通りかなうとは、私の代の大いなる誉れ。」
 その言葉に、千春は少し照れたように笑みを浮かべた。

「そ、そんな・・・私なんて、ただの専門学校生・・・。」
 すると、サラマンド王は凛とした声で言った。

「いえ、あなたこそが神女ウィステル様そのもの、その魂がこの地を再び訪れたのならば、我が国に再び奇跡が訪れる証、ならば、王たる私が自らお迎えするのは当然のことです。」
 その声には一国の王としての覚悟と信念が満ちていた、そのやり取りを見ていたサフィーナが小さく笑い、千春の耳元で囁いた。

「大歓迎されてますね。」
「う、うん・・・なんか、すごい期待されてるきがする。」
 その横でエンハルトが満足げに頷き、サラマンド王に向かって一礼する。

「陛下、私たちはこの国で、しばらくの間、自由に過ごさせていただきたく思っております、どうか、この国での滞在が穏やかで楽しいものとなりますよう、お力添えをお願い申し上げます。」
 サラマンド王は胸に手を当て、威厳を保ちながらも柔らかく微笑んだ。

「もちろんです。神女様と女神様に、ストーノク王国のすべてをもってお仕えいたしましょう。」
 その声が響いた瞬間、兵士たちが一斉に膝をつき、神女と女神を迎える礼を捧げた、その荘厳な光景に千春は狼狽える、頼子達は真顔で止まり、公爵令嬢であるフランシスですら驚いていた。

「・・・私何も出来なくない?」
『いつも通りでいいのよ?挨拶終わったから、まずは王都でお買い物かしら♪』
「・・・アイトネ、まだ隠してる事あるんじゃない?おにいちゃんが王様してたって初耳なんですけどぉ?」
『ウィステルの記憶で思い出したでしょ?』
「言われないと思い出せないよ!?」
 千春とアイトネが言い合いをしていると、申し訳なさそうに声を掛けるサラマンド王。

「旅でお疲れで御座いましょう、部屋に案内致します。」
「あ、えっと、ありがとうございます・・・あんま疲れてないけど(ボソッ)」
 千春はサラマンド王に答えると、皆は王宮の門をくぐった。






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